「日本は諸外国よりCt値を高く設定している」の嘘

はじめに 

本ページの一部は以下に分割した。

以下も参考に。

ネット上の情報を鵜呑みにする前に 

ネット上の陰謀論等を目にして「俺は真実に覚醒した」と思っている人は、是非、新型コロナの主要なデマに掲載した高知東生氏の次の言葉に耳を傾けてほしい。 以下は特に重要。

  • 裏を読む以前に、表の仕組みすら何も知らない
  • 誰でも見れる情報「本当の真実」は裏ではない
  • 都合のいい妄想ってつなぎ合わせただけで案外辻褄があう

裏を探そうと世界中のジャーナリストが躍起になっている。 専門に情報を追っている人でさえ簡単に見つけられない情報を一般人が簡単に見つけられるわけがない。 それに気づいた高知東生氏こそが本当の覚醒者である。 それに気づかない人は、未だ、自らが覚醒者だと勘違いした妄想の中に漂っている。

一問一答 

根拠は後回しにして、デマの内容の間違いを一つ一つ指摘する。

「日本ではCt値を○○に設定している」の嘘 

Ct値は人為的に操作する設定値ではなく、検体毎に違う測定値である。 デマを流布する人たちは次の3つを混同している。

サイクル数
増幅回数。増幅を打ち切るサイクル数は機器毎に設定されている。
Ct値
増幅産物がThreshold Lineに達したときのサイクル数。蛍光プローブ法においては反応の蛍光シグナルがThreshold Lineと交差する時点のサイクル数。測定値であり、任意の値に設定することはできない。
病態識別値
陽性と陰性を判別する基準。臨床判断値、カットオフ値とも言う。

例えば、45回増幅するとして、25回目にThreshold Lineに達すれば、Ct値は25である。 30回目にThreshold Lineに達すれば、Ct値は30である。 このThreshold Lineに達する値は増幅回数の影響を受けない。 すなわち、増幅回数はCt値に影響しない。 ただし、増幅回数よりも大きなCt値を測定することはできない。 つまり、増幅回数がCt値の測定可能範囲を決める。

尚、カットオフ値については変更しても大して陽性者数は変わらない。

1〜3週目のカットオフ値別陽性者数

Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates - OXFORD ACADEMIC

「鼻先にウィルスが数個付いているだけで陽性」の嘘 

「数個のウィルス付着で陽性」の嘘で説明する通り、PCR検査では、採取した検体の一部しか使わない。 だから、検出したウィルス数より、検体内のウィルス数が多い。 言うまでもなく、体内のウィルス数を全てゴッソリ検体内に取り込むことはできないから、体内のウィルス数はさらにもっと多い。 すなわち、増幅過程で数個のウィルスを検出することは、体内にもっと多数のウィルスが存在することを意味している。 よって、「鼻先にウィルスが数個付いているだけで陽性」になることはない。 同様のバリエーションとしては、「喉にウィルスが数個付いているだけで陽性」との主張もあるが、これも同様である。

百歩譲って、「鼻先にウィルスが数個付いているだけで陽性」になるほど敏感であるなら、検査の感度は常に100%になるはずである。 しかし、JAMA. 2020;323(22):2249-2251. doi:10.1001/jama.2020.8259 - 米国医師会雑誌に掲載されているように、検査の感度は検査時期によって大きく変わる。

検査の感度

抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける? - YAHOO!JAPANニュース

とくに、感染直後は如何なる検査方法でも感度が非常に低い。 「鼻先にウィルスが数個付いているだけで陽性」になるほど敏感であるなら、こんなことは決してあり得ないだろう。 つまり、感染直後の感度の低さこそが「鼻先にウィルスが数個付いているだけで陽性」にならない決定的な証拠である。

そもそも、よく考えてもらいたい。 感染していないのに鼻先にウィルスがついている人がどれだけいるのだろうか。 というか、鼻先にウィルスがついているなら、検体採取前に鼻先をアルコール消毒等すれば良いだけであろう。

「PCR検査は水にも反応する」の嘘 

詳しくは「水でも陽性になる」の嘘で説明するが、正しくは次のとおりである。

  • 等温増幅の1製品において
    • 特定の機器等との組合せ時にのみ発生(極めて稀)
    • 推奨する組合せでのみ使用するよう周知済(今後は起きない)
    • 原因調査中
  • PCRの1製品において
    • 6回中1回のみ発生
    • 279回の追加検証では再現せず
    • 操作上のミスの疑い

「PCR検査はビール(コーラ)にも反応する」の嘘 

詳しくは「ビール(コーラ)でも陽性になる」の嘘で説明するが、正しくは次のとおりである。

  • PCRではなく、Abbott製抗原検査キット「Panbio™️ COVID-19 Antigen Rapid Test Device」
  • コントロールラインが出ていないので「陽性」ではなく「判定不能」

この結果は、対象外の化学反応を判定不能として排除しているのであり、この検査の信頼性の高さを示している。

「PCR検査はパパイヤにも反応する」の嘘 

詳しくは「パパイヤでも陽性になる」の嘘で説明するが、正しくは次のとおりである。

タンザニアのJohn Pombe Joseph Magufuli大統領がパパイアとウズラ、ヤギ等から陽性反応が出たと発言したとのこと。 彼はPCR検査に懐疑的でコッソリとパパイアとウズラ、ヤギ等を検査に出したとのこと。 一方、同国のUmmy Mwalimu保健大臣は検査機の1つが2ヶ月間故障したまま放置されていたことが誤った陽性反応の原因だと説明したとのこと。

「陽性者は必ずしも感染者ではない」の嘘 

検体汚染がある場合を除けば、陽性者は、必ず、感染者である。

症状と培養陽性率 培養結果推移

Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19 - The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINESupplementary Appendix

ただし、感染者には次の2通りがある。

  • 現在進行形で罹患している感染者
  • 回復期の感染者(再燃の可能性が僅かにあり)

前者は他人へ二次感染させる恐れがあるが、後者は他人へ二次感染させる恐れがないとされる。 そのことは既に退院基準に反映されており、回復期の感染者を必要以上に隔離する恐れはない。 また、回復期であっても回復前の濃厚接触者からの三次感染の可能性は否定できない。 さらに、回復期であることは統計上で感染者としてカウントしない理由にはならない。 もちろんのこと、回復期であっても症状によっては治療が必要である。

