{{category 社会問題}} {{outline}} 架空請求は、決して、他人事ではありません。架空請求は、いつ、貴方の元に届いてもおかしくないのです。ということで、架空請求について語ってみます。 !!!架空請求の矛盾 売る側の視点に立てば、架空請求の矛盾が分かります。普通に考えれば、代金を回収できる見込みがないのに、商品を引き渡したりはしません。常連に対してツケ払いを認めることはあったとしても、一見さんにツケ払いを認めることはありえません。ツケ払いは客に頼まれて仕方なく行うものであって、上得意様だから大丈夫だろうという信用があるから出来るものです。見知らぬ客に店側が積極的に行っていては、取り込み詐欺に大サービスしているのと変わりません。 どこの誰かも知らないのでは、逃げられたらそれまでです。住所氏名が分かっている場合でも、身に覚えがないとシラを切られたら、それまでです。納品確認の一筆をもらっていない限り、納品の証明は出来ません。少なくとも、ネット上だけの取引では、そうした一筆は不可能です。なぜなら、ネット上でのやり取りだけでは、本人を確認することは不可能だからです。他人の住所氏名を偽って取引することも可能ですし、そもそも、業者の偽造でないことを証明する方法も確立されていません{{fn 技術的には電子署名があるが、ネットショッピングで使われたという話は聞かない。ネットショッピングに電子署名を活用するには利用者側の事前の手続きが必要}}。プロバイダの持つ個人情報は法的に保護されているので、そのような曖昧な情報を元に開示されることはありません。よって、法的に有効となる証拠を押さえることは出来ません。このような状況では代金回収のめどが立たないため、大事な商品を引き渡すはずがないのです。 その証拠に、どこのネットショップでも、クレジット決済、代金引換郵便、銀行振込、コンビニ決済等、確実に代金を回収できることを確認してから、商品を引き渡します。その前に、商品を引き渡すところはありません。ネットでなら、金払いの悪い人を相手にしなくても、他に客はいくらでも居ます。だから、焦げ付くリスクを犯してまで、ツケ払いを認める必要は全くありません。回収の目処も立てずに一見さんにツケ払いを認めること自体がありえないことです。不良債権化していることが、最初から回収の目処を立てていない証拠であり、それが架空請求であることを示す明確な証拠なのです。 !!!架空請求の対処法 !!普通の架空請求 架空請求は、身に覚えがあろうとなかろうと、原則、無視して[警察に通報|http://www.npa.go.jp/safetylife/kankyo3/akusyou.htm]するのが正しい対応です。よく、「身に覚えがなければ払う必要がない」と言う人が居ますが、それは間違いです。たとえ、身に覚えがあったとしても払う必要は全くありません。[国民生活センターのマニュアル|http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/kakuu_taisaku.html]にも間違った対処法が書かれているので困ったものです。 「身に覚えがある」と言っても、「もしかして、あのサイトがそうだったのではないか」や「変なところをクリックしたことがあるが、これがそうじゃないのか」や「もしかしたら、主人が使ったのかもしれない」といった類のものであり、マニュアルは、そうした「身に覚え」がある人が、どうしたら良いかと思って見るものです。本気で全く身に覚えがない人は、マニュアルさえ見ないでしょう。だから、「身に覚えがなければ払う必要がない」では、何の答えにもなっていません。 架空請求は、そうした「身に覚え」を持っている人が確実に多数いる社会背景を元に、同じ内容の請求を大量に発送すれば、何人かに一人はそうした「身に覚え」のある人に当たることを悪用したものです。そうした架空請求への対応として、「身に覚えがなければ払う必要がない」では、「身に覚えがある人は払え」と言っているのと同じで、架空請求に加担しているにも等しい行為です。 架空請求が利用する「身に覚え」は、請求とは全く無関係な「身に覚え」であり、「もし、関係があったらどうしよう」という心理的不安につけこんだものです。しかし、別名「駄目元詐欺」とも言われるように、請求者は駄目元で請求しているに過ぎず、そうした不安は取り越し苦労に過ぎません。先にも述べたとおり、回収の目処も立てずに一見さんにツケ払いを認めること自体がありえないのです。 よって、架空請求への正しい対応は次のとおりです。 *身に覚えがあってもなくても金は払わない *絶対に返事は出さない(返事を出せば個人情報が流出します) *[警察に通報|http://www.npa.go.jp/safetylife/kankyo3/akusyou.htm]する *家族が見る可能性がある場合は、適切な対処法を言い含めておく !!法的手続きを悪用した架空請求 しかし、最近は、[督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求|http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68.html]があり、これは、然るべき手続きを怠っていると、法的に支払い義務が生じてしまいます。一方で、こうした裁判所からの通知に偽装した架空請求もあり、本物かどうかの確認もせずに迂闊なことをしてはいけません。[裁判所からの通知の見分け方|http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-3.html]の概要は、次のとおりです。 *裁判所からの支払督促や少額訴訟の呼出状は特別送達が使われ、はがきや普通郵便は使われない **手渡しが原則 **受け取りの際に[郵便送達報告書|http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-3-1.pdf]に署名又は押印を求められる **郵便受けに投げ込まれることはない *支払督促や呼出状に預金口座が記載されることはなく、裁判所が振り込みを督促することはない{{fn 支払督促という名前だけれど、その実、強制執行を認める手続きに過ぎないので、直接的な督促ではない}} *裁判所の住所・電話番号は、郵便物の記載内容を鵜呑みにせず、必ず、電話帳や[消費生活センター|http://www.kokusen.go.jp/map/]や[最高裁判所のサイト|http://www.courts.go.jp/]で確認すべし 一方の言い分だけを聞いて支払督促なんて理不尽じゃないかと思うかもしれませんが、一方の言い分だけの段階では、法的な支払い義務は確定しません。他方に異議の申立ての機会を与え、異議がないことを確認したうえで、法的な支払い義務が確定します。異議の申立てが出来るようになっているのだから、裁判所は、ちゃんと双方の言い分を聞いているわけです。支払い督促等を放置して法的な支払い義務が確定するのは、当事者が言い分を聞いてもらうための手続きを怠ったのであって、裁判所が当事者の言い分を無視したわけではありません。 ""これは,金銭の支払いのような私人間の権利に関する争いごとの当否については,裁判所が自ら積極的に事実を調査して判断するのではなく,紛争の当事者が提出した主張や証拠に基づいて判断すべきであるという,民事訴訟における基本的な考え方に基づくものです。 ということで、こうした支払督促や少額訴訟には法的な対抗手段を講じる必要があります。[督促手続の対処法|http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-1.html]の概要は、次のとおりです。 *最初の支払い送達を受けた日から2週間以内に、同封された督促異議の申立て用紙に必要事項を記載して返送 *放置して仮執行となったときは、送達を受けた日から2週間以内に、督促異議の申立て及び強制執行停止の申立てをする *さらに放置して支払督促が確定したら、請求異議の訴えを提起するとともに、強制執行停止の申立てをする [少額訴訟手続の対処法|http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-2.html]の概要は、次のとおりです。 *最初の口頭弁論期日に出頭するか、主張を争う内容の書面を提出すれば、勝訴確定(どちらも怠ると敗訴確定) *敗訴しても、少額訴訟の判決又は判決の調書の送達を受けた日から2週間以内なら異議申し立てが可能 **通常の訴訟手続となるが、控訴審はない *訴訟期日前なら、通常の訴訟手続で審理するよう裁判所に求めることも可能 **通常の訴訟手続となり、控訴審もある いずれにせよ、架空請求を根絶するためには、[警察に通報|http://www.npa.go.jp/safetylife/kankyo3/akusyou.htm]することも重要です。 {{lastmodified}} {{category_list 社会問題}}