米韓FTAのデマ

資料 

前スレで”毒素条項”について読んでみると書いていたものですが。とりあえず自分にとっての 関心事である、アメリカが自由貿易を口実に不平等条約・管理貿易を求めたかについて、 一通り読み終わったからまとめ。

(2)Ratchet条項:一度規制を緩和するとどんなことがあっても元に戻せない、狂牛病が発生しても牛肉の輸入を中断できない。

米韓FTAが韓国に不利とする主張

1.Each Party retains its rights and obligations under Article XIX of GATT 1994 and the Safeguards Agreement. This Agreement does not confer any additional rights or obligations on the Parties with regard to actions taken under Article XIX of GATT 1994 and the Safeguards Agreement, except that a Party taking a global safeguard measure may exclude imports of an originating good of the other Party if such imports are not a substantial cause of serious injury or threat thereof.

CHAPTERTENTRADEREMEDIESSectionA:SafeguardMeasures10-4

GATT19条は緊急貿易介入権限の規定

http://www.maff.go.jp/j/kokusai/boueki/sg_kanren/pdf/sg_4.pdf

輸入品に大きな問題があった場合の政府介入は正当化されている。

2.A Party shall apply a safeguard measure only following an investigation by the Party’s competent authorities in accordance with Articles 3 and 4.2(c) of the Safeguards Agreement, and to this end, Articles 3 and 4.2(c) of the Safeguards Agreement are incorporated into and made a part of this Agreement, mutatis mutandis.

CHAPTERTENTRADEREMEDIESSectionA:SafeguardMeasures10-2

こっちは暫定的なセーフガード発動を認める規定。国内産業に大きな影響が出た場合に発動可能。


(5)韓国に投資した企業が、韓国の政策によって損害を被った場合、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。 韓国で裁判は行わない。韓国にだけ適用。

米韓FTAが韓国に不利とする主張

2.The consent under paragraph 1 and the submission of a claim to arbitration under this Section shall satisfy the requirements of:

(a) Chapter II (Jurisdiction of the Centre) of the ICSID Convention and the ICSID Additional Facility Rules for written consent of the parties to the dispute; and

(b) Article II of the New York Convention for an “agreement in writing.”

第一章における合意および仲裁要求の提出は、ICSID協定第2章、ICSIDの追加的機関規定、ニューヨーク調停第2条の 要件を満たさなければならない。

CHAPTERELEVENINVESTMENTSectionA:Investment11-13

ご・や・く♪

(6)Non-Violation Complaint:米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる。例えば米の民間医療保険会社が「韓国の公共制度である国民医療保険のせいで営業がうまくいかない」として、米国政府に対し韓国を提訴するよう求める可能性がある。韓米FTAに反対する人たちはこれが乱用されるのではないかと恐れている。

米韓FTAが韓国に不利とする主張

1.Notwithstanding Article 11.18.2, an investor of the United States may not submit to arbitration under Section B a claim that Korea has breached an obligation under Section A either:

(a) on its own behalf under Article 11.16.1(a); or

(b) on behalf of an enterprise of Korea that is a juridical person that the investor owns or controls directly or indirectly under Article 11.16.1(b),

if the investor or the enterprise, respectively, has alleged that breach of an obligation under Section A in any proceedings before a court or administrative tribunal of Korea.

条文11.18.2の定めにかかわらず、米国投資家は、次の場合には韓国がA節(投資家同士の紛争調停)の義務に背いたとして B節(投資家国家間の紛争調停)による要求を仲裁に付託することはできない。

(a)条文11.16.1(a)による自身の利益にかかわる場合

(b)その投資家自身が条文11.16.1(b)に基づいて所有ないし直接、間接的に支配する法人である韓国企業の利益にかかわる場合

において、その投資家ないし法人が韓国の裁判所ないし行政裁判所における訴訟でA節の義務に違反したと申し立てを受けた場合。

CHAPTERELEVENINVESTMENTSectionA:Investment11-32

韓国限定のもとはこれだと思うけど、見ての通りの意味。before court... of Koreaをトンデモ解釈かましたかと思われる。


そもそもなんで自分がこれに引っかかったかというと、 http://www.aubetec.com/rimbaud/blog2/?p=185 の記述が事実なら、米国USTRが原理原則をかなぐり捨てたことになるから。 中国通商部だったら別にそういう条文結んでもありそうだけど、アメリカは考えにくい。 自分は、韓国外交が目先の利益のためなら長期的関係からは目をつぶるだろうと信じているくらい、 アメリカ外交が原理原則のために全力を尽くすことを信じているから。