「無症候は感染者ではない」の嘘 

発症前や無症候からも二次感染することが判明している。

「死んだウィルスの断片でも検出する」 

確かに、PCR検査は死んだウィルスの断片でも検出する。 しかし、それによって感染診断を誤る心配は皆無である。 何故なら、体内に死んだウィルスの断片がある者は、回復期の感染者だからである。

患者病日とウィルス量

Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19 - The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINESupplementary Appendix

断片を誰かから貰った人がいたとしても、死んだウィルスである以上、体内で増殖することはない。 そして、回復期の感染者の体内の断片の極一部が咳やクシャミ等によって誰か別の人の体内に移動することはあっても、大部分が別の人の体内に移動することは考えられない。

一方で、回復期の感染者は、体内で生きたウィルスが大量に増殖した後に、それが断片となるのだから、体内に大量の断片が発生する。 そして、Ct値の変化から時間経過とともに断片が減ることはわかっている。

だから、断片を誰かから貰った人がいても、その人の体内の断片は回復期の感染者よりも圧倒的に少ない。 回復期の感染者でもかろうじて検出できる程度なのだから、断片を誰かから貰った人程度の数の断片では検出は極めて困難である。 よって、ウィルスの生死が問題となるのは、回復判定の時のみである。 感染判定の時にはウィルスの生死は問題とはならない。

回復判定とは、退院できるかどうかを診断することである。 そして、ウィルスの生死は患者病日(発症からの日数)と症状によって判断できるため、日本の退院基準ではPCR検査を必要としないことになっている。 よって、死んだウィルスの断片を検出することは事実上全く問題にはならない。

「コロナ以外のウィルスも検知する」の嘘 

確かに、複数の種類のウィルスを検出するキットは市販されているが、それは「コロナ以外のウィルス・細菌も検知する」の嘘にて説明している通り、Multiplex PCR用のキットである。 Multiplex PCRは「一つのPCR反応系に複数のプライマー対を同時に使用することで、複数の遺伝子領域を同時に増幅する方法」であって、1種類の病原体のみを標的とするSingle PCRとは違う。 そして、Multiplex PCR用のキットはMultiplex PCRを目的としたキットであり、複数の病原体を同時に検出できる。 尚、Multiplex PCR用のキットであっても、「一つのPCR反応系に複数のプライマー対を同時に使用」しなければ、Single PCRにも流用できる。

新型コロナの感染診断ではSingle PCRを用いるので、新型コロナ以外のウィルスは検知しない。 Multiplex PCR用キットを新型コロナのSingle PCRに用いることも可能だが、その場合は、新型コロナ用のプライマーのみを用いるので新型コロナ以外のウィルスは検知しない。

「偽陽性を増やして感染者数を水増ししている」の嘘 

検体内にウィルスが存在しない場合には、PCR検査ではウィルスを検知することはない。 だから、検体汚染でもない限り、感染していない人が陽性になることはない。

それでも、仮に、増幅サイクルを増やすことで偽陽性を増やせると仮定しよう。 それにより陽性者が倍増したとしても、増やした増幅サイクルが一定であれば、その効果はずっと倍増から変わらない。 一方で、偽陽性が増えれば、当然、偽陰性は減る。 偽陰性が減れば、感染者の取りこぼしが減り、確実に感染者を隔離できるようになって、時間経過とともに感染拡大を抑制できる。 そして、その状態を持続できれば、日にちが経過すればするほど、変更した場合としなかった場合の感染抑制効果の差はドンドン開いていく。 結果、水増し効果が一定で変化しない一方で、感染抑制効果の方が日に日に蓄積するので、トータルでの陽性者数は日に日に減る。 それをグラフにすると次のようになる。

検査の感度と感染推移

変更なしと比べると、見て明らかな通り次の傾向が見られる。

  • 感度を上げると、一時的に陽性者は増えるが、時間経過とともに陽性者は減る
  • 感度を下げると、一時的に陽性者は減るが、時間経過とともに陽性者は増える

感度の半減や倍増に伴う実効再生産数の変化はもっと大きいと予想されるので、これは控えめな計算である。 以上の通り、原理的に偽陽性を増やして感染者数を水増しすることは不可能である。 そもそも、「PCR検査陽性はほとんど偽陽性」の嘘で紹介したOXFORD ACADEMICの論文から明らかなように、カットオフ値を変更しても陽性率には大きな影響はない。

このデマは、スキー場の雪不足を解消しようとして塩を撒くような話である。 確かに、短期的には、塩を撒くことで雪の温度を下げることができる。 しかし、代わりに、融点が下がるため、その分だけ雪が溶けやすくなる。 そして、一時的に温度を下げても、周りから熱が入り込んでくるため、すぐに元の温度に戻ってしまう。 塩を撒いて温度が下がるのはその時だけの一時的効果であるが、周りから入り込んでくる熱量にはキリがない。 結果として、雪解けを促進してしまう。 これは、融雪剤を撒くのと同じである。

このデマも同じ構図である。 偽陽性率が上がる(特異度が下がる)短期的効果のみを考慮して、偽陰性率が下がる(感度が上がる)長期的効果を考慮していない。 結果、水増ししようとする目論見とは逆に、感染者がどんどん減っていく。 数値上の陽性者数を増やしたいなら、全くの逆効果である。 本気で水増ししたいなら、偽陰性率を上げて、本当に感染を拡大しなければならない。

「陽性者数が増えたのは検査を増やしたせい」の嘘 

新型コロナが疑われる症状がある人や濃厚接触者等は事前確率(推定罹患率)の高い集団である。 一方で、いずれにも該当しない人はそれよりも事前確率(推定罹患率)が低い。 前者は優先的に検査を行なうべき対象であり、いくら検査を抑制しようとも検査対象から外すべきではない。 よって、任意に検査数を増減する余地があるとすれば後者の集団になる。 だから、任意に検査数を増減すれば次のようになる。

  • 検査数を増やせば、事前確率(推定罹患率)が低い集団の比率が増えるから、全体の事前確率(推定罹患率)は下がる
  • 検査数を減らせば、事前確率(推定罹患率)が高い集団の比率が増えるから、全体の事前確率(推定罹患率)は上がる

結果として、検査数を増やせば陽性率は下がり、検査数を減らせば陽性率は上がる。 つまり、検査数と陽性率は逆相関する。

一方で、感染状況に応じて次のようになる。

  • 感染が拡大すれば、事前確率(推定罹患率)が高い集団の比率が増えるから、全体の事前確率(推定罹患率)は上がる
  • 感染が縮小すれば、事前確率(推定罹患率)が低い集団の比率が増えるから、全体の事前確率(推定罹患率)は下がる

