新型コロナとBCG

はじめに 

以下も参考に。

最初に 

コホート研究等はバイアスが多くて使い物にならない。

  • BCGカバー率を考慮せずに単純にCurrently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)とNever mandated(BCG接種非強制国)に分けたことによるバイアス
    • 世界の圧倒的多数がCurrently mandated
    • Currently mandatedとそれ以外の国のBCGカバー率は逆転例も多い
    • 対策失敗国が偶然にもCurrently mandated以外(少数派)に偏っている
  • 各国の水際対策の可否や成否によるバイアス
  • 各国の人為的対策の効果によるバイアス

無作為化試験の結果が出ないとハッキリしたことは言えないが、おそらく、BCGには新型コロナを劇的に改善する効果はないだろう。 というのも、最も効果が高いと言われる日本株を強制摂取している日本において、自粛等の効果を除く自然要因での感染抑制効果が全くと言って良いほど見られないからである。 詳細は最後にまとめる。

簡潔な説明 

後ろ向きコホート研究 

Nature掲載 

We then extracted incidence and mortality of COVID-19 cases from the updated (up to 29 May 2020) data from the website of the Worldometer.info9. We selected countries with at least 1000 confirmed cases of COVID-19 (further details of the criteria for selection of countries are provided in the “Materials and Methods” section). The numbers of infections and deaths in these countries vary dramatically and cannot be compared directly, as the population sizes of these countries also vary (see Table 1). Therefore, we estimated the number of cases per million capita and presented the normalized measurements in Fig. 1 for the incidence and mortality, respectively.

次に、Worldometer.info9のWebサイトの更新された(2020年5月29日更新)データからCOVID-19症例の発生率と死亡率を抽出した。 COVID-19の確定症例が1000件以上ある国を選択した(国の選択基準の詳細については、“Materials and Methods”のセクションを参照されたい)。 これらの国の感染数と死亡数は劇的に異なり、これらの国の人口規模も異なるため、直接比較することはできない(表1を参照)。 したがって、100万人あたりの症例数を推定し、発生率と死亡率についてそれぞれ正規化された測定値を図1に示した。

BCG vaccination policy and preventive chloroquine usage: do they have an impact on COVID-19 pandemic? - SNature

Science Advances掲載の論文のように感染拡大初期30日分を抽出せず、単純に各国の累計感染者数と累計死亡者数のみを比較しているようである。

This type of analysis does not reflect the true impact of BCG against COVID-19. For example, a country with a higher percentage of population of elderly people may report more deaths than a country with a relatively younger population, simply because of increased comorbidities that worsen disease severity. Unfortunately, not enough public data are available to analyze the impact of such confounding factors. We therefore further probed how the incidence and mortality varies among different age groups in a population. We considered five different age groups, namely: <15, 15–44, 45–64, 64–79, and over 80 years of age.

このタイプの分析は、COVID-19に対するBCGの真の影響を反映していない。 たとえば、高齢者の人口の割合が高い国は比較的若い人口の国よりも多くの死亡を報告する可能性があるが、これは単に疾患の重症度を悪化させる併存疾患の増加によるものである。 残念ながら、そのような交絡因子の影響を分析するのに十分な公開データはない。 したがって、集団内のさまざまな年齢層間で発生率と死亡率がどのように異なるかをさらに調査した。 5つの異なる年齢層、すなわち15歳未満、15–44歳、45–64歳、64–79歳、および80歳以上を検討した。

BCG vaccination policy and preventive chloroquine usage: do they have an impact on COVID-19 pandemic? - SNature

各国の年齢構成の違いによるバイアスを除去しようとはしているようだ。 しかし、各国の政策の違いによるバイアスを除去する文言は見られない。

The results in Fig. 1a show that countries without a universal BCG policy (such as Belgium, Italy, the United States, and the Netherlands) have increased incidence of COVID-19 (2810.9 ± 497.1 (mean ± SEM) per million) compared with countries with ongoing national BCG policy (570.9 ± 155.6 (mean ± SEM) per million). The incidence for countries that discontinued BCG vaccination was intermediate between these two groups (1844.67 ± 508.89 (mean ± SEM) per million).

図1aの結果は、普遍的なBCG政策がない国(ベルギー、イタリア、米国、オランダなど)は、進行中の国家BCG政策がある国(100万人あたり570.9±155.6(平均±SEM))と比較してCOVID-19の発生率(2810.9±497.1(平均±SEM))が増加していることを示している BCGワクチン接種を中止した国の発生率は、これら2つのグループの中間であった(100万人あたり1844.67±508.89(平均±SEM))。

BCG vaccination policy and preventive chloroquine usage: do they have an impact on COVID-19 pandemic? - SNature

データを見るとCurrently mandated(BCG接種強制国)が117ヶ国、Mandated in the past(過去のBCG接種強制国)が11ヶ国、Never mandated(BCG接種非強制国)が6ヶ国でCurrently mandated以外は非常に数が少ない。 Mandated in the pastとCurrently mandatedは少ない国のデータに頼っているため、これらの国に交絡要因が含まれていると、非常にバイアスが大きくなる。

Science Advances掲載(感染拡大初期30日分の分析) 

感染者数 

All countries that had reported at least 15 days of at least 100 total confirmed cases and that had available data on BCG policy and covariates (median age, gross domestic product per capita, population density, population size, and net migration rate) were included (134 countries in total). For each country, day 1 was set to be the first day of at least 100 confirmed cases. See column 2 of table S1 for the date of day 1 for each included country.

