{{category 創作物語}} {{outline}} !!!原作 ナースあおいは、ほんのちょっとしたボタンの欠け違いから、どうしようもない病院になってしまったあかね市民病院が舞台。主人公が転勤してきて、周りを少しずつ変えていく・・・という物語。主人公がとても良い娘なので好感が持てます。医療に関する描写については分からないけれど、人間関係について極めてリアリティのある描写になっています。 !!登場人物 ,氏名,勤務先,地位,詳細 ,真行寺十三,首都大,名誉教授,内分泌器の世界的権威。泉田てると志を共有する。浜松平助は頭も上がらない。江藤誠とは家族ぐるみの付き合い。 ,佐山,本院救命,センター長,主人公の違法な気管挿管を承認した。事件後、主人公を庇いきれなかった。 ,船橋,本院救命,医師,主人公に気管挿管の手順を指示した。 ,金城靖幸,本院救命,医師,主人公の幼なじみ。 ,小西明美,本院救命,看護師,主人公と同期の友人。 ,宝田俊夫,あかね市民病院,事務長,金にならない患者を転院させたり、あの手この手で病院経営を合理化しようとしている。出世欲はあるようだが、患者の命を軽んじる行為をした描写は無い。 ,大倉喜一,あかね市民病院,副院長,典型的なボンボン。愛人つくるは、病院を私物化するは、困ったちゃんNo.1であることは疑う余地がない。ただし、医療に関しては手抜きは無いように思われる。 ,浜松平助,あかね市民病院,内科部長,影も薄いが頭も・・・らしい。偉そうで旧態依然の典型。 ,田所義男,あかね市民病院,内科副部長,あからさまな金持ち優遇で売り上げ至上主義と揶揄されるが、腕は一流。副院長には嫌われたが、病院にとって必要な人間であると自負している。 ,高樹源太,あかね市民病院,循環器内科医,腕は確かな一匹狼。セクハラはするが、仕事はまじめ。 ,緒田桐人,あかね市民病院,循環器内科医,救急救命センター設立のため、首都大から派遣されたやり手の医師。医師としての腕が優れているだけでなく、事件の調査能力や問題解決能力にも優れている。人命第一主義の反面、患者の感情面への配慮に欠けていて、しばしば、ロボットと揶揄される。しかし、主人公の影響を受けて、徐々に、優しさに目覚めて行くのか?極度の方向音痴。 ,福原,あかね市民病院,整形外科医,仕事にはあまり熱意が見られない。噂好きで女好き。 ,江藤誠,あかね市民病院,内科医,代々医師家系のエリート家族の中で、劣等感から既に人生を諦めている。当初、やる気も自信もみられないが、主人公の影響を受けて、立派な医師になろうと決意する。が、空回りすることも多い。 ,綾部果林,あかね市民病院,研修医,優秀で仕事もきっちりこなす。余計なことに首を突っ込むことを嫌がるが、盲目の友人の面倒を見るなど本当は優しい一面もある。緒田桐人の影響を受けて、仕事に対して積極的になって・・・いってるのか?主人公を恋のライバルと見ている。 ,片桐勇,あかね市民病院,放射線技師,主人公には共感する所がある。 ,泉田てる,あかね市民病院,総師長,理想の医療を実現する手段として組織のレールに従い、今の地位にのしあがってきた。主人公には共感する所があるが、組織のレールからはみ出してもらっても困ると思っている。本院救命センターを追い出された主人公を拾ったのは、病院を変えるきっかけと考えていたようで、予想以上の効果があった模様。 ,緑川雅子,あかね市民病院,内科師長,効率至上主義で、副総師長の座を狙っている。その一方で、患者の命を守るためなら、覚悟を決めて決断し的確な指示を出せる。 ,椿鼓太郎,あかね市民病院,外科主任看護師,救急救命センター設立のため、本院救命センターから派遣されたらしい。 ,大月奈々,あかね市民病院,内科主任看護師,部下からは厳しいと見られているが、実は、部下思いの優しい人。一方で、女性として売れ残ることも心配していて、お見合いに積極的{{fn 患者の知り合いが無理矢理置いていった土産物の処分では、他に目もくれず見合い写真を取っている(笑)}}だったはずだが、途中からキャラが変わってしまったように消極的になっている。年上が好みのようだが、最近、年下の元患者の七瀬と仲が良い。 ,早乙女みゆき,あかね市民病院,内科看護師,以前につとめていたが、夜勤のみで復帰。ドライなようで、実は、意外と気を使う人。小峰響子からは一目置かれている。 ,小峰響子,あかね市民病院,内科看護師,新人には厳しい。その一方で、後輩のフォローも怠らない。実は、優しい人。一児のシングルマザー。 ,美空あおい,あかね市民病院,内科看護師,主人公。優しく、明るく、前向きで、ひたむきで、謙虚。看護師として優秀である一方、生活はだらしない。体育会系を自認する通り、変な言動が多々ある。 ,川原亜美,あかね市民病院,内科看護師,新人の駄目看護師。とりあえず看護師になっただけで、やる気もなかったが、美空あおいを見習って、良い看護師になろうとしている。 ,助川,あかね市民病院,内科看護助手,主人公を高く買っていたが、美空&緒田と宝田の対立の煽りを受けてリストラされて主人公を恨む。復帰後は円満に。 ,角田,あかね市民病院,内科看護助手,助川に同じ。 ,北沢,あかね市民病院,内科看護助手,バンド、看護学校、看護助手の三足のワラジを履いていた。美空あおいの影響を受け、中途半端な生き方を改めようと決意する。美空&緒田と宝田の対立の煽りを受けてリストラされるが、恨みごとを言うどころか、逆に、主人公を励ました。リストラを機会に、看護学校に本腰を入れるようになった。川原亜美と合コンで一緒になったせいか、彼女と飲む機会が多い。 ,相川幸,あかね市民病院,内科看護助手,旦那の入院をきっかけにボランティアとして働くようになる。助川&角田の復帰とともに、看護助手として雇われる。 ,鎌田,あかね市民病院,事務,人は良いようだが、全然目立たない。 //,野呂圭祐,製薬会社,, ,田丸薫,,常連患者,糖尿病に胃潰瘍と病歴が多い。川原亜美のファン。 ,寿雪江,クラブ,経営者,昔は凄腕の看護師だったらしい。 ,七瀬,引越業者,,患者として入院したときから大月奈々に気がある様子だったが・・・。 ,美空草太,高校生,球児,主人公の弟。 ,花梨菜,高校生,,主人公の弟の彼女。 !!おすすめエピソード !!色恋沙汰 ==大月奈々と七瀬は急接近。==高樹源太と小峰響子は微妙な関係。緒田桐人狙いは、綾部果林、川原亜美。美空あおい狙いは、緒田桐人、福原、江藤誠、椿鼓太郎、北沢。 !!!TVドラマ版 主人公の人物設定も、シナリオも原作とは大違いです。確かに、原作に使われたエピソードを取り入れているものの、そのエピソードの持つ意味などがすっかり変わってしまっています。リアリティも低下しており、原作が持っていた良さが全く表現されていません。原作と設定もシナリオも全く違うドラマに比べれば、表面的に見れば良く似せてある方でしょう。しかし、TVドラマ版は原作とは似て非なる物と言えます。 尚、第1話は途中からしか見ていないので、[どらま・のーと: Ns'あおい Karte1|http://dramanote.seesaa.net/article/11551552.html]を参考にしました。 !!登場人物 途中から登場するはずの登場人物が初回から登場していたり、複数の登場人物が合体しているのは、放送予定回数の都合でやむを得ないのでしょう。しかし、最も重要なはずの主人公の設定がこうまで変えられてしまうと、全く違う話になってしまいます。 !美空あおい 第2話で、野呂圭祐に特別室は接待費かと聞くシーンは、原作にはない嫌みがたっぷり込められています。その他のシーンを見ても、TVドラマ版には、原作のような優しさ、明るさが足りません。 第1話で、緊急手術の前に、主人公が田所義男に文句を言うシーンは原作にありません。人命がかかっているときに無駄話を長々とするようでは看護師失格です。第3話で、ホームレスの転院を阻止するシーンは、原作では移送後に「よろしかったんでしょうか」とは言うだけで実力行使は一切ありません。==第5話で、さっさと着替えるべきときに延々と江藤誠に詰め寄るシーンは、原作にありません=={{fn 原作を再度読んでみると、状況は違う(処置室に居る看護師の数が多く、「後は任せろ」と言われた後であり、また、宝田俊夫の無責任な言葉が無ければ詰め寄ることも無かった)けど、福原にしつこく詰め寄るシーンありました}}。TVドラマ版には、原作のひたむきさ、謙虚さが認められません。 能力的にも川原亜美の要素が若干混じっているようで、かなり頼りない感じです。第1話で心臓マッサージ中に固まってしまう{{fn 死の恐怖を味わったわけでも、患者を死なせたわけでもないのに、固まってしまうのは説得力に欠ける}}は、第4話で初歩的なミスをするは==、第5話で手術室に泥まみれで入るは=={{fn 原作を再度読んでみると、状況は違う(看護師業務の引継過程であった)が、制服が汚れたままで処置室に入っている}}{{fn 状況から見て、スカートの一部にちょこっと泥がついた程度では汚れ方が足りなすぎる}}、看護師として自覚が足りなさすぎます。