結果として、感染拡大で検査数も陽性率も増加し、感染縮小で検査数も陽性率は減少する。 つまり、検査数と陽性率は正相関する。

以上のことから、検査数と陽性率の相関の向きによって、陽性者数の増加の原因が判断できる。 日本では、検査人数と陽性率は非常に良い正の相関があり、検査数が増えるほど陽性率は上がっている。

日本の感染推移

オープンデータ - 厚生労働省

これは、陽性者数の増加の主原因が検査の増加であると考えると、理論的に全く逆の変化であるため、全く説明がつかない。 逆に、感染者が増えて事前確率(推定罹患率)の高い集団の比率が高くなった結果と考えると、何の矛盾もなく説明できる。 よって、これまでの日本の陽性者数増の原因が感染者増であることは疑う余地がない。

そもそも、感染拡大の予兆の早期探知のためのモニタリング検査 - 内閣官房によれば、事前確率の低い集団に4月25日までに48,620件検査して累計陽性疑い者数53件に過ぎない。 検査を拡大して陽性者を増やすのであれば、必要な検査数は膨大な数となる。

陽性者増加数 必要最低検査増加数
10091,736
1,000917,358
10,0009,173,585

日本において1日の新規陽性者数の最大値は5千人を超えているので、1日に450万人以上の検査をしなければ、検査の拡大で感染者数を水増しすることはできない。

「民間のクリニックでは多い所で1日1万件以上の検査を行なっている」の嘘 

PCR検査を拡大すべきかで具体的に計算した通り、1日1万件の検査を行うにはプール化作業・分注作業だけで17.5人の職員が必要になる。 人手の少ない小規模なクリニックでプール化作業・分注作業だけの専門の職員をそんなに雇えるわけがない。 仮に、8時間労働のうちの1時間をール化作業・分注作業に充てるとすると140.4人の職員が必要になる。 これも人手の少ない小規模なクリニックでは非現実的である。 そもそも、周辺の人口を考慮すれば、中小のクリニックに1日1万人もの患者が来るわけがない。 例えば、独自にPCR検査を実施 - 朝日新聞によれば、小規模クリニックのインターパーク倉持呼吸器内科の1日検査上限は200~300件とのことである。 ちなみに、陽性者数だけが報告されて検査総数が報告されないこともありえない。

「民間検査機関では陽性結果のみ報告され陰性は報告されない」の嘘 

民間検査機関では陽性の場合のみ報告されないから、統計上の検査件数は増えずに陽性数だけが増えるとのデマがある。 後で詳細に説明する通り、厚生労働省の指導に従っている民間検査機関は検査件数も報告しているが、厚生労働省の指導に従わない野良PCR検査では陽性結果も報告されていない。 つまり、報告している機関は件数も陽性結果も報告しており、報告していない機関は件数も陽性結果も報告していない。 よって、陽性結果だけ報告して検査件数も報告しないことはあり得ない。

「PCRの開発者のKary MullisがPCRは(新型コロナの)感染判定に使えないと言った」の嘘 

「PCR開発者が検査に使えないと証言」の嘘に記載している通り、このデマは既にReutersのFact Check teamに看破されている。 確かに、Kary Mullis氏は1990年代に定性PCRには定量的な測定には向かないと主張した。 そして、それを根拠として、病原体特定には使えないから、HIVはAIDSの原因病原体ではないと言っている。 しかし、Kary Mullis氏は定性PCRの開発者であるが、2000年以降に主流となった定量PCRの開発者ではない。 定量PCRは、定量的な測定を目的とした検査手法であるから、当然、このKary Mullis氏の指摘は該当しない。 実は、Kary Mullis氏は自著の中で「感染症の診断にも利用できる」と明言している。 尚、今日の医学界ではHIVはAIDSの原因病原体であると特定されている。

「PCR検査だけで感染判定を行っている」の嘘 

後で詳しく説明するが、新型コロナに感染したかどうかは医師の診断によることとなっている。 医師の診断がなければ感染の届出は行われない。

「WHOがPCR検査を否定した」の嘘 

「1/20 WHOがCt値を下げた」の嘘で説明している通り、WHOはPCR検査の結果の解釈として使用説明書(IFU)に従うように言っているだけで、PCR検査を診断に使うことは否定していない。

「厚生労働省がCt値を下げるよう指示した」の嘘 

「1/22厚労省通達でCt値を下げた」の嘘で説明している通り、医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請) - 厚生労働省別添2「新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 検体プール検査法の指針」には、検体プール検査法の事前及び定期の確認方法について記載されているだけである。 検査の基準についての変更指示はない。 もちろん、測定値であるCt値を何らかの値に設定するような指示はない。

「体内に花粉があっても花粉症とは言わない」の見当違い 

体内に花粉があっても花粉症と言わないのは当然である。 何故なら、花粉症は、花粉に対するアレルギーを示す言葉であって、花粉に感染したことを示す言葉ではないからだ。 そもそも、花粉は病原体ではないので感染すらしない。

新型コロナ等の感染症は、病原体に感染したことを示す言葉であるので、花粉症とは分類の違う言葉である。 よって、花粉症の事例で新型コロナを語るのは見当違いも甚だしい。

同様のバリエーションとしては、虫歯や肺炎などもある。 虫歯は、口内細菌が作り出した酸が歯を溶かす症状を示す言葉であって、口内細菌に感染したことを示す言葉ではない。 肺炎は、肺が炎症を起こしていることを示す言葉であって、病原体に感染したことを示す言葉ではない。 いずれも分類の違う言葉である。

矛盾だらけの陰謀論  

そもそも、陰謀論が成立していない。 日本の現政権は2度目の緊急事態宣言を回避したがっており、GoToも中止したがらない。 つまり、陽性者が増えて困るのは日本の現政権である。 だとすれば、一体、誰が陽性者を水増ししようとしているのか。 何故、日本の現政権はその陰謀を阻止できないのか。

「民間会社が検査で儲けるために偽陽性を量産している」の嘘 

検査で儲けたいなら検査件数を増やせば良いだけなので偽陽性を量産しても意味がない。 「感染が拡大している印象を与えれば需要が増える」と言うかもしれない。 しかし、PCR検査を実施する機関は多数あり、自社だけが偽陽性を量産しても、全体の陽性者数には殆ど影響しない。 よって、自社だけが偽陽性を量産しても需要喚起にはつながらない。 任意の検査を受ける人たちのほとんどは陰性であって欲しいと考えているだろうから、検査結果を故意に操作できるなら、偽陰性を量産した方が顧客満足度は高まる。 需要喚起したいなら顧客満足度を高めた方が都合が良い。 よって、動機に照らして、民間会社が偽陰性を量産する陰謀論は成立し得ても、偽陽性を量産する陰謀論は成立しない。