アメリカが自由貿易を原則に掲げながら輸入割当だの自国免除特権だのを要求するってのは 尋常じゃないだろう。到底、根拠なしに信じられるものじゃなかったし、もし逆に事実だったら これからの日米交渉がとても大事になる。調べざるを得ないなあと。

で、調べた結果、基本的に全条文は両国に適用されることと上二つの内容が確認できて、 普通のアメリカであることが納得できた ←今ここ

以上ドットハライ

米韓FTA毒素条項がデマだったことが発覚した模様 - U-1速報

やはり、米韓FTAのISD条項は双務的(双方の国に義務あり)であるようだ。

さらに10月12日米国議会が議決した法案は「韓・米FTA協定文(韓国政府・与党が10月28日通過させようとしたのがこれである)」でなく、「韓・米FTA履行法案(H.R. 3080:United States-Korea Free Trade Agreement Implementation Act)」だ。

国際法専門家のソン・ギホ弁護士は10月20日の討論で「韓国では(韓・米FTA協定文の)1500ページ全部が国内法になる。しかしこの協定に対する米国の履行法は80ページ余りに過ぎず、これは米国の国内法にならない」と主張した。

実際に「履行法案」を調べて見ると、疑わしい部分が多い。

例えば履行法案102条(a)項は、「米国連邦法案が紛争に優先する(United States law to prevail in conflict)」と大原則を明らかにして、その内容を次のように説明している。

「米FTA協定文のどんな条項でもその条項の適用(特定の人や状況に対する)も米国連邦法律と一致しないならば効力が発生しない (No provision of the Agree-ment,nor the application of any such provision to any person or circum-stance,which is inconsistent with any law of the United States shall have effect.) 」

「韓・米FTA協定文と州法律の関係」を説明している102条(b)項も怪しい。

「州の法律も韓・米FTAために無効化されたりはしない。こういう問題を解決する唯一の主体は米国連邦政府だけだ」と決めている。

韓米FTAが不平等条約である理由(1) - シンシアリーのブログ


拙い英語力で米韓FTAの条文を読んでみましたが、ISD条項は「韓国のみに適応」と規定されていません。 米韓FTA上では、アメリカ政府を韓国の投資家が訴えることができます。

ただし、アメリカ側の履行法(United States-Korea Free Trade Agreement Implementation Act)にて米韓FTAと米国内法の関係が記載されており、そこでアメリカ外の人はアメリカ政府を訴えることができないと書かれていることが問題なのです。

⇒このやり方がTPPで通用するのであれば、日本側もアメリカと同様な制度を設けることでISD条項をかわせそうです。

【参考:アメリカと日本における条約の位置づけ】

・アメリカ合衆国憲法第6条

この憲法の確定以前に契約されたすべての債務及び締結されたすべての約定は、連合規約の下におけると同じく、この憲法の下においても合衆国に対して有効である。 この憲法、これに準拠して制定される合衆国の法律、及び合衆国の権限をもってすでに締結され、また将来締結されるすべての条約は、国の最高の法規である。 これによって各州の裁判官は、各州憲法又は州法の中に反対の規定がある場合でも、これに拘束される。

・日本国憲法第98条

この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

TPPを巡る議論の勘違い - 吊られた男の投資ブログ (一般人の投資生活)

米韓FTAで韓国側だけにISD条項が適用されるとする根拠は米国の国内法らしい。 「国内法で対応する」は野田総理の専売特許ではなく、既に、米国が実行していたようだ。 このやり方が通用するなら、日本も韓国も同じことをやればいい。

