「1/22厚労省通達でCt値を下げた」の嘘

はじめに 

このページは「日本は諸外国よりCt値を高く設定している」の嘘の一部である。 以下も参考に。

ネット上の情報を鵜呑みにする前に 

ネット上の陰謀論等を目にして「俺は真実に覚醒した」と思っている人は、是非、新型コロナの主要なデマに掲載した高知東生氏の次の言葉に耳を傾けてほしい。 以下は特に重要。

  • 裏を読む以前に、表の仕組みすら何も知らない
  • 誰でも見れる情報「本当の真実」は裏ではない
  • 都合のいい妄想ってつなぎ合わせただけで案外辻褄があう

裏を探そうと世界中のジャーナリストが躍起になっている。 専門に情報を追っている人でさえ簡単に見つけられない情報を一般人が簡単に見つけられるわけがない。 それに気づいた高知東生氏こそが本当の覚醒者である。 それに気づかない人は、未だ、自らが覚醒者だと勘違いした妄想の中に漂っている。

厚生労働省通達 

医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請) - 厚生労働省別添2「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 検体プール検査法の指針」には、検体プール検査法の事前及び定期の確認方法について記載されているだけである。 検査の基準についての変更指示はない。 もちろん、測定値であるCt値を何らかの値に設定するような指示はない。

②検体プール検査法実施前に必要となる精度管理(妥当性の確認(バリデーション))

検体プール検査法の精度について、個別検査と検体プール検査法による検査の結果の比較・評価により、事前に確認すること。 その際は、ウイルス量が多い検体のみならず、ウイルス量の少ない検体においても妥当な結果が得られることが必要であり、また、各グループについて一致率の検証ができるように最低でも同一のグループ内で5以上の検体を用いて実施すること。 Ct値は系や環境によるので、一様に定義することはできないが、例えば、感染研法による場合、検体プール検査法による検出限界を100コピー/テストとすると、Ct値では35程度になることから、CT値30〜35付近の陽性検体をCt値に偏りなく混ぜて20以上のプール化検体を作成し(陰性検体も同数)を作成し、 一致率(陽性検体を混合したプール化検体は陽性になること、陰性検体からなるプール化検体は陰性になること)が85%以上であるか確認することが適当である(FDAでは、プール化した検体数(例えば、5つの検体を同時に混合してまとめた検体)を20以上(カットオフCtに近い検体(前述の場合であれば35)を25%以上含めることが推奨されている)として評価することを推奨している)。 なお、こうした精度の妥当性の確認については、検体プール検査の開始後も、定期的に実施すること。

医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請) - 厚生労働省別添2「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 検体プール検査法の指針」

ここでは、検体プール検査法においては、事前及び定期的に、以下の一致率が85%以上となることを確認するように書かれている。

  • 陽性検体を混合したプール化検体は陽性になること
  • 陰性検体からなるプール化検体は陰性になること

その際、「陽性検体を混合したプール化検体」の作り方の説明においてCt値が言及されている。 「感染研法による場合、検体プール検査法による検出限界を100コピー/テストとすると、Ct値では35程度になる」は、「検体プール検査法による検出限界」が「100コピー/テスト」の場合、「感染研法による場合」の特性から逆算して「Ct値では35程度」に相当するという意味である。 単体検査における「感染研法による場合」のカットオフ値が35という意味ではない。 ただし、「100コピー/テストとすると」と仮定として書かれているのはプール数によって変わるためと思われる。 このケースにおいて「陽性検体を混合したプール化検体」は次のように作ることと例示されている。

  • Ct値30〜35付近の陽性検体をCt値に偏りなく混ぜる
  • 20以上のプール化検体を作成

これが意味することは次のとおりである。

  • 「検体プール検査法による検出限界」の一例として「100コピー/テスト」≒「Ct値では35(「感染研法による場合」)」が挙げられている
  • 「検体プール検査法による検出限界」が「Ct値では35」の場合に「Ct値30〜35付近」とは、「検体プール検査法による検出限界」の「コピー/テスト」と同数かそれよりやや多いことを指す
  • その条件を満たす陽性検体のみを混ぜた場合には陽性にならなければならない(一致率85%以上)

ようするに、陽性になるはずの検体のみを混ぜた場合は陽性にならなければならないということである。

また、「プール化する検体数に応じた適切なカットオフ値(陽性/陰性の判断)を設定すること」とは書いてあるが、具体的な数値の指示はない。 つまり、検査の基準についての変更指示はない。 もちろん、測定値であるCt値を何らかの値に設定するような指示はない。