詳細説明と根拠 

根拠の一部は以下に分割した。

PCR検査とCt値 

真相はこうである。

Ct値はReal time PCRにおいて何回サイクル回した時に閾値を超えたかであって最終的に何回増幅かけたかではありません。 日本の感染研のマニュアルではPCRは40サイクルの設定ですが実際のCt値は7月の時点での報告で平均が30以下と報告されています。

Ct値40-42はデマですね

2020年10月11日午後10:15(CAR19 cytotoxic t cell) - Twitter


PCRは指定した領域のDNA(RNA)を増幅する手法です。 増幅する部位は任意で設定出来ます。 新型コロナにしかない配列を指定してPCRを開始するのでそこに従来のコロナがいてもアデノがいてもRSウイルスがいても関係なく新型コロナの配列があれば増え、なければ増えません。 これに関してはCt値と無関係です。

2020年10月31日午前0:57(CAR19 cytotoxic t cell) - Twitter


PCRでの増幅は機械で自動で行うので最初に40回と設定すれば終了まで40回増幅されます。 少し仕掛けをしておくと増幅途中でも一定量合成出来た段階で陽性となります。 この陽性になった増幅回数をCt値と言います。

他の感染症でもPCR使用しますがその際は指定する遺伝子配列が新型コロナとは違うので

2020年10月31日午前0:57(CAR19 cytotoxic t cell) - Twitter

ようするに、Ct値とは設定値ではなく測定値である。 Twitter上の情報では信用できないという人のために信頼できる情報源も掲載しておく。 以下はPCR検査キットや装置を製造販売しているタカラバイオ株式会社による説明である。

Ct値[Cq値](Threshold Cycle):

リアルタイムPCRにおいて、増幅曲線と閾値(Threshold)が交差するサイクル数のこと。 Ct値は、PCR増幅産物がある一定量(閾値)に達したときのサイクル数を表し、初期鋳型量が多い程小さく、初期鋳型量が少ない程大きくなる。 このようにCt値と初期鋳型量の間には相関関係があり、検量線を作成し未知サンプルの定量を行うことができる。

遺伝子検査用語集 - タカラバイオ株式会社p.5


リアルタイムPCR法とは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析する方法であり、電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れています。 この方法にはサーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置が必要です。

リアルタイムPCRによる定量の原理を下図に示します。

リアルタイムPCR原理

段階希釈した既知量のDNAをスタンダードとしてPCRを行います。 これをもとに、増幅が指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(threshold cycle;Ct値)を横軸に、初発のDNA量を縦軸にプロットし、検量線を作成します。

検量線

未知濃度のサンプルについても、同じ条件下で反応を行い、Ct値を求めます。 この値と検量線から、サンプル中の目的のDNA量を測定します。

リアルタイムPCRの原理 - タカラバイオ株式会社

同じく、PCR検査キットや装置を製造販売しているThermo Fisher Scientific社も次のように説明している。

PCRサイクル数と蛍光強度


Ct (Threshold Cycle)

Threshold Cycle(Ct)は、反応の蛍光シグナルがThreshold Lineと交差する時点のサイクル数です。 Ct値はターゲットの初期量に反比例するため、DNAの初期コピー数の算出に使用できます。 例えば、異なる量のターゲットを含むサンプルからのリアルタイムPCR結果を比較する場合、2倍の初期量を含むサンプルは、増幅前に半分のコピー数のターゲットしか含まないサンプルよりもCt値が1サイクル早くなります(図2)。 これは両方の反応においてPCR効率が100%である(すなわち、サイクル毎に産物量が正確に2倍に増加する)と仮定した場合の例です。

PCRサイクル数と蛍光強度

「Ct値」「解離曲線」って何? リアルタイムPCR解析で用いられる用語まとめ - Thermo Fisher Scientific

厚生労働省の資料も示しておこう

PCRサイクル数と蛍光強度

遺伝子検出法で1(オー)シスト以下の定量値が出る理由とその取扱いについて - 厚生労働省

グラフによれば、Ct値は点線で示される閾値に達した時のPCRサイクル数であり、この値は検査対象試料毎に違っている。 よって、明らかにCt値は測定値である。 日本経済新聞の記事でも、Ct値を測定値として扱っている。

陽性と判断する基準値には、増幅に必要なサイクル数(CT値)を使う。 基準を高く設定するとウイルス量が少なくても陽性と判断される。 国立感染症研究所の新型コロナの検査マニュアルでは、原則この値が40以内でウイルスが検出されれば陽性と定めている。

一方、台湾では35未満に設定しているとされる。 日本で陽性となった人が台湾では陰性となる可能性がある。 中国は中国疾病対策予防センター(中国CDC)によって37未満を陽性と判断するが、37~40の場合は再検査などを推奨している。

日本でも一部検査機関では40に近いと再検査する機関もあるが、国の指針などはない。 国際的にも40程度に設定している国が多いとみられる。 >

PCR「陽性」基準値巡り議論、日本は厳しめ? - 日本経済新聞

Ct値は測定値であり、これと陽性判定基準を比較して、陽性かどうかを判断しているのである。 当社のPCR検査について - 新型コロナウィルス検査センターにも、「基準値及び判定基準」がCt値が40以下の場合は陽性疑いで、それ以上は検出限度以下と、測定値であるCt値と基準を比較して判定することが明記されている。

感染性と陽性判定基準 

基準値が問題になるのは、この値を高めに設定すると、ウイルス量がごく微量で、他人に感染させる恐れがない人まで陽性と判断してしまう恐れがあるためだ。 入院や治療が不要な人まで陽性とされる懸念がある。

英オックスフォード大学の研究チームはPCR検査が死んだウイルスの残骸を検出している可能性があると報告。 英国の別の研究では、値が25より小さい陽性者の85%以上は他人に感染力があるウイルスが培養できたが、35を超えると8.3%しか培養できなかったとの結果もある。

米ニューヨーク・タイムズの報道では、米国でも基準値は40前後に設定されているが、一部の専門家から「30~35程度が適正だ」との声も上がっているという。

日本臨床検査医学会で新型コロナ対策を担当する柳原克紀・長崎大教授は「ウイルスが極めて微量だから感染性がないとは現状では言えない。 使う機械や試薬によってもCT値は異なる。 この値だけで断言するのは難しいだろう」と指摘する。