合計100件以上の確認症例を15日以上報告し、BCGポリシーと共変量(年齢の中央値、1人あたりの国内総生産、人口密度、人口規模、純移動率)に関するデータが入手可能なすべての国が含まれる( 合計134カ国)。 各国について、1日目は100件以上の確認症例の初日となるように設定された。 含まれる各国の1日目の日付については、表S1の列2を参照されたい。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

各国の対策の効果がバイアスとなるので、それを取り除く目的で発生から30日間に限定したデータのみを採用したものと思われる。 しかし、以下に述べる通り、少なくとも、日本においてはバイアスが多分に含まれる30日間が選定されてしまっている。 Supplementary Materials for Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19表S1によれば、日本における100件以上の確認症例の初日は2020年2月21日である。 しかし、この時期の日本は自然に感染が拡大している時期ではない。

第1波立ち上がり時の感染推移 第1波立ち上がり時のGoogle人流データ

オープンデータ - 厚生労働省 COVID-19:コミュニティ モビリティ レポート - Google

全国的な自粛が浸透していないにも関わらず、陽性者数が増えたり減ったりしているので、未だ新型コロナがクラスター等の局所的な発生に留まり、かつ、封じ込めに成功している時期と思われる。 一貫した増加に転ずるのは報告日ベースで2020年3月18日頃(感染日ベースでは2020年3月4日頃)からであり、この頃から新型コロナが全国的に蔓延したと思われる。 そして、自粛の効果が現れ始めるのが報告日ベースで2020年4月5日前後であり、それ以降は自粛によって感染拡大が抑制されている。 つまり、日本において純粋に自然な感染の広がりを見せているのは報告日ベースで2020年3月20日頃〜2020年4月5日頃のみであると考えられる。 その時期とデータとして採用された時期の違いは大きなバイアス要因となる。

As shown in Table 1A, we found a significant main effect of day, b = 0.114, P < 0.001, reflecting an exponential increase in cases over time. This increase was qualified by a significant interaction between day and BCG policy status. Specifically, the growth rate of COVID-19 cases was significantly slower in countries with mandated BCG vaccinations until at least 2000, compared to countries without mandated BCG vaccinations through 2000, b = −0.039, P < 0.001 (see Fig. 1, A and B). Figure 2A shows the distribution of the country-wise regression coefficients.

表1Aに示すように、時間の経過に伴う患者の指数関数的な増加を反映して、予測因子(日)の有意な主効果、b = 0.114、P <0.001が認められた。 この増加は、予測因子(日)とBCG政策状態の間の重要な相互作用によって確認された。 具体的には、2000年までにBCGワクチン接種が義務付けられていない国と比較して、2000年までにBCGワクチン接種が義務付けられている国では、COVID-19患者の増加率が有意に低く、b = -0.039、P <0.001(図1、AおよびB参照)であった。 図2Aは、国ごとの回帰係数の分布を示す。

新型コロナのBCG効果

Countries that once had such policies but terminated them before 2000 were not significantly different in growth rate from those that never instituted mandatory BCG vaccinations, b = −0.009, P = 0.610. In terms of control variables, larger population size predicted a faster growth rate of confirmed cases. See table S2 for a correlation table of all predictor variables.

2000年以前にそのような政策を終了した国は、強制BCGワクチン接種を一度も実施しなかった国と成長率に有意差はなく 、b=−0.009、P=0.610であった。 制御変数に関しては、より人口規模が大きいほど、確認された患者の成長率が大きくなると予測された。 すべての予測変数の相関表については、表S2を参照のこと。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

発生から30日間の感染者の増減率は、BCG接種強制国で約1.09倍/日、BCG接種非強制国で約1.19倍/日で、BCG接種強制国の方が有意に小さいとのこと。 これが本当ならBCGに一定の予防効果が認められるが、それだけで感染が収束するわけではない。

東洋経済が新型コロナ「実効再生産数」を公開 - 東洋経済ONLINEで採用している簡易計算式から再生産数に換算すると、BCG接種強制国で約1.54、BCG接種非強制国で約2.48。 そこから自然収束が始まる感染率を計算すると、それぞれ約35%、約58%となる。 よって、感染者数を6割程度に抑える効果は認められる。 しかし、致死率1%ならば、ピーク時に日本人の約35%が感染すると、その時点で40万人以上が死亡する計算となる。 よって、BCGを投与しても他の対策が不要とはならない。 尚、新型コロナ自然収束説の致命的矛盾にて、自然収束説の具体的問題点を説明する。

尚、日本はBCG強制接種国であるので、今から接種を検討する意味はない。 また、日本の初期の再生産数は2以上あるため、この論文のBCG接種強制国の値よりは悪い。

新規陽性者シミュレーション

オープンデータ - 厚生労働省

死亡者数 

All countries that had reported at least 15 days of at least one death from COVID-19 and that had available data on BCG policy and covariates (135 countries in total) were included in this analysis. For each country, day 1 was set to be the first day of at least one confirmed death. See column 3 of table S1 for the date of day 1 for each included country.

COVID-19による1人以上の死亡が15日以上報告され、BCGポリシーと共変量に関するデータが入手可能なすべての国(合計135か国)がこの分析に含まれる。 各国について、1日目は1人以上の死亡確認の初日として設定された。 含まれる国ごとの1日目の日付については、表S1の列3を参照されたい。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

各国の対策の効果がバイアスとなるので、それを取り除く目的で発生から30日間に限定したデータのみを採用したものと思われる。 しかし、それならば、感染者数の分析と同じ日のデータを取得すべきではないか。 違う基準でデータを選定すれば、新たなバイアスが発生するのではないか。 また、感染者数の分析と同様、少なくとも、日本においてはバイアスが多分に含まれる30日間が選定されてしまっている。

Supplementary Materials for Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19表S1によれば、日本における1人以上の死亡確認の初日は2020年2月13日である。 この時期の日本は感染が拡大している時期ではないことは、感染者数の分析と同様である。

We estimated a linear mixed model of the natural log-transformed number of deaths, controlling for the same control variables as above. As in the analysis on confirmed cases, we found a significant main effect of day, b = 0.139, P < 0.001, reflecting an exponential increase in deaths over time (Table 1B). This increase was qualified by a significant interaction between day and BCG policy status. Specifically, the growth rate of COVID-19–related deaths was significantly lower in countries with mandated BCG vaccinations until at least 2000, compared to countries without mandated BCG vaccinations through 2000, b = −0.059, P < 0.001 (Fig. 1, C and D). Figure 2B shows the distribution of the country-wise regression coefficients.

上記と同じ制御変数を制御して、自然対数変換による死亡数の線形混合モデルを推定した。 確認された患者の分析と同様に、時間の経過に伴う死亡数の指数関数的な増加を反映して、予測因子(日)の有意な主効果、b = 0.139、P <0.001が認められた(表1B)。 この増加は、予測因子(日)とBCG政策状態の間の重要な相互作用によって確認された。 具体的には、2000年までにBCGワクチン接種が義務付けられていない国と比較して、2000年までにBCGワクチン接種が義務付けられている国では、COVID-19患者の増加率が有意に低く、b = -0.059、P <0.001(図1 CおよびD)であった。 図2Bは、国ごとの回帰係数の分布を示す。

Countries that once had such policies but terminated them before 2000 were no different in growth rate from those that never instituted mandatory BCG, b = −0.007, P = 0.772. In terms of control variables, larger population size and higher median age predicted a faster growth rate of COVID-19 deaths.