一言で言えば、TVドラマ版では青臭いガキに成り下がっています。これでは、周囲の人間が自然と主人公に影響されて変わって行くという展開に説得力がありません。 !大倉喜一 第2話では、連れの心配より浮気の隠蔽を優先させていますが、原作では、倒れたのは全く無関係な人です。原作では、翌日、美空あおいを青臭いと評していることから、彼女達の手当を見届けているようです。ボンボンで愛人をはべらかす困った人ですが、 原作では、少なくとも患者の命を軽視する行動はとっていません。 !田所義男 第1話の入院患者が主人公の実の祖母から八百屋へと変更された点は、原作の「身内にだからということで親身になるのはわかるが、ちょっと神経質になりすぎじゃない?患者には客観的に差別なくですよ・・・」という田所義男の台詞が持つ意味を読み取っていないとしか思えません。両者の設定の違いは、田所義男の認識の差を産み、結果として、彼の人格を大きく変えてしまいます。この違いは、登場人物を全く別人に変えてしまうほどの重大な差です。第2話での腸穿孔の可能性がある患者を放置して、議員とゴルフの打ち合わせ食事に出かける点も、同様です。原作でも、金持ちの患者の検査を優先させていますが、無駄話のためではないし、患者を放置して外出したりもしていません。このような医療をないがしろにする行為は、原作にはありません。 第3話でホームレスの患者を診た時は、一度目は急性膵炎の兆候を見逃しています原作では一目見ただけで急性膵炎と診断しています。原作より能力的に劣るようです。 TVドラマ版では、裏から手を回して主人公を止めさせようと画策しているようですが、それは原作にはありません。原作でも、一時はメンツをつぶされたと怒りましたが、それがなければ自身の医師生命が終わっていたことも認めて感謝しています。TVドラマ版では、自身の医師生命には一言も触れていません。TVドラマ版のような意地の悪い行為は、原作の宝田俊夫がやったことです。 !高樹源太 キャストがギバちゃんではちょっと格好良すぎ・・・は置いておいて。TV版の第5話で医療ミスのもみ消しに加担するような行為は、原作にはありません。 !江藤誠 医者家系と田所義男の後輩という点以外は、原作とは全くの別人です。原作の名もない当直医と綾部果林を足して、さらに性格をずっと悪くしたような設定です。 !片桐勇 合コン好きなところは原作の福原の要素が混じっています。 !泉田てる キャストが片平なぎさでは外見が全然違うだろうというツッコミはさておき、原作にない売り上げ至上主義は、原作の宝田俊夫の要素が混じっています。いや、患者の命を危険に晒しかねない行為{{fn 病院の前で倒れている患者に救急車を呼ぶって、ギャグとしか思えない}}は、宝田俊夫より問題があります。 !緑川雅子 キャストに高橋ひとみを起用したのは、原作の大月奈々の役どころを兼ねているからでしょうか。 !小峰響子 第1話の小峰響子の「今回はあんたに付き合ってやったけど、二度とゴメンだから」という台詞は全くの蛇足です。原作では、新人には厳しいけれど、それは、過去に気の弛みで人命を脅かしかねない事態になり、その結果、患者に後遺症が残り、新人看護師の将来を潰してしまった負い目があるからです。しかし、最初の事件で、美空あおいの実力を認め、仕事を任すようになりました。また、若い頃は、美空あおいのような「問題児」だったこともあり、美空あおいに共感する所も持っています。そして、美空あおいが全員から総スカンを食らったときも励ましています。原作では、こんなにやさしい小峰響子なのに、TVドラマ版では凄く嫌な人になっています。 !北沢タケシ 病院内部の事情を暴露するなどの役割は、原作の福原の要素が混じっています。 !!シナリオ !リアリティの欠如 第1話の急患のシーンに出てくる医師が、原作では年配の医師だったのに、TVドラマ版では研修医の江藤誠に変更されています。しかし、それでは、口止めのシーンの説得力がなくなります。研修医が専門外のことで格好悪い所を見せた程度は笑い話で済むことでしょうし、TVドラマ版の江藤誠にとって失敗は日常茶飯事でしょうから、今更、口止めしても手遅れのはずです。 第3話で急性膵炎のホームレスを移送させるシーンは引っ張り過ぎです。急いで転院させなければならなかったはずです。転院を止めさせようとする主人公の越権行為はともかく、田所義男まで足を止めてホームレスの話に聞き入ってしまうようでは、あまりに、緊張感に欠けます。