基準値を高めに設定することで、発症前や感染初期でウイルス量が増える前の陽性者を確実に見付けやすくなる可能性もある。 柳原教授は「現在は安全性を第1に考え、日本は最も厳しく設定されている。 研究が進めば基準の変動もあり得る。国際的な議論が必要だろう」と指摘する

PCR「陽性」基準値巡り議論、日本は厳しめ? - 日本経済新聞

1〜3週目の培養陽性率

Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates - OXFORD ACADEMIC

判定基準の問題は、単純にCt値だけで判断できるものではなく、発症してからの日数が重要とされている。

新型コロナウイルス感染症の患者について、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年政令第11号)第3条において準用する法第22条の「病原体を保有していないこと」とは、原則として次の1に該当する場合とする。 ただし、次の②に該当する場合も差し支えないこととする。

①発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合

②発症日から10日間経過以前に症状軽快した場合に、症状軽快後24時間経過した後に核酸増幅法の検査を行い、陰性が確認され、その検査の検体を採取した24時間以後に再度検体採取を行い、陰性が確認された場合

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正) - 厚生労働省p.2


期間計算のイメージ図

退院基準・解除基準の改定 - 厚生労働省p.2


⑥2回のPCR検査の結果、陽性であった場合であっても、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合には退院可能ですか。 陽性であっても退院できる理由も併せて教えてください。

(答)

お見込みのとおりです。

また、国内外の知見によると、発熱等の症状が出てから7日〜10日程度経つと、新型コロナウイルス感染者の感染性は急激に低下し、PCRで検出される場合でも、感染性は極めて低いことがわかってきたため、入院や療養生活が始まってから、こうした期間が経過したかどうかと、各種検査の結果を総合判断して、元の生活への復帰を判断することとしました。

退院基準に関するQ&A(令和2年8月21日版) - 厚生労働省p.3


国内外の知見によると、発熱等の症状が出てから7日〜10日程度経つと、新型コロナウイルス感染者の感染性は急激に低下し、PCRで検出される場合でも、感染性は極めて低いことがわかってきています。 よって、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合には、2回のPCR検査の結果、陽性であった場合であっても、感染性は極めて低いため、退院可能としていることを、改めて申し添えます。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院の取扱いについて(再周知) - 厚生労働省

日本では「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」であればCt値が30以下であろうとも退院できることとしている。 これは、つまり、「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」に体内に残っているウィルスDNAやRNAは感染性を失った死骸だということである。 この概略イメージを図にすると次のようになる。

経過日数とDNAまたはRNA量(概略イメージ図)

つまり、Ct値の大小と感染性の有無に直接的な因果関係があるのではなく、どちらも、感染からの期間が経過したことによる結果である。 そして、発症からの期間が長くなるとCt値も大きくなるので、結果として、Ct値と感染性に相関が生まれるのである。 ようするに、Ct値が大きい場合は、感染していないのではなく、回復期の感染者である可能性があるということである。 そして、経過日数とCt値を総合的に判断して、現在進行形で罹患している感染者なのか、それとも、回復期の感染者なのかを区別する必要があるのである。

新型コロナウィルス感染症のリアルタイムPCR検査における患者初回探知時の平均Ct値

患者病日とリアルタイムPCR Ct値の相関について - 国立感染症研究所

これは、先ほどのTwitterのグラフの出典であり、次の研究結果とも矛盾しない。

検査の感度

抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける? - YAHOO!JAPANニュース

PMCに掲載された論文も入院患者の退院や隔離の解除の閾値に関する研究であって、検査で陽性が発覚した時の閾値に関する研究ではないようである。

Correlation between successful isolation of virus in cell culture and Ct value of quantitative RT-PCR targeting E gene suggests that patients with Ct above 33–34 using our RT-PCR system are not contagious and thus can be discharged from hospital care or strict confinement for non-hospitalized patients.

細胞培養におけるウイルスの分離の成功とE遺伝子を標的とする定量的RT-PCRのCt値との相関関係は、RT-PCRシステムを使用した33〜34を超えるCtの患者は伝染性がなく、したがって入院患者の退院や非入院患者への厳重な監禁からの解放が可能であることを示唆している。


The Méditerranée Infection University Hospital Institute in Marseille is the reference center for highly infectious diseases for Southeastern France. It was the only center in this region with diagnostic tests available during the first weeks of the epidemic in France and received patients’ samples from this whole area. From the day of the first positive test, on February 27 until March 12, 4384 clinical samples were tested by RT-PCR for 3466 patients. Since the beginning of this crisis and until now, on March 26, we inoculated 1049 samples and could obtain in culture 611 SARS-CoV-2 isolates. A total of 183 samples testing positive by RT-PCR, including 9 sputum samples and 174 nasopharyngeal swabs from 155 patients, were inoculated in cell cultures.

マルセイユにあるMéditerranée感染大学病院研究所は、フランス南東部の高度感染症のリファレンスセンターである。 フランスでの流行の最初の数週間に診断検査が利用できるこの地域で唯一のセンターであり、この地域全体から患者の検体を受け取った。 最初の陽性となった日の、2月27日から3月12日まで、3466人の患者の4384人の臨床検体がRT-PCRによって検査された。 この危機の始まりから現在まで、3月26日に1049の検体を接種し、培養で611のSARS-CoV-2分離株を得ることができた。 RT-PCRによって陽性と判定された検体は、155人の患者からの9つの喀痰検体と174の鼻咽頭検体を含む合計183の検体が細胞培養で接種した。


It was observed that SARS-CoV-2 was detected up to 20 days after onset of symptoms by PCR in infected patients but that the virus could not be isolated after day 8 in spite of ongoing high viral loads of approximately 105 RNA copies/mL of sample, using the RT-PCR system used in the present study. Progressive decrease of viral load over time is observed in all studies conducted in Covid-19 patients with positive detection being observed until 17–21 days after onset of symptoms, independently of symptoms.

症状発現後20日までSARS-CoV-2が検出されたが、本研究で用いたRT‐PCRシステムを用いた検体では、約105 RNAコピー/mLの高ウイルス量が継続しているにもかかわらず、8日後にウイルスを分離できなかったことが観察された。 Covid-19患者で実施されたすべての研究で、症状とは関係なく、症状の発症後17〜21日まで陽性の検出が観察され、時間の経過に伴うウイルス量の漸進的な減少が観察された。

Our results show that in our system of RT-PCR, we can assess that patients with Ct equal or above 34 may be discharged. In 6 patients under the current therapeutic protocol used at our institute (hydroxychloroquine and azithromycin), Ct values > 34 were obtained between days 2 and 4 post-treatment.