2000年以前にそのような政策を終了した国は、強制BCGワクチン接種を一度も実施しなかった国と成長率に有意差はなく 、b = −0.007、P = 0.772であった。 制御変数に関しては、より人口規模が大きいほど、より平均年齢が高いほど、死亡の成長率が大きくなると予測された。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

30日目のデータから単純計算すると致死率は次のようになる。

BCG接種非強制国 BCG接種強制国
感染者数約54965人約4255人
死者数約2012人約137人
致死率3.66%3.22%

致死率には大きな差は見られない。 尚、感染と死亡のデータの日付に差があるため、ここで計算した致死率はあまり正確ではない。

バイアス 

The effect of BCG policy status on COVID-19 cases remained unchanged when countries were weighted by reporting quality (Supplementary analysis 1) and when controlling for the total number of tests (Supplementary analysis 2). Hence, biases in testing and reporting, demonstrably pervasive across countries, had little or no effect on the effect of universal BCG policies on the growth rate. Moreover, this effect also did not change when a 15-day time window was used (Supplementary analysis 3), adding further evidence that the main analysis is unlikely to be due to any systematic variations in reporting biases during the 30-day period. In addition, the BCG effect had little to do with the cultural dimensions of individualism versus collectivism or power distance (Supplementary analysis 4).

BCG政策状況がCOVID-19患者に及ぼす影響は、報告の質によって国を重み付けした場合(補足分析1)、および総検査数を制御した場合(補足分析2)にお変化しなかった。 したがって、試験と報告のバイアスは、明らかに各国に広がっており、普遍的なBCG政策の成長率への影響にはほとんど、または、全く影響がなかった。 さらに、15日間の時間枠が使用された場合にもこの影響は変化せず(補足分析3)、30日間の報告バイアスの体系的な変動に起因する可能性が低い更なる証拠が追加された。 加えて、BCG効果は、個人主義対集産主義または権力距離の個人主義の文化的側面とはほとんど関係がなかった(補足分析4)。


The effect of BCG policy status on COVID-19–related deaths remained unchanged when a 15-day time window was used (Supplementary analysis 3), showing the robustness of the main analysis. In addition, the BCG effect was unrelated to the cultural dimensions mentioned above (Supplementary analysis 4).

15日間の時間枠を使用した場合、COVID-19関連の死亡に対するBCGポリシーステータスの影響は変わらず(補足分析3)、主分析の堅牢性が示された。 さらに、BCG効果は上記の文化的側面とは無関係だった(補足分析4)。


Our study is not the first to test the hypothesis that the country-wise spread of COVID-19 might depend on each country’s BCG policy status. However, existing analyses are hampered by their focus on the cumulative totals of confirmed cases and deaths (15–29). These tallies depend on how early or late the onset of the pandemic was in each country. Moreover, they are massively influenced by reporting biases (including the availability of diagnostic testing), which can be both sizable and variable across countries. The same reservation applies to fatality rate (total deaths/total cases) (18, 26, 28–32) since the reporting biases are likely to be higher for confirmed cases than for deaths. We circumvented these problems in three ways. First, we focused on the rate of growth of both cases and deaths, which should be uninfluenced by reporting biases as long as these biases are stable during the period of study. To meet this requirement, we focused on a short period (either the first 30 days or 15 days). Second, we used the best available estimate of country-wise reporting biases as a weight in our analysis. Third, we controlled for testing availability.

我々の調査は、COVID-19の国別の広がりが各国のBCG政策状況に依存する可能性があるという仮説を検証する最初のものではない。 ただし、既存の分析は、確認された患者と死亡の累積合計に焦点を当てているため、分析の妨げになっている (15–29)。 これらの集計は、パンデミックの発症が各国でどれだけ早いかあるいは遅いかに依存する。 さらに、報告バイアス(診断検査の利用可能性を含む)の影響を大きく受けているため、国によってかなり大きく変動する可能性がある。 報告バイアスは確認された患者の方が死亡よりも高い可能性が高いため、同じ留保が死亡率死亡率(総死亡数/総症例数) にも適用される(18、26、28–32)。 我々はこれらの問題を3つの方法で回避した。 まず、研究期間中、これらのバイアスが安定している限り、報告バイアスの影響を受けない症例と死亡の両方の成長率に注目した。 この要件を満たすために、短期(最初の30日または15日)に焦点を当てた。 次に、分析における重みとして、国ごとの報告バイアスの利用可能な最善の推定値を使用した。 最後に、可用性のテストを制御した。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

バイアスはほとんどないとしているけれど、それはもっと調査が必要だろう。

新型コロナのBCG効果ばらつき

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

非強制国も強制国も国別のバラツキが非常に大きいため、このバラツキに偏りがあれば、バイアスによる影響は無視できない。 また、先ほども説明した通り、日本では自然に感染が拡大していない時期のデータが選定されており、対象となるデータの日付の選定も適切とは言い難い。

注意点 

Some limitations of our effort must be acknowledged. In all national policies, BCG is given early in life, typically at birth. It remains unclear whether BCG vaccination might be effective when given to adults, nor is it known how long BCG vaccination might provide immunity to COVID-19, although it is effective against tuberculosis and lung cancer for several decades (2, 3). Moreover, it is uncertain whether BCG might have any adverse effects when given to those already infected with COVID-19. There is an urgent need for randomized clinical trials. Last, the rates of exponential growth showed substantial variability across countries that have mandated BCG vaccination (Fig. 2, A and B). Hence, BCG is by no means a magic bullet that assures safety against COVID-19. In all likelihood, there are some societal variables that moderate this effect. This variation must be addressed in future work. All these limitations notwithstanding, the current evidence is the first to conclusively show a significant advantage of universal BCG policies in reducing the spread of COVID-19, thereby justifying a thorough investigation of the merit of the mandatory BCG vaccination in the fight against COVID-19.