米韓FTAでISD条項を「米国が韓国に押しつけた」とする人もいますが、片務的なものでなく当然米国も韓国企業から訴えられます。 では米国は韓国に対して、反対派が言うように「治外法権」を認めたのでしょうか? さらに、韓国もほぼ全てのEPA・投資協定でISD制度を入れる努力をしていることも忘れてはならないポイントです。

TPP:ISD条項は治外法権か? - 金子洋一「エコノミスト・ブログ」

これが事実であれば、「米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用される」や「韓国が、ISD条項を飲まされている」は大嘘ということになる。

商品

  1. 協定基本内容
    • 相手国の商品に対し関税を撤廃
      • 両国はそれぞれの関税撤廃スケジュールにより相手国の商品(工産品/林水産物)に対して関税を撤廃、貿易の自由化を促進
    • 相手国の商品に対し原則的に内国民待遇を付与
      • WTO協定上の内国民待遇原則を韓米FTAで再確認

農業

  1. 協定文主要妥結内容
    • 牛肉、豚肉、高麗人参、唐辛子、ニンニク、玉ネギ等につき物量基準農産物特別セーフガード制度を導入
      • 韓国側が要求した農産物セーフガードを反映して、一部核心品目は関税撤廃後も一定期間存続
        • 米国は既存のFTAにおいて関税撤廃後にもセーフガード存続を認めたことはほとんどない
      • 当該年度輸入量が事前に決められた発動基準物量を超過する場合、追加関税を

貿易救済

  1. 協定文主要内容
    • アンチダンピング/相殺措置およびマルチセーフガード措置について両国が互いに発動を自制、または相互牽制できる手段を用意
    • 韓米FTA締結によって輸入急増が発生する場合、一時的に関税を再度復活できる二国間セーフガード制度を導入

2.主要争点別妥結内容

  • アンチダンピング/相殺措置牽制および解決手段の導入
    • 調査開始前の事前通知および協議
      • アンチダンピング提訴状の受付後、受付事実を相手国に書面通知し調査を開始する前に、国内法が許す範囲内で提訴内容について両国間が協議
  • 価格または物量合意活性化協議の強化
    • 米国はアンチダンピングや相殺関税についての価格または物量合意制度をほとんど利用していないため交渉の結果、韓国側が合意についての提案を提示すれば米側がこれを適切に(due)考慮し、韓国側に適切な(adequate)協議機会を付与するように規定
      • 現在300件余りに達する米国のアンチダンピング措置のうち、価格/物量合意はわずか6件
    • 貿易救済委員会設置-貿易救済委員会を設置し、(1)両国間貿易救済法令および慣行についての理解増進、(2)調査開始前の事前通知および協議条項と価格/物量合意条項の履行および遵守可否を監督、(3)貿易救済機関間協力増進、(4)両国のアンチダンピング、補助金および相殺関税、セーフガードについての情報交換、(5)貿易救済関連国際的問題(例:WTOアンチダンピング交渉)、両国調査機関の調査慣行(例:利用可能な事実*、実態調査手続き**)、産業補助金慣行などについて協議
      • 利用可能な事実(factsavailable):調査機関が被提訴輸出企業に資料を要求し、これに対する答弁提出が完全でない場合、調査機関が利用可能な事実に基づいて判定を下せる慣行
      • 実態調査手続き(verificationprocedure):調査機関が輸出企業の答弁書を受理した後、答弁内容の正確性を確認するために輸出企業を訪問して遂行する調査手続き
  • 二国間セーフガードの導入
    • 韓米FTAによる関税撤廃の影響で輸入が急増した場合、被害を救済するために関税を一時的に引上げできる制度を導入
      • 農産物など腐敗しやすい商品については早期に措置がとれる『暫定措置』を許容
      • 原則的に協定発効後10年間、関税撤廃期間がそれ以上である品目の場合、関税撤廃期間終了時まで存続
      • 措置が発動される場合最長2年まで維持が可能、必要時は1年延長が可能
  • マルチセーフガード裁量的免除
    • マルチセーフガード発動時、相手国の輸出品が及ぼす被害が大きくない場合、発動対象として相手国を裁量的に免除することができる根拠規定を用意
      • 当初米側は米国市場で韓国の輸出の割合が大きいため韓国に対しての免除条項の導入に反対