我々の結果は、RT-PCRシステムでは、Ctが34以上の患者が退院する可能性があると評価できることを示している。 当院で使用されている現在の治療プロトコル(ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン)の6人の患者では、治療後2日から4日の間にCt値>34が得られた。

Viral RNA load as determined by cell culture as a management tool for discharge of SARS-CoV-2 patients from infectious disease wards - PMC

BMJに掲載された論説 Operation Moonshot proposals are scientifically unsound - BMJ では、引用された論文は To Interpret the SARS-CoV-2 Test, Consider the Cycle Threshold Value - Clinical Infectious Diseases であり、これも入院患者の退院や隔離の解除の閾値に関する研究であって、検査で陽性が発覚した時の閾値に関する研究ではないようである。

米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)や米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America: PNAS)の知見については退院基準及び濃厚接触者に対する検査等の見直しについて - 厚生労働省に詳しく解説されている。 p.2「退院基準・解除基準の改正」にて「培養可能なウイルスが検出されず、感染性がある可能性が低いと考えられる」「発症日から7日〜10日程度経過した場合」についての「国内外の研究」があることが指摘されている。 その「国内外の研究」はp.4の「新型コロナウイルス患者のウイルス量と感染性に関する国内外の知見」に記載されている。 CDCの知見として、「発症後9日以降」は「ウイルス量が少ないが検知できるレベル(Ct値33-35)の場合、ウイルスは分離されない」としている。 また、PNASの知見として、「発症から7日目においてウイルスがPCRで検出できる場合であっても、ウイルス分離はできない」としている。 ここで言う「ウイルス分離」とは、生きた宿主細胞内でウィルスを培養して取り出すことである。 だから、死んだウィルスの断片では「ウイルス分離」はできない。 対するPCRでは宿主依存増殖能を利用せずに指定したDNA配列やRNA配列を複製するため、死んだウィルスの断片でも増殖は可能である。 それに対して、「ウイルス分離」では死んだウィルスの増殖はできない。 だから、「ウイルス分離」が可能な場合(培養陽性)は、感染性があると考えられる。 ただし、「ウイルス分離」ができなかった場合(培養陰性)は、宿主依存増殖能が失われたせいなのか、それ以外が原因なのかを慎重に判断する必要がある。 経過日数別のデータを採った論文の一例を以下に示す。

患者病日とウィルス量

Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19 - The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINESupplementary Appendix

21人の患者の計165回の検査の結果である。 サンプル数が少ないので参考程度だが、傾向は掴めるだろう。 尚、感染してすぐの検査が少なく、退院した後も検査がされていないので、2日目までと15日以降は近似線の作図には用いていない。 経過日数と平均Ct値の相関係数は0.829(3〜14日目限定なら0.851)、経過日数と培養陽性率の相関係数は-0.623((3〜14日目限定なら-0.736)であり、かなりの相関が認められる。

尚、37.5℃以上の発熱や喉の痛み、咳、痰、呼吸困難、酸素必要量などの呼吸器症状があっても培養陽性率は5割を切る。

症状と培養陽性率

Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19 - The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINESupplementary Appendix

よって、培養陰性が偽陽性ではないことは言うまでもない。 また、少数例ながら、培養陰性から培養陽性に転じたケースもある。

培養結果推移

Duration of Culturable SARS-CoV-2 in Hospitalized Patients with Covid-19 - The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINESupplementary Appendix

いずれもCt値が同時に下がっており、かつ、症状から見てステロイド療法などでウィスルが再燃した可能性がある。 いずれにせよ、培養陰性はウィルスを完全に駆逐したことを保証しない。

その他、国立感染症研究所のデータも参考となる。

患者(有症者)の陽性確定時の検体 患者(有症者)の陰性確定時の検体

新型コロナウイルス感染症患者からのウイルス分離状況―感染性の評価 - 国立感染症研究所

前者の患者病日が最大で10日となっているのは「陽性確定時の検体」、すなわち、最初に新型コロナに感染したと診断された日の検体だからであろう。 また、後者の患者病日が最小で5日となっているのは「患者(有症者)の陰性確定時の検体」、すなわち、新型コロナを発症した後に回復したと診断された日の検体だからであろう。 全体的に患者病日とCt値には正の相関、患者病日と培養陽性率には負の相関が読み取れる。 ただし、前者のデータはこのままでは評価しにくい。 そこで、培養陽性率や平均Ct値と患者病日との関係をグラフにした。

患者病日と培養陽性率

ただし、目分量で読み取っているため多少の誤差はある。 患者病日と培養陽性率には逆相関が見られる(相関係数:-0.589)。 面白いことに、近似線は先ほどの論文に近い値となっている。 ちなみに、後者のデータの相関係数は-0.481であった。 よって、全体的に経過日数が増えるほど培養陽性率が下がる傾向が見られる。 また、患者病日と平均Ct値には正の相関が見られる(相関係数:0.669)。 結果として、平均Ct値と培養陽性率には逆相関が見られる(相関係数:-0.450)。 これは、先ほど示した概略イメージ図の通りである。

経過日数とDNAまたはRNA量(概略イメージ図)

Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates - OXFORD ACADEMIC によれば、3790サンプルで培養陽性が0となるのはCt値36以上であった。 しかし、Ct値36以上のサンプル数はわずか30であり、Ct値が計測できた場合の1%にも満たないため、培養陽性率が0%と見做すにはデータが少ない。 以上から、高Ct値を一律培養陰性と見做しては、培養陽性を見逃す可能性がある。 よって、発症から一定日数が経過している場合に限って、Ct値は感染性の判断の目安とすべきであろう。

繰り返すが、感染性がないと判断される理由は、ウィルス量が少ないからではなく、培養陰性だからである。 そして、発症後は患者病日と培養陰性率に負の相関、患者病日とCt値には正の相関が見られるから、結果として、Ct値と培養陰性率に負の相関が成立し、Ct値を感染性の目安とできるのである。 さらに、培養陰性率が0になるのは一定日数経過した場合だけである。 発症前のデータは少なく、理論的にも発症前に感染性がないと考える理由がない。 よって、Ct値を感染性の目安にできるのは、発症から一定日数が経過した患者に限られる。 だから、先ほどの厚生労働省の文書にも「国内外の知見によると、発熱等の症状が出てから7日〜10日程度経つと、新型コロナウイルス感染者の感染性は急激に低下し、PCRで検出される場合でも、感染性は極めて低いことがわかってきた」と記載されているのである。