私たちの努力のいくつかの限界は認められなければならない。 すべての国の政策において、BCGは人生の早い時期に、通常は出生時に投与される。 BCGワクチン接種が成人に投与された場合に有効であるかどうかはまだ不明であり、BCGワクチン接種がCOVID-19に免疫を提供できる期間は不明だが、結核や肺癌に対して数十年間有効である(2、3)。 さらに、すでにCOVID-19に感染している人に投与した場合に、BCGが何らかの悪影響を与えるかどうかは不明である。 無作為化臨床試験を緊急に実施する必要がある。 最後に、指数関数的成長率は、BCGワクチン接種を義務付けている国全体の間で大きな変動性を示した(図2、AおよびB)。 したがって、BCGはCOVID-19に対する安全性を保証する特効薬ではない。 おそらく、この影響を和らげる社会的変数がいくつかある。 このバリエーションは、今後の作業で対処する必要がある。 これらすべての限界にもかかわらず、現在の証拠は、COVIDの蔓延を減らし、普遍的なBCG政策の重要な利点を決定的に示す最初の証拠であり、それによりCOVID-19との闘いにおける義務的なBCGワクチン接種のメリットの徹底的な調査を正当化する。

Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19 - Science Advances

  • BCGワクチン接種が成人に投与された場合に有効であるかどうかはまだ不明
  • すでにCOVID-19に感染している人に投与した場合に、BCGが何らかの悪影響を与えるかどうかは不明
  • 無作為化臨床試験を緊急に実施する必要がある

有効性や安全性に不明点があることが指摘されており、研究を急ぐ必要性を説いてはいるが、接種を急ぐ必要性は説かれていない。

その他 

プレプリント 

全く別の論文を紹介する。

Results: 71 subjects received the booster vaccination. This group had zero cases of positive COVID 19 infection. 209 subjects did not receive the vaccination, with 18 positive PCR confirmed COVID 19 cases. The infection rate in the unvaccinated group was 8.6% versus zero in the booster vaccinated group. (Fishers exact test p-value=0.004). Conclusion : Our findings demonstrated the potential effectiveness of the booster BCG vaccine, specifically the booster in preventing Covid-19 infections in an elevated-risk healthcare population.

結果:71人の被験者が追加接種を受けた。 このグループでは、COVID 19感染の陽性例はなかった。 209人の被験者がワクチン接種を受けず、COVID 19のPCR陽性18人が確認された。 非ワクチン接種群の感染率は8.6%であったのに対し、追加ワクチン接種群の感染率は0%であった。 (Fishersの正確確率検定p値= 0.004)。 結論:我々の調査結果は、追加BCGワクチン、特に追加がリスクの高い医療集団におけるCovid-19感染の予防における潜在的な有効性を実証した。

Effectiveness of booster BCG vaccination in preventing Covid-19 infection - medRxiv

本文中には、a retrospective cohort study と明記してあり、無作為に両群が分けられていない。 よって、この論文の結果はバイアスの可能性が否定できない。 例えば、感染防止意識の高い人が接種して、意識の低い人が接種していないなら、BCGに効果がなくても結果の差を説明できる。

信頼性の低い a retrospective cohort study であるにも関わらず、それをAbstract に書かずに、 demonstrated the potential effectiveness (潜在的な有効性を実証した)と記載するのは詐欺であろう。 これは査読前のプレプリントであり、このまま専門誌に掲載されることはないと思われる。

システマティック・レビュー 

以下、査読を受けていないプレプリントなので話半分に受け止めてもらいたい。

Results: 114 number of studies were yielded on search strategy and 28 observational studies were nally included for analysis. From our results we can say that BCG vaccination causes a decrease in COVID-19 incidence and mortality. But these results must be interpreted cautiously as lot of confounding factors were present in included studies, which can affect the outcome.

結果:検索戦略で114の研究が得られ、28の観察研究が分析に含まれている。 BCGワクチン接種はCOVID-19の発生率と人口死亡率を低下させると我々は主張する。 しかし、組み込まれた研究には結果に影響を与える交絡因子が多数存在するのでこれらの結果は慎重に解釈しなければならない。

BCG vaccination provides protection against COVID 19: A Systematic review and meta-analysis - ResearchSquare

現段階(2020年11月6日現在)では、無作為化試験の結果が出ておらず、解析対象の論文にはいずれにも「結果に影響を与える交絡因子が多数存在する」。 そして、システマティック・レビューでは、この交絡因子を取り除けない。 よって、結果にはバイアスが多分に含まれる。

新型コロナとBCG接種に相関ありとしている研究は、いずれも、BCG vaccination policy (BCGVPC)=BCG接種政策で比較している。 一方で、BCGカバー率で比較している研究は、BCGに効果がないとしている。

Analysis done by Goswami et al interpreted that no significant difference occurred in COVID-19 mortality in BCG vaccination countries with less than 95% vaccination coverage versus greater than 95% coverage.

Goswamiらが行った分析では、BCG接種カバー率が95%未満の国と95%を超える国ではCOVID-19死亡率に有意差はないと解釈されている。


According to Goswami et al there was significant difference in incidence of COVID-19 cases in BCGVPC with less than 95% coverage versus greater than 95% coverage.

Goswamiらによると、BCG接種政策において95%未満のカバー率の国と95%を超えるカバー率の国でCOVID-19症例の発生率に有意差があった、

BCG vaccination provides protection against COVID 19: A Systematic review and meta-analysis - ResearchSquare

現論文を調べると、そちらもプレプリントであった。

Although COVID-19 incidence (0.02 (IQR 0.003-0.11) vs. (IQR: 0.0002-0.06) respectively, p=0.01) was significantly higher in countries with >95% BCG coverage compared to countries with ≤95% BCG coverage, total number of COVID-19 cases per country were similar (102 (IQR: 26-469) vs 42 (IQR 3-562) p=0.25).