医薬品・医療機器

  1. 協定文主要内容
    • 医薬品関連事項
      • 両国の保健医療制度の差異を認定
      • 良質の保健医療提供のための医薬品について、適切なアクセス(affordableaccess)の重要性を規定
      • 特許医薬品の適切な価値認定 *薬価制度の手続き的透明性の向上
        • 独立的異議申請手続きを用意
      • 医薬品/医療機器委員会の設置
      • 製薬会社ホームページを通じ医薬品情報を提供
      • 倫理的営業行為の促進
      • 医薬品テスト基準および複製医薬品市販許可相互認定(MRA)のための協力
        • これより医薬品/医療機器委員会の傘下に技術作業班を設置
    • 医薬品知的財産権関連事項
      • 医薬品の資料保護(現行国内規定のとおり妥結)
      • 市販許可遅延に対する特許期間の延長(現行国内規定のとおり妥結)
      • 医薬品市販許可時に特許侵害の有無を検討(市販許可手続き自動停止は未反映)
    • 米側受け入れ(撤回)事項:韓国側立場を貫徹
      • 新薬に対する最低価格保障
      • 物価引き上げに伴う薬価の調整
      • 複製医薬品価格競争の重要性
      • 薬品経済性評価制度の施行猶予
      • 複製医薬品と新薬に同等の手続きを適用
      • 医療機器算定方法の変更
      • 保険対象リスト登載評価と薬価決定の分離
      • 他国の市販許可手続き遅延に伴う特許期間の延長
      • 強制実施権の行使要件制限

投資

  1. 協定文主要内容
  2. 主要争点別妥結内容
    • 国際仲裁手続きの透明性を画期的に向上
      • 国際仲裁判定部に提出された書類および仲裁審理の公開、国際仲裁時のNGOなど第三者意見の提出権を保障
      • 韓国語を英語と共に仲裁手続きの公式言語と規定

総則

  1. 協定文主要内容
    • 冒頭条項及び定義
    • 透明性
    • 組織規定及び紛争解決
    • 例外
      • GATT第20条(人命や健康等を理由とするセーフガード規定)及びGATS第14条一般的例外適用及び国家安保上の例外措置を許容
      • 租税措置は原則的に協定適用対象から除外
        • 但し、租税措置が収用に当たる場合は投資家対国家間紛争解決手続き(ISD)が適用されるか、ISDに付す前に、両国租税当局が先に協議する手続きを用意

韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.3,6,18,19,32,38,82)

日本貿易振興機構の仮訳を見る限り、米韓FTAお化けもほとんどデマのようだ。

A) 米韓FTAについて

なによりもまず指摘したいのは、協定は締約国双方に効力を有しますので、条文中で韓国を指定していない限りアメリカもこれに従わねばならないということ。 以下各論です。

米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になる

緊急時のセーフガード措置を指していると思われます(米韓FTA第10章.貿易救済措置)。 条文中でアメリカに限定しておらず韓国にも適用されますから、平等です。

韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに(中略)自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。

米韓FTA第9章.技術的障壁に関する確認書のことと思いますが、アメリカの排ガス基準と韓国の排ガス基準の間の整合性を取っているだけです。 その際に、アメリカ車の排ガス量を評価するものさしとしてカリフォルニア州の排ガス基準を使います。 アメリカ車に対する安全基準緩和は、販売台数が少数の場合や、韓国業界の”自主安全基準”を輸入車に強いないといった例外的な規定です。

競争条件を対等にするあるいは少数への配慮と解釈するべきで、韓国の基準がアメリカに乗っ取られたなどと言うのは誇張です。

また、TBT(Technical Barriers to Trade)といいますが、安全や環境対策などを名目に各国が勝手に規制を強化して非関税障壁をつくることを防ぐため、一方的な規制強化を制限しています。 自由貿易協定では一般的な概念ですから、韓国が環境や安全を守れなくなったなどと騒ぐのは恣意的に過ぎます。