尚、 Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates - OXFORD ACADEMIC によれば、Ct値35以上はCt値ありのサンプルのうちのわずか2.74%にすぎない。 よって、陽性判定基準が高すぎることによって必要以上に陽性者が増えることはあり得ない。

1〜3週目のカットオフ値別陽性者数

Correlation Between 3790 Quantitative Polymerase Chain Reaction–Positives Samples and Positive Cell Cultures, Including 1941 Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Isolates - OXFORD ACADEMIC

また、Ct値が35以上であっても、症状がある人と同様、回復によるものと推測できる。 よって、現在は感性性がなかったとしても、過去には感染性があったと考えられる。 つまり、検査対象としたことが不適切なのではなく、検査が遅すぎただけである。 濃厚接触者等の感染している可能性の高い人に早期に検査を実施していれば、決して、このようなことにはならないだろう。 つまり、発症してすぐ、あるいは、感染が疑われる日から間もないうちに検査する場合は、閾値が高くても偽陽性が発生する心配はほぼない。 ただし、感染日や発症日が不明の者の検査を実施する場合は閾値に十分注意を払う必要がある。

尚、Ct値が35以上は、その人自体を隔離する必要は乏しくても、濃厚接触者を洗い出す必要はある。 何故なら、既に誰かに二次感染させている可能性があり、かつ、二次感染者や三次感染者は今現在で感染性を有している疑いがあるからである。

偽陰性リスク 

以下のとおり、現状でも偽陰性者からのクラスターが多数発生している。

基準を緩めれば、当然、こうした偽陰性者が増えることは言うまでもない。

無症状からの感染 

Occurrence and transmission potential of asymptomatic and presymptomatic SARS-CoV-2 infections: A living systematic review and meta-analysis - PLOS MEDICINE(複数の論文のメタ解析)によれば、発症前や無症候からも二次感染することが判明している。 むしろ、症状が出なければ隔離措置が遅れてスーパー・スプレッダーとなる危険性が高い(実例:「チフスのメアリー」、「牛乳屋N」等)。

ただし、厚労省は発症前2日間は無症状でも人にうつすおそれがあるので、行動履歴はちゃんと調べるようにという見解ですが、我々の調査では発症3日前にうつしている例もありましたので、自発的に発症3日前から行動履歴を調べ、必要な接触者には検査に行くようにしています。

(3)一方、最近よく見られるのは一旦PCR検査が陰性になった濃厚接触者が後に発症したり、陽性になったりするということです。


発症していない時はウイルス量も少なく、一定の割合でウイルスは持っていてもPCRが陰性になる人もいます。

知事からのメッセージ 令和2年12月28日 - 和歌山県

この和歌山県知事の情報も含めてまとめると次のようになる。

  • 感染判定基準では基準値は高くても問題ないが低いと偽陰性が増える
    • 発症7日目までのCt値は35以下(基準値は35以上なら幾らであっても、陽性率は変わらない)
    • 発症前については基準値40でも偽陰性が発生する
  • 回復判定基準において基準値はほぼ関係ない
    • 日本の退院基準では「発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」は陽性でも退院できる

つまり、次のとおりである。

  • 基準値によって陽性率は実質的に影響を受けない
  • 基準値によって偽陰性率は影響を受ける

この結果として次のことが言える。

  • 基準値を上げれば偽陰性率は下がり、感染者の捕捉率が上がるため、結果、感染を抑止できる
  • 基準値を下げれば偽陰性率は上がり、感染者の捕捉率が下がるため、結果、感染が拡大する

だから、「基準値を上げて感染者数を水増ししている」などの陰謀論が成立する余地はない。 短期的効果にのみ着目してスキー場に塩を撒いて雪の温度を下げても、返って雪の量が減る逆効果を生むだけなのだ。 感染者数を多くしたいなら、逆に、基準値を下げなければならない。

「基準値が低い国は感染が少ないから基準値を下げるべきだ」と言う人がいるが、それは全く逆である。 基準値を下げたことで感染が減ったのではなく、感染が減っているから基準値を下げても問題がないだけにすぎない。 基準値を下げることによる感染拡大効果を他の対策による感染抑止が上回っていることに他ならない。

感染判定と医師の診断 

新型コロナに感染したかどうかは医師の診断によることとなっている。

5 届 出

診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る. 届出に基づき,患者に対して感染症指 定医療機関などへの入院勧告・措置が行われる.

新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第4.1 版 - 厚生労働省p.25


無症状の方が自費検査をやられるということで、例えば陽性になった場合、これは医療機関と提携いただいていたり、医療機関自体がやっております自費検査ですと、医師がそこで診断し、それを基に感染症法に則って保健所に届出いただくということになります。 医師と提携していただいていないと、そういうことになりません。

田村大臣会見概要(令和2年12月18日(金) 10:59 ~ 11:16 省内会見室) - 厚生労働省

医師の診断がなければ感染の届出は行われない。

民間検査機関の報告状況 

続きまして、最近自費検査が非常に、この東京でも広がってきております。 無症状の方が自費検査をやられるということで、例えば陽性になった場合、これは医療機関と提携いただいていたり、医療機関自体がやっております自費検査ですと、医師がそこで診断し、それを基に感染症法に則って保健所に届出いただくということになります。 医師と提携していただいていないと、そういうことになりません。

厚生労働省としては、11月24日に事務連絡を発出しまして、民間検査機関に対しては、医療機関としっかりと提携をしていただく、提携医療機関を持っていただくということをお願いしています。

改めて、ここでお願いをさせていただきますと同時に、当然提携いただいている医療機関は医師の方々が診断をされますので、医師の方々の診断に資する、診断の期待に応えられる精度が求められるわけです。

我々厚生労働省としても、診断に資する精度というものを是非ともお願いしたいということです。 提携していただいていないと、仮に陽性が出てもどこで行政検査をやるんだという話になってまいりますし、そもそもどれくらいの精度をもった診断か分からなければ、医療機関に来ていただいても医療機関が困ってしまいますので、是非とも民間検査機関の皆さま方には医療機関と提携していただきたい。

逆に言うと、提携していない検査機関で検査をいただいた場合には、検査された方々が困ってしまうことになりますので、よろしくお願いいたします。 私からは以上です。ご質問お願いします。