COVID-19の発生率(それぞれ0.02(IQR 0.003-0.11)対(IQR:0.0002-0.06)、p = 0.01)は、BCGカバー率が95%未満の国と比較して、BCGカバー率が95%を超える国で有意に高かったものの、国ごとのCOVID-19症例の総数は同様だった(102(IQR:26-469)vs 42(IQR 3-562)p = 0.25)。


In European and American countries, countries with >95% BCG coverage had lower COVID-19 mortality compared to countries with ≤95% coverage (respectively, 0.0002 (IQR 0-0.0005) vs 0.0029 (IQR: 0.0002-0.0177), p=0.017). However in African, Asian and Australasian countries increased BCG coverage was associated with increased COVID-19 incidence and numerically increased mortality.

欧米諸国では、BCGカバー率が95%を超える国は、カバー率が95%以下の国と比較してCOVID-19死亡率が低かった(それぞれ、0.0002(IQR 0-0.0005)vs 0.0029(IQR:0.0002-0.0177)、p = 0.017)。 )。 しかし、アフリカ、アジア、オーストラレーシアの国々では、BCGカバー率の増加は、COVID-19の発生率の増加および数値的な死亡率の増加と関連していた。


Prior BCG vaccination had an apparent paradoxical effect. In the overall analysis lower BCG coverage was associated with lower number of COVID-19 cases. However this effect is probably related to geographic locale of the countries. In European and American countries, where natural tubercular infection rate was low, higher BCG coverage was associated with decreased COVID-19 mortality. In these countries higher BCG coverage was also associated with numerically lower COVID-19 incidence. On the other hand, in the African, Asian and Australasian continent, where natural TB incidence is higher, increased BCG coverage appeared to have facilitated COVID-19 infection spread and mortality.

以前のBCGワクチン接種は明らかに逆説的な効果を示した。 全体的な分析では、BCGカバー率が小さいほど、COVID-19の症例数が少なくなった。 ただし、この影響はおそらく国の地理的な場所に関連している。 自然の結核感染率が低かった欧米諸国では、BCGカバー率が大きいほど、COVID-19による死亡率が低下した。 これらの国では、より高いBCGカバー率は、数値的に低いCOVID-19発生率とも関連していた。 一方、自然結核の発生率が高いアフリカ、アジア、オーストラリア大陸では、BCGカバー率が拡大したことで、COVID-19感染の拡大と死亡が促進されたようである。

Interaction between malarial transmission and BCG vaccination with COVID-19 incidence in the world map: A cross-sectional study - medRxiv

感染率については全体の分析結果を記載してあるが、死亡率については全体の分析結果を記載していない。 そこでTable 1を一部抜粋する。

BCGカバー率 95%未満 BCGカバー率 95%以上 P値
nCOVID-19発生率 (1000あたり)0.13 (0.37)n=950.72 (4.08)n=530.01
nCOVID-19死亡率 (1000あたり)0.0049 (0.02)n=640.05 (0.35)n=440.93

セルは平均(標準偏差)として表されると書いてある。 これによると、感染率も死亡率もBCGカバー率が高い方が悪い。 ただし、死亡率の方は有意差がない(p=0.93)。 少なくとも、BCGに効果があることは全く示していない。

尚、致死率についてはResults項に1件だけ肯定的な論文があることが記載されている。

Similarly, Dayal et al showed that countries with past BCG vaccination program had less case fatality rates compared to countries with no BCG vaccination program.

同様に、Dayalらは、BCG予防接種プログラムを実施したことのある国は、実施したことのない国と比較して致死率が低いことを示した。

BCG vaccination provides protection against COVID 19: A Systematic review and meta-analysis - ResearchSquare

Discussion項には、この1件と否定的な1件が記載されている。

Szigeti et al was unable to establish correlation between COVID 19 case fatality rates and the period of introduction of universal BCG vaccination programs

Szigetiらは、COVID 19の致死率と普遍的なBCGワクチン接種プログラムの導入期間との相関関係を確立できなかった。

BCG vaccination provides protection against COVID 19: A Systematic review and meta-analysis - ResearchSquare

これらは紹介のみでシステマティック・レビューの結論としては致死率について一切言及されていない。

感染症一般 

ついにあのファクターXと言われたBCG、エビデンス重視の真面目な免疫学者たちや感染症医たちは否定する傾向が強かったBCGが、高齢者の感染を予防するという論文がCellに出てしまいました

ファクターXが1つ証明 ついにBCGが感染予防に有意義という論文! - アゴラ

Cellに載った論文 を読むと、new infection (新規感染)を低減したことは書いてあるが、それが新型コロナのことであるとは一言も書いていない。 臨床試験の解析の報告 とやらには次のように書いてある。

Every patient is under follow-up for 12 months. The last visit of the last patient is scheduled for August 2020. An interim analysis took place on April 29th 2020 by an independent committee of experts. The full interim analysis focused on the study primary endpoint that was the comparative time to a new infection between the two groups of treatment. Infections counting against this primary endpoint were respiratory or viral infections necessitating medical treatment, community-acquired pneumonias, hospital-acquired pneumonias, intraabdominal infections, urinary tract infections, soft tissue infections and bloodstream infections. Analysis revealed 53% decrease of the incidence of new infections in the BCG group compared to the placebo group. This decrease reached 80% for all respiratory tract infections. Multivariate analysis showed that most of benefit was for patients with coronary heart disease (CHD) and chronic obstructive pulmonary disease (COPD). This interim analysis clearly enhances the concept that BCG can be protective against COVID-19.

すべての患者は12か月間追跡されている。 最後の患者の最後の訪問は2020年8月に予定されている。 2020年4月29日に、専門家の独立委員会によって中間分析が行われた。 完全な中間分析は、2つの治療グループ間の新規感染との比較時間である試験の主要エンドポイントに焦点を当てた。 この主要評価項目に対して数えられる感染症は、治療を必要とする呼吸器感染症またはウイルス感染症、市中感染性肺炎、院内感染性肺炎、腹腔内感染症、尿路感染症、軟部組織感染症および血流感染症であった。 分析の結果、BCG群ではプラセボ群と比較して、新規感染の発生率が53%減少した。 この減少は、すべての気道感染症で80%に達した。 多変量解析により、利益のほとんどが冠状動脈性心臓病(CHD)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に対するものであることが示された。 この中間分析は、BCGがCOVID-19から保護できるという構想を明らかに強化している。

Bacillus Calmette-guérin Vaccination to Prevent COVID-19 (ACTIVATEII) - ClinicalTrials.gov