知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。

米韓FTA協定第18章.知的財産権に関する確認書で確かに言及がありますが、著作権侵害があった場合ですよそれは。 不正コピーとか不正ダウンロードとかetc。

米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。

米韓FTA協定第5章.医薬品および医療機器に関する確認書の主旨は、薬剤や医療機器行政の透明性、公平性、無差別性を担保することです。 そのために中立の審査機関を設置する規定もありますが、企業が政府に申請できるのは、薬剤の特許、安全性、薬効、他の同等薬剤との比較を正当に評価してもらうこと。 申請が政府に認められたとしても、見直されるのは薬価ではなく償還額(保険償還額のこと。薬価と償還額の差額が患者負担になる)。 薬価をアメリカ企業の好きなように高くできるかのような解釈は誇張です。

「ラチェット規定」(中略)市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない

関税撤廃を目指す協定なのだから当たり前です。 せっかく下げたのに、一方的に再び関税を上げるのを許すなら協定を結ぶ意味がありません。

韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定

それは単なる最恵国待遇。 ごく一般的な概念です。 なぜこんなものを問題視しているのでしょうか。

TPP賛成派、反対派(1/2) - OKWave

この解説は分かりやすい。

外交通商部の通商交渉本部は9日、野党が「米国の要求で、投資家・国家訴訟制度(ISD)を韓米自由貿易協定(FTA)協定文に入れた」と主張したことと関連して、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代に作った韓米FTA草案にもISDが含まれている」と反論した。 通商交渉本部は、「野党と市民団体が韓米FTAに反対する名目として掲げるISDは、FTA交渉が始まった06年、韓国と米国いずれもこの制度の必要性に共感し、それぞれの協定草案に挿入した」と明らかにした。 当時、韓国が締結したすべてのFTAと多くの2国間投資協定(BIT)にもISDは含まれており、98年にスクリーンクォーター問題で中断した韓米BITでも、両者の合意事項だったため、協定文草案に含まれていたという。

そのほかの国家とFTAを締結する際に、韓国の投資家を保護するためにISDが必要だという現実論も作用した。 韓米FTA交渉からISDを除けば、韓国とASEANのFTA交渉で同制度に否定的な立場を示すASEAN諸国を説得することができず、今後、そのほかの交渉でも同様のことが起こるためだ。 通商交渉本部関係者は、「当時、両国がISD制度を草案に入れたのは、この制度が安全な相互投資のための基本だと考えたからだ」と説明した。

このような内容は、07年7月に民主党が提出した「韓米FTA交渉結果評価報告書」でも確認できる。 報告書は、「この制度のために韓国政府が投資家に提訴される恐れがあることは事実だが、外国人投資の拡大や海外進出の韓国投資企業を保護するために必要な制度であることを考慮すると、採択することが望ましい」と記されている。

外交部「盧政府FTA草案にもISDが含まれている」 - 東亞日報(P.3,6,32,38)

韓国では野党がISD条項に反対しているが、その野党が与党時代に作った米韓FTA原案にISD条項が入っていたらしい。

問題となったのは「ISD条項」だ。 政府の規制などによって韓国に投資した米国企業が損害を被った場合、企業が政府を訴えることができる、というものだ。 米韓FTAについては、韓国側に一方的に不利な“毒素条項”が含まれるとされ、日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加でも同様の事態になるとして反対派が喧伝しているが、その代表例である。

環境保護や国民の安全・福祉目的の規制であっても、それが企業の不利益になると見なされれば訴えられる、つまりは国家の主権が侵害されるというのが反対派の主張だ。

企業が無制限に政府を訴えられるとすれば、確かに大問題である。 しかし実際には、「普通はそういったことはありえない。韓国政府はかなりていねいに予防線を張っており、むしろ日本にとって参考となる」(奥田聡・アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ長)。 具体的には、国民の健康・安全、環境保護、不動産価格安定化などのための政策は適用排除、例外、留保などの規定がついている。