田村大臣会見概要(令和2年12月18日(金) 10:59 ~ 11:16 省内会見室) - 厚生労働省


自費検査を利用する者が検査機関を選ぶ際に留意すべき事項


  • 検査機関によっては、検査を行い、その結果を通知するのみで、医師の診断を伴わない機関もあります。 たとえ検査結果が陰性であっても、医師により感染していないと診断されない限りは、感染していないとはいえません。
  • 医師による診断を伴わない検査で結果が陽性の場合、検査機関に提携医療機関がある場合には、検査を受ける者の同意に基づき、検査機関から医療機関に検査結果(陽性)が報告されます。 提携医療機関がない場合には、自分で受診相談センターまたは身近な医療機関に相談しましょう。 身近な医療機関を受診する場合、事前に電話で連絡をしてください。相談の結果、医療機関で再度検査が必要になる場合もあります。
  • 医師による診断を伴う検査または提携医療機関等の医師により新型コロナウイルスに感染したと診断された場合には、医師が感染症法に基づく届出を保健所に行うことになります。

新型コロナウイルス感染症に関する自費検査を実施する検査機関が情報提供すべき事項の周知および協力依頼について - 厚生労働省別添1 p.3

提携医療機関を持たない、いわゆる野良PCR検査は、厚生労働省の事務連絡に従っていない。 そのような野良PCR検査では、感染結果は保健所に届出されない。

一方、国内の発生状況など - 厚生労働省の「PCR検査の実施件数」等を見れば分かる通り、厚生労働省に従っている民間検査では検査件数も届出されている。

情報源検索中 

以下、信頼できる情報源を捜索中。 尚、元情報も信頼できる情報源を示されていない。

「ポルトガルの裁判所がPCR検査の偽陽性を認めた」 

判決の内容は、PCR検査に関する物ではなく、その検査結果に基づいた措置の権限が誰にあるかに関する物。 隔離入院等の措置を判断する権限は医師にあって、保健局にはないとのこと。

Twitter上のデマの例 

「日本ではPCR検査の増幅回数(Ct値)を不当に大きくして感染者数を水増ししている」というデマを良く聞く。

PCR検査とCt値について。

ノーマスク漫画本情報

ノーマスク漫画(笑)

2020年10月2日午後2:34(こえふ@ノーマスク漫画) - Twitter


Ct値については主にこちを参考にさせて頂きました。

2020年10月2日午後2:34(こえふ@ノーマスク漫画) - Twitter


ちなみに各国のCT値は、Twitter上の噂では、
台湾、スウェーデン 35
ドイツ 37~40
米国 40
日本 40~42
英国 45

2020年9月24日午前11:54(You) - Twitter

何と情報源はTwitter上の噂(笑)。 次のような表もよく見かける。

ツ、Twitter上の情報!??😂😂😂😂😂

こ、こいつら、ツ、Twitter上の情報で盛り上がってんのかwwwww

さすがK値デマ宮沢准教授の信者様がたはひと味もふた味も違うなww

Twitter上の情報

2020年10月20日午後8:43(tomo_hiko) - Twitter

これも、何と情報源はTwitter上の情報(笑)。 英語表記のバージョンもあるが、そちらも同様である。

以下は、デマ信者のツイートである。

PCR検査のCt値を今すぐ見直せ!

初回探知時のCt値

2020年11月27日午後10:38(最新型 Hory chan) - Twitter

この画像が信頼できるものだと仮定すると、次の2点を示している。

  • Ct値は設定値ではなく測定値である
  • 日本における初回探知時のCt値は概ね30〜35以下

Ct値が人為的に設定値する値であるなら次の点が矛盾する。

  • 患者病日によってCt値に正の相関がある
  • 同じ患者病日によってCt値にバラツキがある

Ct値が人為的に設定値する値であるなら、患者病日とCt値に正の相関があることは、患者病日によって設定を変えていることを意味する。 まさか、マニュアルやガイドラインで患者病日毎に設定値を変えることになっているとでも言うのだろうか。 しかし、それなら、同じ患者病日によってCt値にバラツキがあることが説明できない。 そもそも、無症状の感染者の患者病日は不明なのだが、その場合はいくらの値に設定するのか。 と、常識的に考えておかしい。

どう考えても、この画像はCt値関連のデマ情報と明らかに矛盾している。 自分で示しておいて矛盾に気づかないこの信者達は重症であろう。

次のような恥ずかしい知ったかぶりを披露する者もいる。

Cycle値です。 つまり何回の増幅サイクルを行うかの設定です。

抑もPCR検査は「何回目のサイクルで試薬に反応があったか」を判定する検査ではない事はご存知ですよね?

検体を一サイクルごとに試薬反応を取って、反応がなかったらもう一度増幅サイクル、というのは不可能です。

2021年3月4日午後11:34(寄り道) -·Twitter


ですので「この増幅サイクル回数基準で検体を増幅する。 その増幅した検体サンプルに試薬反応を試みて、反応があったら陽性とする」というのがPCR検査です。

その増幅サイクル数を日本では45サイクルで行なっているという意味です。

2021年3月4日午後11:36(寄り道) -·Twitter


冗談抜きで不思議なのですが、PCR検査のCt値は検出値と言って、まさかと思いますが「PCR検査は一度のサイクル毎に試薬反応を取って、反応があったかどうかを調べている」と思っていませんよね?

2021年3月5日午前0:04(寄り道) -·Twitter


今頃になって、この馬○がどういう勘違いしてるかわかったわ。

「測定値であるCt値は如何なる値にも設定できません。」

といっているけど、どうやらCt値は陽性反応が出るまで1回毎にサイクル数を増やしていると思っているんだな。

そんなことしてたら1回毎にウイルスが混入する恐れがあり、

2021年3月11日午後2:57(starign) - Twitter


その回数を増やせば全員陽性にできるのは明らか。

こういう突っかかってくるやつはだいたい○鹿であることがはっきりわかったわ。

このひと、ツイッター情報に騙されるなとか言ってるけど、なんで自分が騙されてると思わないんだろうか。

あ、莫○だからか。

2021年3月11日午後2:58(starign) - Twitter

リアルタイムPCRの原理 - タカラバイオ株式会社に記載されているとおり、「分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置」を用いてサイクル数と蛍光光度の関係を連続して記録するため、次のような行動は不要である。

  • 「検体を一サイクルごとに試薬反応を取って、反応がなかったらもう一度増幅サイクル」
  • 「一度のサイクル毎に試薬反応を取って」
  • 「陽性反応が出るまで1回毎にサイクル数を増やしている」

自分の「○鹿」を晒しておいて相手が「莫○」なのだそうだ。

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