新規感染の対象は「治療を必要とする呼吸器感染症またはウイルス感染症、市中感染性肺炎、院内感染性肺炎、腹腔内感染症、尿路感染症、軟部組織感染症および血流感染症」であり、新型コロナは含まれない。 そもそも、12か月間追跡した患者のデータを2020年4月29日に中間分析したのだから、この調査が開始された時期は少なくとも2019年4月以前であり、新型コロナが流行する前である。 この結果をもって、新型コロナにも効果の可能性があるとは言えなくはないが、新型コロナにも効果があるとは言えない。

The incidence of new infections was 42.3% (95% CIs 31.9-53.4%) after placebo vaccination and 25.0% (95% CIs 16.4-36.16%) after BCG vaccination;

新規感染の発生率は、プラセボワクチン接種後42.3%(95%信頼区間 31.9-53.4%)およびBCGワクチン接種後25.0%(95%信頼区間 16.4-36.16%) でした。

ACTIVATE: RANDOMIZED CLINICAL TRIAL OF BCG VACCINATION AGAINST INFECTION IN THE ELDERLY - Cell

「BCGワクチン接種後25.0%」と「プラセボワクチン接種後42.3%」から単純計算すると、再生産数2.5を1.48くらいに下げる効果があり、データ上は最初に示したコホート研究と大差ない。

まとめ 

データ 

BCG接種状況と感染状況をグラフ化する。

  • BCGカバー率(2000年以降のものに限る)
  • 1980年〜2019年の1歳児BCG予防接種率平均で代用

どちらもない場合は、各国のBCG政策からBCGカバー率を推定することとする。

BCG政策 国の数 2000年以降数値判明数 平均値 最大値 最小値 推定値
Current national BCG vaccination policy for all157152約90%99%37%90%
Current BCG vaccination for special groups and past national BCG vaccination for all226約60%98%25%60%
Current BCG vaccination for special groups40---50%
Past national BCG vaccination policy for all73約89%94%84%10%

THE BCG WORLD ATLAT

  • Current national BCG vaccination policy for allは152サンプルがあるので平均値をそのまま採用
  • Current BCG vaccination for special groups and past nationalは6サンプルと少ないが平均値をそのまま採用
  • Current BCG vaccination for special groupsはサンプルがないので計算不可
  • Past national BCG vaccination policy for allの3サンプルの平均値は高すぎるので採用しない

後ろ2つがサンプルの平均から求められないので以下の仮定を置く。

  • Current BCG vaccination for special groupsとPast national BCG vaccination policy for allのカバー率の合計はCurrent BCG vaccination for special groups and past national BCG vaccination for alのカバー率と等しい
  • Past national BCG vaccination policy for allは過ぎ去った過去なので影響はかなり小さいものとみなし、10%とする。

BCG接種状況と感染状況のある179ヶ国(死亡データは165ヶ国のみ)のBCG接種状況と感染状況をグラフ化する。

BCGカバー率と感染 BCGカバー率と死亡 BCGカバー率と致死率

THE BCG WORLD ATLAT Global Health Observatory data repository - WHO 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学

相関係数も計算した。

人口あたり感染数 人口あたり死者数 致死率
カバー率0.048-0.090-0.196
カバー率または接種率0.032-0.085-0.185
カバー率または接種率または推定値-0.209-0.252-0.100

BCG政策から推定したBCGカバー率を採用しない場合は、致死率こそBCG接種とかなり弱い負の相関が見られるが、人口あたり感染数や死亡数には相関がほぼ見られない。 推定BCGカバー率を採用すると、人口あたり感染数や死亡数にも弱い負の相関があるかのように見え、逆に致死率の相関はほぼなくなるが、推定BCGカバー率は極めて雑な推定である。 値の推定が不適切であることによって、存在しない相関が発生した可能性がある。 誤差のあるデータなので断定的な結論は述べられないが、少なくともこのデータからは明確な相関を見出すことはできない。

尚、日本株の効果が特に高いとの指摘があるので、日本株以外のBCGカバー率を一定割合低減した場合の相関係数もとってみた。

日本株以外のBCGカバー率を低減した場合の相関係数

THE BCG WORLD ATLAT Global Health Observatory data repository - WHO 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学

日本株を差別化するほど相関係数が下がる結果が出た。 と言っても、どちらせよ相関係数が低いことに変わりはない。 よって、日本株も他の株と効果は大差ないものと思われる。

論文について 

BCG接種率と人口あたり感染数や死亡数にないほとんどない相関性が、論文では明確に生じている点は不可解である。 これは次の様な理由によるものだろう。

  • BCGカバー率を考慮せずに単純にCurrently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)とNever mandated(BCG接種非強制国)に分けたことによる
  • Currently mandated(BCG接種強制国)以外の分析対象国が非常に少ない

まず、Current BCG vaccination for special groups (高リスク群全員接種)の有無が考慮されていない。 だから、Mandated in the past(過去のBCG接種強制国)には、Past national BCG vaccination policy for all (過去に全員接種)の他に、Current BCG vaccination for special groups and past national BCG vaccination for all (高リスク群全員接種および過去に全員接種)が含まれると考えられる。 また、Never mandated(BCG接種非強制国)にもCurrent BCG vaccination for special groups (高リスク群全員接種)が含まれると考えられる。

Current national BCG vaccination policy for all (現在、全員接種)の国の2000年以降のBCGカバー率は平均すると90%であるが、70%以下の国も複数あり、最低では37%しかない。

BCG政策 BCGカバー率
Current national BCG vaccination policy for allSomalia37%
Current national BCG vaccination policy for allSaudi Arabia52%
Current national BCG vaccination policy for allPapua New Guinea52%
Current national BCG vaccination policy for allNigeria67%
Current national BCG vaccination policy for allAngola69%
Current national BCG vaccination policy for allEthiopia69%
Current national BCG vaccination policy for allMadagascar70%
Current national BCG vaccination policy for allNiger70%