尚、「検体プール検査法による検出限界」は単体検査よりも大きくなる。 というのも、「プール化する検体数が増加するに従って、検査される検体は希釈される」からである。

④適正なプール化検体の数および試料の種類について

プール化する検体数が増加するに従って、検査される検体は希釈されるため、理論的には偽陰性の割合が高くなることが想定される。 本研究報告では、プール化検体数10より5において一定条件下において有効な成果が得られた。 また、諸外国の例においては2〜10程度のプール化の実施が認められる。 偽陰性をなるべく低く抑える観点からは、プール化検体数5を基本としての実施を推奨する。 今回の研究報告においては唾液と鼻咽頭による検体が使用されたが、唾液により良好な結果が得られた。 他の試料についても理論的に可能と考えられるが、それぞれの検体について適切に精度評価を行うこと。

※日本のPCR検査と外国の使用状況は異なるが、FDAは陽性率5%程度で5プールを基本、NHSは陽性率3%程度で6プールを基本として例示している。

医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請) - 厚生労働省別添2「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 検体プール検査法の指針」

尚、ここで言う「検体プール検査法による検出限界」は1つの検体に対する検出限界である。 当然のことながら、同じキットと同じ検査機器を用いる限り、プールした後の検出限界はいくらプールしても同じである。 だからこそ、1つの検体に対する検出限界は「プール化する検体数が増加するに従って、検査される検体は希釈される」のである。 その結果として、「検体プール検査法による検出限界」における「コピー/テスト」数は、プールする検体が増えるほど大きくなる。 そして、それに対応するCt値は、プールする検体が増えるほど小さくなる。

例示では、検体プール検査法の検出限界Ct値が35の場合に「30〜35付近の陽性検体」を用いることになっている。 それは、検体プール検査法において陽性となり得る検体を陽性検体として扱うからである。 その検体のCt値が検体プール検査法の検出限界Ct値を超えている場合は、検体プール検査法では検出限界以下となるから、陽性となり得ない。 だから、検体プール検査法で陽性となる検体を用いるなら、用いる検体のCt値は検体プール検査法の検出限界Ct値以下でなければならない。 一方で、あまりにも小さなCt値を用いれば、確認が甘くなりすぎる。 そして、35ちょうどの検体ばかりを集めるも難しい。 そこで、ある程度の誤差を許容して「30〜35付近の陽性検体」を用いることとしているのである。

ここで、現実の検出限界Ct値が理想とは違う点に注意する必要がある。 本来、精密検査より感度が劣る簡易検査には意味がない。 何故なら、感度が劣る簡易検査を導入すれば、偽陰性が増えてしまうからだ。 それならば、簡易検査などせずに初めから精密検査をすればよい。 だから、理想的には、「検体プール検査法による検出限界」に相当するCt値はプール検体数が増えても小さくならないことが求められる。 しかし、現実には、技術的制約によって理想に反して、プール検体数が増えれば増えるほど小さくなる。 よって、額面上の「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」を変更しなくても、検体プール検査法では検体1つ当たりの実質的「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」は下がってしまう。

ところで、この精度の確認方法は非常に雑である。 何故なら、本来、プールした検体のうちの1つでも陽性であれば、陽性判定にならなければならないからである。 しかし、この精度の確認方法では、陽性検体のみをプールした場合に陽性判定になれば良いことになっている。 それでは、1つだけが陽性であった場合に陽性判定になることが保証されない。 そんな雑な確認方法で良いのか。 この文書では「確認」と書かれており、「検証」や「検査」などとは書かれていない。 つまり、大雑把な確認が取れれば良いのであって、厳密な検証や検査を求めていないのである。 恐らく、これは、精度が微妙にずれていないかを検査することが目的なのではなく、信頼性が著しく低下するような何らかの手違いがないかを確認することが目的なのであろう。

また、第51回厚生科学審議会感染症部会ではプール化検査の問題が次のように指摘されている。

プール化検査の課題と対応

1)明らかになった課題

5,10検体プール共に検査法・試薬において判定結果の不一致が発生する(<50-100%)

特に10検体プールにおいては偽陰性と判定されるケースが高頻度で認められた

③選択する試薬・機器の差によって性能差が存在した

④プールの作製に手間と時間がかかる

⑤プール化によって検体取り違えリスク・コンタミリスクが増大する可能性が示された

第51回厚生科学審議会感染症部会【資料2-1-1】プール検査最終報告p.4

プール化検査では偽陰性が増加する。 「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」を下げると、当然、偽陰性はさらに増加する。 それでは、「適切なカットオフ値(陽性/陰性の判断)」とは言い難い。 よって、「プール化する検体数に応じた適切なカットオフ値(陽性/陰性の判断)を設定」するならば、額面上の「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」を下げることはあり得ない。 ただし、額面上では下げなくても、検体1つ当たりの実質的な「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」はプール化する検体数が多いほど下がってしまう。 だからこそ、額面上の「カットオフ値(陽性/陰性の判断)」を下げては「プール化する検体数に応じた適切なカットオフ値(陽性/陰性の判断)を設定」とならないのである。

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