{{category 創作物語}} {{outline}} !!!新世紀エヴァンゲリオン 流行っているので、TVシリーズを1話から見てみました。それで、いろいろ書こうと準備していたものの、映画2作目を見て書く気力をなくしました。ある程度、出来の酷さは想像していたものの、それを遥かにしのぐ酷さであったので、評論する価値さえ見いだせませんでした。未完成品を体裁だけ整えて公開した1作目も酷いものの、完成品である2作目も別の意味で酷いものです。 何から書くべきでしょか。まず、第一点は引っ張り過ぎです。何の進展もないのに時間だけは過ぎていくという、中身のない映像をダラダラと流されるのはたまりません。序盤あれだけ手際の良かった敵が、尻すぼみに手際が悪くなるのは、明らかな時間稼ぎでしょう。 TVシリーズと映画には、つじつまが合わない部分が多数あります。TVシリーズの終盤の間に合わせ的な作りは有名なところですが、それらを総合して考えると、シナリオや設定が未完成のまま見切り発車していたことが明らかでしょう。シナリオ制作の遅れから、TVシリーズ中に完結できなかったばかりか、映画制作も間に合わずに2作に別れたというのが真相でしょう。つじつま合わせを行うだけの時間的余裕がなかったということでしょうか。というより、つじつま合わせの必要性すら認識していなかったのかもしれません。 何より人間が全く書かれていない点が最悪です。誰がどういう思惑の元に何をしてどういう結果を引き起こしたのかが、全く描かれていませんし、考えられてもいないようです。非常によく似た設定の物語として、週間少年サンデー連載の「ARMS」という漫画があります。この漫画には、様々な人物が様々な思惑の元に行動し思いも掛けない方向に事態が展開していくという面白さがあります。比較してみると「新世紀エヴァンゲリオン」の物語の稚拙さがよくわかります。 設定が未熟です。おかしいというよりは、決まっていないというほうが正しいようです。最も酷いのはゼーレという組織の設定です。明らかに狂気に満ちた組織が、国連だけにとどまらず、中国まで含めた世界の主要国を影から操るだけの力を持っているのは、非現実的です。そもそも、それだけの力があるにもかかわらず、行動が不必要にまわりくどいのは説明がつきません。同じ目的のために動いていたはずの組織であるネルフ本部と袂を分かつからには、何かしらの思惑の違いがあるはずです。しかし、それは明確にされていません。というより、どう見ても、両者は同じ思惑の元に行動しています。仲違いする理由が全く見られません。 人類補完計画とやらと使徒殲滅を同じ組織が担うことにも無理があります。だいたい、人類を脅かす存在を使徒と呼ぶこと自体に無理があります。あれだけのテクノロジーを擁しながら、原始的な戦闘に頼るのも不可解です。新しい(?)国連の位置づけ、国連軍に対するネルフという組織の位置づけ、国連と各国政府の関係、いろいろ挙げるときりがありませんが、特殊で不可解な設定に対し、視聴者を納得させるだけの理由が全く用意されていません。何でもありで、無茶苦茶で、子供の発想と大差はありません。 結局、描きたかったことは漫画「ARMS」のような世界観なのでしょう。しかし、壮大なスケールの話を書きたいけれども、それだけの実力がないため、シナリオをまともに仕上げることも出来ず、ずるずるとスケジュールを引き伸ばしたということでしょうか。最後には、現代科学等で説明のつかない新設定を持ち出した結末でお茶を濁すという、ありがちな反則技で、何とか公開にこぎつけたわけです。 {{lastmodified}} {{category_list 創作物語}}