米韓FTAで毒素条項とされたものは10項目以上あったが、ISD条項以外は、韓国では解釈の誤りとしてすでにほぼ収束している。

韓国側にとって、米国に押し切られた“問題含み”の項目がいくつかあることは事実である。 たとえば、大型車の税率を引き下げることになった自動車税の改定、薬価算定制度で参入企業に異議を唱えることを認めたことなどだ。

だが、韓国が一方的に譲歩したわけでもない。 米国は交渉の過程で、農業分野のみならず、サービス・投資分野においても当初の要求から後退を重ね、米国内では「ほとんど取れるものがなくなった」という評価だという。

米韓FTAをめぐる動きは、交渉が決して一方的なものではないことを示している。 TPP交渉への参加表明だけで、米国の思うままにされる、という反対派の主張は明らかに誤りだ。 今必要なのは、正確な情報に基づいた活発な議論である。

催涙弾飛び交うなか強行採決 米韓FTA“毒素条項”の真相 - ダイヤモンド・オンライン

中野剛志准教授のデマに加担していたダイヤモンド・オンラインも、ついに彼らのデマを暴露するようになったようだ。

著作権関連 

米国の知的財産権制度をほとんどそのまま受け入れた韓-米自由貿易協定(FTA)により国内インターネット業界と使用者は不安に震えることになった。 一日でサイトが閉鎖されたり不法複製容疑で訴えられ刑事処罰と共に巨額の損害賠償金を出さなければならないこともある。

韓-米協定の不法複製関連付属書簡は著作権を侵害するサイトだけでなく、著作物の無断複製、伝送を許容するインターネット サイトも閉鎖することができるよう定めている。 ナム・ヒソプ弁理士は27日「付属書簡で名指ししたウェブハードやファイル共有サイト(P2P)だけでなく、ネイバー、ダウムのようなポータルサイトも含まれる」と話した。 国内ポータルは一時期、事業者または使用者による不法複製を通じて膨大なコンテンツを構築してきたし、それをデータベース化して検索事業に活用してきた。 ネイバーの知識人コーナーのように問答型情報サービスが代表的なもので、記事や写真など著作権のあるコンテンツをそのまま転載することはブログやカフェでは珍しくない。 あるポータル関係者は「対応策の準備を議論しており、変わった内容を利用者らに公示することも検討中だ」と明らかにした。

韓-米協定と共に通過した著作権法改正案はインターネットで広く使われている‘一時的保存’を明確に‘複製’の範囲に含ませた。 インターネット サービスは一つのファイルを細かく分けて移動させるため、コンテンツをなめらかに見るためにはバッファリングやキャッシュのような‘一時的保存’技術が使われてきた。 情報を使用者PCに永久保存せず、電源が切れれば情報が消される臨時メモリー(RAM)に情報を閉じ込めておく技術だ。 ‘コンピュータで円滑で効率的な情報処理のために必要だと認められる範囲’内でのみ例外を認めるという但し書が付いているが、‘一時的保存’が複製として規定されたことにより多様なサービスが危険になった。 例を挙げれば、インターネットで音楽、映画、ゲームなどデジタル著作物を所有せずに一回きりで利用することは幅広く許されてきた。だが、法が発効する来年からは一時的保存も複製として規定され、著作権者の統制下に入る。

‘著作物一時保存’も複製と見なす…営利目的がなくとも処罰対象に - ハンギョレ・サランバン

以上もデマである。

もちろん、一時記憶を何から何まで禁止してしまえば、あらゆるウェブサービス、ウェブアクティビティが成り立たないので、一定の制限、例外は設けられるようだ。 米韓FTA 18.4.1には以下の脚注が付されている。

Each Party shall confine limitations or exceptions to the rights described in paragraph 1 to certain special cases that do not conflict with a normal exploitation of the work, performance, or phonogram, and do not unreasonably prejudice the legitimate interests of the right holder. For greater certainty, each Party may adopt or maintain limitations or exceptions to the rights described in paragraph 1 for fair use, as long as any such limitation or exception is confined as stated in the previous sentence.