THE BCG WORLD ATLAT

一方で、Past national BCG vaccination policy for all (過去に全員接種)の国の2000年以降のBCGカバー率は平均で約89%であり、最低でも84%ある。 Current BCG vaccination for special groups and past national BCG vaccination for all (高リスク群全員接種および過去に全員接種)の国の2000年以降のBCGカバー率は約60%であり、何故か、Past national BCG vaccination policy for all (過去に全員接種)の国よりも低いが、そこそこのBCGカバー率である。 残念ながら、Current BCG vaccination for special groups (高リスク群全員接種)のBCGカバー率のデータはなく、接種率のデータもない。 また、BCG政策が不明な国を除くと、全く誰にも接種していない国も見当たらない。 以上のとおり、BCGカバー率はNever mandated(BCG接種非強制国)が0%付近、Currently mandated(BCG接種強制国)が100%付近と両極端に分かれているわけではない。 Currently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)でBCGカバー率が逆転しているケースも多々見られる。 よって、BCGカバー率を考慮せずに単純にCurrently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)とNever mandated(BCG接種非強制国)に分ければ、当然、バイアスが発生する。

また、コホート研究等では次のような交絡要因によるバイアスが発生する。

  • 各国の水際対策の可否や成否を考慮していない
  • 各国の人為的対策の効果を考慮していない

まず、陸続きで入国制限も緩い国と、日本のような島国では水際対策が全く違っている。 EU各国は、シェンゲン協定で各国の間の移動が自由であったために、あっと言う間に感染が拡大したとされる。 一方、日本では水際対策で一定期間、国内への新型コロナの流入を防いでいる。

第1波立ち上がり時の感染推移

オープンデータ - 厚生労働省

その後も、クラスター対策等の局所的対策で一定期間封じ込めを行った後、しばらくしてから、国内で本格的に蔓延し始めた。 水際対策期、局所的封込対策期、国内蔓延期では、感染者の推移が全く違う。 また、EUのような水際対策が困難な国とも全く違う。 水際対策の度合いで感染推移が全く違うものとなる。 水際対策が功を奏した国とそうでない国が両群にそれぞれ偏って分布されているなら、これらを一緒くたにして分析するとバイアスが多分に含まれてしまう。 特に、分析対象国が少なく、かつ、その分析対象国が交絡要因の大きい事例であった場合は、大きなバイアスが発生してしまう。

さらに、各国で取られた感染拡大対策やその効果にも違いがあり、それによっても感染推移が全く違うものとなる。 感染拡大対策に成功した国とそうでない国が両群にそれぞれ偏って分布されているなら、これらを一緒くたにして分析するとバイアスが多分に含まれてしまう。 特に、分析対象国が少なく、かつ、その分析対象国が交絡要因の大きい事例であった場合は、大きなバイアスが発生してしまう。

地図を見ると分かる通り、世界ではCurrently mandated(BCG接種強制国)が圧倒的多数でそれ以外は極少数である。

BCGマップ

THE BCG WORLD ATLAT

地図によれば実際の少数グループは次の様な国々である。

  • 欧州各国
  • 北米(アメリカ、カナダ)
  • オセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)
  • その他数カ国

欧州各国の多くはシェンゲン協定のために初期流入を抑制できなかったために感染が拡大したとされる。 アメリカは感染対策に消極的なために感染が拡大した。 カナダでも感染が拡大している。 こうした国々が少数グループの中で大きな比率を占めている。 これでは、単純にCurrently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)とNever mandated(BCG接種非強制国)に分けると、交絡要因が大きくバイアスが発生して当然だろう。

具体的にデータで検証する前に、新型コロナの感染抑制に大きな影響を及ぼすのはGovernment Responseの早さであり、Government Response Stringencyではないことを理解してもらいたい(新型コロナは政府対応で抑制できる参照)。

対策時感染者推移
  • 対策が早いほど感染・死亡は少ない
  • 実効再生産数を1未満にできる場合、対策強度は感染・死亡には影響しない
  • 実効再生産数を1未満にできない場合、対策強度が強いほど感染・死亡は少ない

ここで、各国のBCG政策とGovernment Responseの遅さの関係を以下に示す。

政府介入時期(累積ベース)と経済 政府介入時期(新規ベース)と経済

CORONAVIRUS GOVERNMENT RESPONSE TRACKER - UNIVERSITY OF OXFORD 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学 THE BCG WORLD ATLAT

これを見ると、Current national BCG vaccination policy for all (現在、全員接種)の国は、Government Responseが早い国も遅い国もある。 一方で、それ以外の国はGovernment Responseが遅い国ばかりである。 つまり、Current national BCG vaccination policy for all (現在、全員接種)以外の国は、対策が後手に回った結果、感染を抑制しなかった国ばかりなのである。 このような交絡要因があれば、見かけ上あたかもBCGに効果があるかのように見えるのは当然であろう。

この交絡要因の影響を補正しない場合と補正した場合を比較するとよく分かる。 感染から報告までの日数を平均2週間として、第2四半期末日の各国のBCG政策と感染や死亡の関係について補正なしにグラフ化すると、各国のBCG政策と感染や死亡に相関があるかのように見える。

BCG政策と感染(無補正) BCG政策と死亡(無補正)

人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学 THE BCG WORLD ATLAT

しかし、感染や死亡を政府介入の早さで補正すると結果は全く違う。

政府介入時期(累積ベース)と感染・死亡 政府介入時期(新規ベース)と感染・死亡

CORONAVIRUS GOVERNMENT RESPONSE TRACKER - UNIVERSITY OF OXFORD 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学

xにGRS≧40達成日の新規感染数また累積感染数を代入したときのy値で、累積感染者数(7月13日)や累積死亡数(7月13日)を割った値を使用する。

BCG政策と感染(GRS≧40達成日の新規感染数で補正) BCG政策と死亡(GRS≧40達成日の新規感染数で無補正)¥ BCG政策と感染(GRS≧40達成日の累積感染数で補正) BCG政策と死亡(GRS≧40達成日の累積感染数で無補正)¥

CORONAVIRUS GOVERNMENT RESPONSE TRACKER - UNIVERSITY OF OXFORD 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学 THE BCG WORLD ATLAT

すると、BCG政策の影響はほぼなくなり、むしろ、全員接種をしている国の方がやや感染や死亡が多くなる。 やはり、交絡要因を取り除くとBCGの効果は完全に消え失せる。