安易な浪花節がシナリオを陳腐にしています。いや、それ以前に、最初の診断で急性膵炎の兆候を見逃して、転院の要請が遅れていることも緊張感をそいでいます。一方、原作の同じシーンでは、一目見ただけで急性膵炎と診断し、主人公が意義を挟む余地もなく、素早く転院させています。両者のリアリティの差は歴然としています。 第4話の主人公の告白シーンは原作にはありません。誰かに過去をばらされたりもしていません。それはともかく、原作の気管挿管から、TV版のような肺に穴をあける処置への変更は必要ではないはずです。確かに、気管挿管だって看護師がやるには危険を伴う行為でしょう。とはいえ、気管挿管は、医師がやる分には、セオリー通りの医療行為です。一方で、患者の肺に穴をあけるのは、医師としてもイレギュラーな医療処置であるはずです。それを、看護師がやるなんて、常軌を逸しています。原作では、違法行為を行なう決断は主人公がしましたが、救命センター長がそれを承認し、医師の指導の元で気管挿管を行なっています。TV版のように、医師の指示もなしに肺に穴をあけるのは、あまりに無謀です。また、TV版の主人公のように、初歩的なミスを繰り返すような未熟な看護師では、リスクを正しく判断したとは思えません。それでは、止むを得なかったと言われても、全く説得力がありません。原作では完全に道を塞がれて通行できない状況だったのに対し、TV版では片側車線の渋滞にすぎません。これでは、本当に他に手が無かったかどうか疑いの余地が残ります。さらに言えば、原作では患者の家族の写真を見て決断したシーンが、TV版では主人公個人の都合に変更されています。これでは、患者のためだったと言われても説得力がありません。 第5話の江藤誠のミスも不自然です。原作では、江藤誠ではなく福原のミスでした。慢心と油断による注意力の欠如と、技師と電話をしながらの質問であったために、大雑把な質問で済ませたのです。しかし、TV版のように、未熟な医師が、耳鳴り程度で脳梗塞を疑ってMRI検査をするのでは、全くリアリティがありません。そんな医師が居れば、CT検査やMRI検査を連発したあげく、その検査の必要性を説明できない失態を何度も冒して、上司に大目玉をくらっているでしょう。設定から考えれば、異常を軽視して病状を悪化させる方が説得力があります。そもそも、いつもマニュアル頼っているのに、チェックリストの項目だけは読み飛ばすなんて、いくらなんでも不自然です。 医療ミスの隠蔽工作をする場面もリアリティに欠けます。原作では、宝田俊夫が福原と二人だけで言い含めています。宝田俊夫は、ミスの追求を恐れている福原の態度を見てから、暗に隠蔽を持ちかけています。個人的責任を逃れたい福原は、それに従うしかありません。そして、一度、宝田俊夫の言いなりになった以上、そのことを表沙汰にすれば、福原も難しい立場に追い込まれます。このように、二人だけの話なら、隠蔽工作をばらされる危険性は殆どありません。しかし、TV版のように、直接の当事者でない他の人が居る場でそのような話をすれば、隠蔽工作をばらされる危険性が大きすぎます。これが現実なら、誰も異議を唱えないのはともかく、他の人の出方も分からないまま、賛同の意志を示すことは危険すぎます。浜松平助が賛同したのはともかく、泉田てるや高樹源太が何の苦言も唱えないのも変です。そればかりか、逆に、主人公を責めるようでは、原作とは全く別人としか言いようがありません。原作でも、緒田桐人はミスを表沙汰にしないと約束しました。しかし、その代わりに、具体的な改革案を宝田俊夫に飲ませています。TV版のように、問題点の指摘や改革案も無いままでは、全員が隠蔽工作に加担した悪人になってしまいます。そもそも、患者が死ねば病院へのダメージが計り知れない状況で、幹部全員で集まって隠蔽工作の相談をしているなんて、呑気にもほどがあります。それよりも、まず、患者を捜し出す方策を考える方が先でしょう。 !浪花節路線 第3話までも、原作と路線が違っていましたが、第4話になって、完全に原作から逸脱しています。確かに、原作のエピソードを一部改変した物を使っていますが、全く違う物語になっています。第5話でも浪花節は止まりません。 第4話での、主人公の告白を受けた小峰響子は、主人公を激しく非難しています。これが、ベテラン看護師としての確固たる信念に基づいての非難なら、全くの正論でしょう。