(各当事国は、第1項において記述される権利の制限ないし例外を、作品、実演またはレコードの通常の使用を妨げず、権利者の正当な利益を不当に害しない特定の場合に限定するものとする。 明確性のため、各当事国は、制限ないし例外が上記の文にあるように限定される限りにおいて、公正な利用(fair use)のために、第1項で記述される権利の制限ないし例外を採用または維持できる。

http://www.ustr.gov/sites/default/files/uploads/agreements/fta/korus/asset_upload_file273_12717.pdf

簡単に言うと、一定の権利制限や例外を設けてもいいけど、あまり広げすぎないように、というところだろうか。 fair useという言葉が使われているが、いわゆる権利制限の一般規定、包括的なフェアユース規定ではなく、日本の著作権法第1条にある「公正な利用」に近い。

TPP著作権関連:著作物の一時記憶(キャッシュ)にも権利者の許諾が必要に? - P2Pとかその辺のお話@はてな


韓米FTAが発効されれば、日常のインターネットでの検索行為が著作権侵害になり得るという主張は事実ではない。 著作物の利用過程で付随的に発生する一時的な保存は、一時的な複製を許可する例外規定の「円滑かつ効率的な情報処理のために必要だと認められる範囲」に該当するもので、著作権侵害にはならない。

映画上映館でビデオカメラを所持しているだけでも盗撮未遂罪で刑事処罰されるという主張もまた事実でない。 協定文や関連国の事例を考慮する際、複製や送信の目的がなかったり、ビデオカメラなど録画装置を単に所持しただけでは処罰の対象にはならない。

韓米FTA履行のための著作権法改正案が通過 - JETROソウルセンター知的財産権事務所

妄想 

今米韓FTAで問題とされている条項は「いったん開放した部門を再び規制する『後戻り』はできない」という「ラチェット規定」、「今後韓国が他の国とFTAを締結し、その内容が米韓FTAよりも相手国に有利であった場合、その内容も米韓FTAに自動的に反映する」という「未来最恵国待遇条項」などがあって、韓国では「毒素条項」とも言われている。

TPPの前に米韓FTAがあった - BLOGOS

貿易の自由化を進める条約なのだから、原則的に後戻りできない「ラチェット規定」(例外的理由による後戻りは認められる)が設けられるのは当たり前である。

韓米両国が遵守すべき義務 両国は相手国のデジタル製品について内国民待遇および最恵国待遇を付与する 韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.47,58) 等、米韓FTAでは最恵国待遇は双方が守らなければならない。 そもそも、最恵国待遇WTOの基本原則であり、今さら大騒ぎするような代物ではない。

韓国が米韓FTA でアメリカから勝ち取ったものは車の関税撤廃だという。 しかしそこには、韓国車の販売がアメリカで急増する場合はセーフ・ガードを発動し関税をつけるという規定がある。

TPPの前に米韓FTAがあった - BLOGOS

韓国側が要求した農産物セーフガードを反映 韓米FTA締結によって輸入急増が発生する場合、一時的に関税を再度復活できる二国間セーフガード制度を導入 韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.6,19) とされているように、米韓FTAでは輸入急増に対するセーフガードはどちらの国も発動できる。

さて、それではなぜ韓国政府はこのような条約を呑んだのだろうか。 米韓FTAが去年の12月に調印される直前、韓国では北朝鮮による「ヨンピョン島への砲撃事件」があった。 これはイ・ミョンバク大統領だけが悪いとはいえないけれど、彼は以前から米軍との合同訓練なんかで様々な威嚇を対外的にも国内的にしてきたわけだ。 米韓FTAはそのツケであろう。 与党のハンナラ党はFTA批准を強行するという立場で「FTAに関する怪談を流布する者を捜査する」と表明するという段階にまでなってしまい、議論が難しくなった。

TPPの前に米韓FTAがあった - BLOGOS

「ヨンピョン島への砲撃事件」「様々な威嚇を対外的にも国内的にしてきた」の何がどのように「そのツケ」となり米韓FTA批准が必要になったのか全く意味不明である。


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