Science Advances掲載の論文は交絡要因の影響を除去しようとした形跡は見られるが、日本のデータにおいては、結果的にかえってバイアスを生んでいることは既に説明したとおりである。 例えば、一定以上の感染数となった日以降の実行再生産数の最大値であれば、その国の基本再生産数に近い値となることが期待できるため、この値を比較すれば、効果を比較できるかもしれない。 この値とBCGカバー率に一定以上の負の相関があれば、BCGの効果を肯定できよう。 しかし、単純に感染者数や死亡者数を比較しても、バイアスを取り除けないので、結果が信頼できない。

ここでScience Advances掲載の論文に記載された基準日以降の実行再生産数の最大値をBCG政策別に計算してみよう。 ただし、感染者数のデータが得られなかったのでWest Bank and Gaza (ヨルダン川西岸地区)は除外してある。 累積感染者数のデータから新規感染者数を求めようとするとマイナスになるケースもあり週平均をとっても大きな変動が残る。 おそらく、国によっては累積感染者数が度々修正され、かつ、各日のデータは修正前のものがそのまま採用されているからであろう。 結果、実行再生産数の最大値が極端に大きくなる国が散見され、これらを取り除かないと正確な分析とならないかもしれない。 そこで、30日周期をカットオフとした低域通過31段FIRフィルタを通した。

低域通過31段FIRフィルタ(30日周期、ハミング窓)

しかし、残念ながら、Luxembourg(実行再生産数最大≒6.9,BCG政策=Mandated in the past,BCGカバー率、接種率ともデータなし)だけは新規感染数が大幅マイナス値となることが避けられなかった。 実行再生産数は3日後の新規感染者数を3日前の新規感染者数で割った値を7分の5乗して求めた。 ただし、3日前の新規感染者数が小さすぎる場合は誤差が生じるので、試行錯誤で1未満の場合は計算対象外とした。

閾値
BCG政策 全データ 最大Rt≦4
Currently mandated2.031.95
Mandated in the past3.032.64
Never mandated2.912.55

BCG政策で分けると、あたかも、差があるかの様に見える。 しかし、Currently mandated以外は非常に数が少ないので評価するには不十分である。

BCG政策 国数
Currently mandated117(West Bank and Gazaを除くと116)
Mandated in the past11
Never mandated6

各国の実行再生産数の最大値とBCGカバー率の関係をグラフ化してみた。

BCGカバー率(推定含む)と最大実行再生産数

THE BCG WORLD ATLAT Global Health Observatory data repository - WHO 人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【国別】 - 札幌医科大学

相関係数も計算している。

全データ 最大Rt≦4
カバー率-0.003-0.014
カバー率または接種率-0.037-0.066
カバー率または接種率または推定値-0.326-0.301

BCG政策から推定したBCGカバー率を採用しない場合は、ほぼ相関は見られない。 推定BCGカバー率を採用すると弱い負の相関があるかのように見えるが、推定BCGカバー率は極めて雑な推定である。 値の推定が不適切であることによって、存在しない相関が発生した可能性がある。 誤差のあるデータなので断定的な結論は述べられないが、少なくともこのデータからは明確な相関を見出すことはできない。

日本における国内蔓延期の立ち上がり時の実行再生産数概算値は2.1である。 ただし、立ち上がり時の何日かは局所的封込対策期と平均(算術平均及び幾何平均)を取っているため、実際の値よりは低く出ていると推定できる。 また、国内蔓延期の立ち上がりにおいても一定程度自粛が進んでいることがデータから読み取れる。

第1波立ち上がり時の感染推移 第1波立ち上がり時のGoogle人流データ

オープンデータ - 厚生労働省 COVID-19:コミュニティ モビリティ レポート - Google

以上を踏まえると、日本における基本再生産数は2.1よりも大きいと予想される。 対して、Science Advances掲載の論文における概算実行再生産数は、BCG接種強制国で約1.54、BCG接種非強制国で約2.48。 何と、日本における基本再生産数がBCG接種非強制国並みの値なのである。 日本は最も効果が高いと言われる日本株のBCG接種強制国であるにも関わらず、である。 少なくとも、BCG接種強制国の平均よりもかなり大きい。 これは、BCGに効果があるかのように見えている結果が、バイアスによって生じている可能性を示唆している。 ここまで大きな結果変動が生じているのでは、BCGの効果報告は極めて疑わしい。

BCGの新型コロナ抑制効果がほとんどないと仮定しても、感染症一般に関する研究とは矛盾しない。 というのも、パンデミックを引き起こす感染症は調査対象になっていないからである。 感染力が違っても、抑止力が一定であれば、感染力の強い感染症ほど相対的に抑止力が低下する。 だから、パンデミックを引き起こさない感染症に効果があることは、パンデミックを引き起こす感染症に効果があることを示さない。

以上踏まえると、現段階(2020年11月6日現在)では、BCGによる新型コロナ抑制効果が示されたとは到底言えない。 各論文の結果は次のようなバイアスの影響が大きいと考えられる。

  • BCGカバー率を考慮せずに単純にCurrently mandated(BCG接種強制国)とMandated in the past(過去のBCG接種強制国)とNever mandated(BCG接種非強制国)に分けたことによるバイアス
  • 各国の水際対策の可否や成否によるバイアス
  • 各国の人為的対策の効果によるバイアス

無作為化試験の結果が出ないことにはハッキリしたことは言えないが、おそらく、BCGには新型コロナを劇的に改善する効果はないだろう。 BCGカバー率が低い国ならば、感染予防に期待するのはわかる。 しかし、BCGカバー率が99%を超えていて、かつ、最も有効と噂される日本株を使用している日本においてBCG仮説が持て囃されるのは異常と言ってよい。 これは、明らかに、感染予防を目的としたものではなく、楽観論を誘導することを目的としたものである。 だが、BCG仮説を含むあらゆる楽観論が日本の感染状況と矛盾することは、新型コロナ自然収束説の致命的矛盾に示した。 もしも、本当にそのような楽観論が成立するなら、日本において第1波や第2波や存在しない。 楽観論が成立すると仮定すると、国内蔓延期の概算実行再生産数の最大値が高すぎるのである。

第1波立ち上がり時の感染推移 第1波立ち上がり時のGoogle人流データ

オープンデータ - 厚生労働省 COVID-19:コミュニティ モビリティ レポート - Google

概算実行再生産数の最大値と辻褄を合わせるとすると、何らかの自然要因があったとしても、それは接触削減率にして10%あるかないかであろう。

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