しかし、主人公の姿を見て救急救命士を目指した人が居るとか、結果的に患者に感謝されているとか、そんなことで態度を変えるようでは、確固たる信念が全く感じられません。信念なしに感情的に非難したなら、人間として未熟すぎます。本気で主人公の行為が看護師として越えてはならない一線だと思うなら、その程度のことで態度を軟化させてはいけないはずです。現実的な妥協としてどこかに落とし所を設定する必要はあるにしろ、本人が反省する姿勢を見せないのに許すのでは、先輩失格です。同様に、高樹源太にも、確固たる信念が感じられません。何故、佐山の意見を聞きに行くのでしょうか。状況を確認するなら分かりますが、他人の判断など必要ないはずです。なぜなら、状況さえ分かれば、医師としての判断は下せるはずです。他人の意見に左右されるようでは、普段から何も考えていないということであって、主人公に説教できる立場ではありません。高樹源太に説教された主人公が、同じことを二度としないと約束しなかった所が唯一の救いでしょう。 第5話の隠蔽工作の相談では、高樹源太は、問題点の指摘や改革案を一言も述べていません。それなのに、本人も病院も反省したはずだから同じミスは二度と起こらないなどと言い切ることは、荒唐無稽としか言いようがありません。やるべきことをやっていない人間が、希望的観測だけで物を言うのでは、無責任すぎます。 !伏線とテーマ [第5話は先の展開が全てが読めてつまらない|http://blog.goo.ne.jp/achako_k/e/f47c6aa23e0fd95818af624a4be2ef73]という意見があります。 ""・MRIの説明をしながら時計を機械に近づけて壊す江藤 ""・ペースメーカーをつけた大貫さん ""・その大貫さんはかつて耳鼻科にかよっていた。 ""・複数の科でもらった薬を飲む患者たち⇒科ごとにカルテが違うという話 ""もうこれだけ条件がそろえば、 ""「あぁ、違う科を受診してカルテに記載がないために、ペースメーカーが入っているのにMRI検査を受けてしまうんだな」 ""って誰だってわかりますよ 私は、原作を読んで後の展開を知ってただけに、先が読めるかどうかという観点では見てないわけですが、原作を知らない人から見れば至極ごもっともな意見です。 どうして、簡単に先の読める展開になるかと言えば、それは、同じ話の初めに伏線を盛り込むからです。原作では、次のように、複数回に渡って伏線が埋め込まれているので、先の展開が読みにくくなっています。 *第39話:事故の被害者登場。MRI検査後にペースメーカーを埋め込む *第40話:緒田桐人がカルテの一元化の必要性を訴える *第41話:別の患者がきっかけで高樹源太と緒田桐人が対立後に和解 *第42話:前々々回ペースメーカーを埋め込んだ患者がMRI検査を受ける事故発生 短期集中で放送回数が少なく、また、前回以前を見逃した人にも分かるように配慮しなければならないという事情も分からなくはありません。しかし、TVドラマ版のような準一話完結形式では、自然とテーマも薄っぺらくなります。 カルテ問題{{fn ちなみに、TVドラマ版に出てきた6億円という数字は、原作の救急救命センター設立のための費用の読み間違い。確かに、間違いやすい書き方なのだけど・・・}}ひとつをとっても、初めも終わりもありません。事が表面化する前から問題は存在しているし、一応の改善策が講じられても、それで全てが終わるわけでもありません。原作のように、複数回にまたがる伏線を張ることは、そうしたことを表現することでもあります。一方で、TVドラマ版のように、その回の中だけで始まって終わるようでは、事の本質を置き去りにした浪花節に過ぎません。いや、それどころか、TVドラマ版のように、何の改善策も講じられていないのでは、終わってない事実から目を背けて誤摩化しているだけに過ぎません。 !テーマの違い 原作が組織の問題を重視しているのに対し、TVドラマ版は個人の善悪を重視しており、その違いは物語の趣旨を全く変えてしまいます。原作では登場人物を善悪でハッキリ分けていませんが、TVドラマ版はほぼ善人と悪人に二分しています。原作でも、駄目人間は多数いますが、TVドラマ版のような極悪人は一人も出てきません。現実社会では、悪人が居なくても組織は腐って行きますし、善人も悪人も居る中でまともに機能する組織を作らなければなりません。勧善懲悪だとか、悪人が心を入れ替えたとか、そんな陳腐なシナリオでは、訴える物がなさすぎます。 {{lastmodified}} {{category_list 創作物語}}