新型コロナ対策からの現実逃避こそが最大の経済損失

「規制のせいで経済がダメージを受ける」の誤り 

次のように考えている人がいる。

  • 規制を強化すれば、感染を抑制できるが、経済にダメージを与える
  • 規制をしなければ、感染は拡大するが、経済ダメージはない

しかし、現実はそうではない。 感染が拡大し、入院患者が激増すれば、働き手が減る一方で、治療のコストが増えるから、経済にダメージを与える。 多数の死者が出れば、その人たちは経済活動に復帰することがなくなるので、さらに経済にダメージを与える。 だから、感染が拡大してしまえば、規制をしてもしなくても経済にダメージを与えるのである。 そして、その度合いによっては、それによる経済ダメージは、規制による経済ダメージを上回る。 経済にダメージを与える根本は新型コロナであって、規制による経済ダメージは表面的な問題に過ぎない。

4月からの緊急事態宣言が経済に大きなダメージを与えたと言う。 しかし、それは、次の2点の問題であって、緊急事態宣言に問題があったわけではない。

  • 緊急事態宣言が遅きに失した
  • どのような規制をすべきかの検討がなされていなかった

感染が拡大してから感染を収束させようとすると、より強い規制を長く続ける必要がある。 4月に新規陽性者数がピークを迎えても、入院治療等を要する者の数は増え続けた。

陽性者数と患者数のピークのズレ

オープンデータ - 厚生労働省

そして、ある所から急に死者数が急増した。 その後、入院治療等を要する者の数の減少に沿って死者数も減少している。 以上の事実は、医療崩壊一歩手前だったことを示唆している。 緊急事態宣言がもっと遅かったり、自粛範囲がもっと狭ければ、もっと多数の死者が発生していたかもしれない。 逆に、緊急事態宣言がもっと早ければ、さらに短い自粛期間で死者数を減らせた可能性もある。

結局、規制に及び腰な考え方があったせいで、緊急事態宣言を出すことに躊躇しただけでなく、規制に関する議論すら進まない状況に陥った。 結果、お尻に火がついてから、急遽、緊急事態宣言を出し、その効果や影響を考えることなく、何でもかんでも自粛ということになった。 そのせいで、経済に大きなダメージを与えたのである。

学ぶべき成功例 

ニュージーランドは、状況に応じた4段階の規制を導入している。

3月25日のレベル4から徐々に規制を弱めていって6月8日には感染者0を達成している。

検討すべきだったこと 

日本政府は、4月からの緊急事態宣言の効果と影響を精査し、次回に備えるべきだった。

「コロナは大したことがない」のではなく、初期段階において、日本はコロナを多大な経済や生活の犠牲を払って凌ぐことができた。 その理由を精査した上で、より少ないコストで、コロナ対策を継続する道筋を探らないといけなかった。 そのための軍資金も準備しないといけなかった。

2020年7月26日午前8:01(勝川俊雄) - Twitter


3月末では情報が少なかったので、とにかく人の接触を止めるために緊急事態宣言をするのは仕方が無かった。 現在は、国内でも情報が蓄積されているのだから、より経済的な負荷が小さいブレーキのかけ方がわかるはずなんだよね。 そういう議論を経済学者に期待した。

2020年7月26日午前8:18(勝川俊雄) - Twitter

「より経済的な負荷が小さいブレーキのかけ方」としてニュージーランドの事例に学ぶことができる。 実際に行われた対策や、新たに考えられる対策について、個別に、感染を防止する効果と経済に与える影響を評価し、それらの優先度を割り当てればよい。 そして、感染拡大の度合いに応じて、優先度の高い対策から順次実施すれば良い。 さらに、どの段階で、どの優先度の対策を実施するか、総合的な観点から、事前に検討しておくべきだった。 それらに予算が必要なら、あらかじめ予算を確保しておけば良い。 そうすれば、次回の感染拡大に備えることができる。 しかし、あろうことか、客観的な評価を行うことなく、「規制をするのはまかりならん、経済を回せ」という結論ありきで、それを正当化するためにK値なる疑似科学まで受け入れてしまう始末。

残念ながら、国が選んだ経済学者たちは、国民全員PCRを唱えたり、K値を国に持ち込もうとしたりと、ろくな事をしなかった。 おそらく、人選に問題があったのだと思う。 時間を無為につかい、来ることがわかっていた第二波の前に、経済負荷が小さく実効性がある対策を立てることができなかった。

2020年7月26日午前8:27(勝川俊雄) - Twitter

結果、ほぼ無防備なまま第2波を迎えることとなってしまった。

第2波のPCR陽性者数の推移 第2波の患者数の推移

オープンデータ - 厚生労働省

今、まさに、医療崩壊の危険性が目の前に迫っているのに、規制に及び腰のままであり、今後の方針すら検討されていないのでは、危機感が著しく欠如している。


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    科学

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