ポビドンヨードのコロナ治療・予防効果

効果 

府の宿泊療養施設の療養患者(41名)を対象として実施(大阪府・市が研究に協力)

1日4回 ポビドンヨードによるうがいを実施(起床時・昼食前・夕食前・就寝前)

入所中、毎日、唾液検体を採取しPCR検査を実施

その結果、「ポビドンヨード含嗽で宿泊療養者の唾液ウイルス陽性頻度は低下する」とされた。

大阪はびきの医療センターにおける新型コロナウイルスへの取組み - 大阪府1:16〜

この結果からは、予防効果や治療効果の有無は測れない。 殺ウィルス効果のある薬剤でうがいをすれば、唾液内のウィルスが減るのは当然の結果である。 しかし、コロナウィルスは鼻や肺など、うがい薬の届かない範囲にも生息する。 だから、唾液内のウィルスが減っても、唾液以外の検体のウィルスが減ることを示していない以上、治療・予防効果があるとまでは言えない。

唾液を用いたPCR検査の導入について - 厚生労働省により、2020年6月2日からは「発症から9日以内の症例」の唾液によるPCR検査が認められている。 ポビドンヨードでうがいを実施した場合、感染しているのに、検査で陰性になることが予想される。 偽陰性を大量に発生させる恐れがあり、感染症対策に重大な支障が生じる恐れがある。

その他、ネット上では、ポビドンヨードの害についても懸念されており、水うがいとの比較もないことが批判されている。 買い占めによって必要な所に行き渡らなくなることも懸念されている。

イソジンうがいが引き起こす懸念事項 

少なくとも、吉村洋文大阪府知事の記者会見の段階では、イソジンうがいのメリットとデメリットのどちらが上かは結論が出ていない。

偽陰性の増加 

陽性判定で行動が制限されることを嫌って、唾液検査前にうがいをする不届きな輩が現れれば、感染者を捕捉できなくなってしまう。

故意でなくても、勘違いによって、それと同様の行動が発生しかねない。 毎日、うがいをしている人が、唾液検査で陰性になった事実を感染してないお墨付きだと勘違いして、うがいをやめてしまうことも考えられる。 そして、その人が、その後に外出して三密状態で他人に移しまくる、ということもあろう。

いずれにせよ、偽陰性が増加すれば、感染者の捕捉漏れが発生し、感染状況をコントロールできなくなってしまう。

感染しやすくなる効果 

喉の粘膜を傷つけることなどによって、感染を予防する力が低下する恐れがある。 結果、新型コロナは元より、他の感染症に罹患するリスクも上がりかねない。

会見の責任 

吉村洋文大阪府知事は次のように言い訳する。

だが、5日の会見では自身の責任には触れず、「誤解がある。予防効果があるとは言っていない」と釈明するとともに、「陽性者などがうがい薬を使うことで口の中のウイルスが減るので、人にうつすことを防ぐのではないか」と飛沫感染防止などへの期待をあらためて主張した。

吉村知事「予防薬、治療薬ではない」 うがい薬で説明 - 日本経済新聞

しかし、会見の内容を確認する限り、吉村洋文大阪府知事が「ポビドンヨードのうがい薬の効能」を標榜していることは明らかである。

吉村「嘘みたいな本当の話、嘘みたいな真面目な話をこれからさせていただきたいと思います。 ポビドンヨードを使ったうがい薬、今目の前に種類がありますが、皆様もよく知っているこのうがい薬を使って、そして、うがいをすることによってですね、コロナの患者さん、コロナ???減っていく、コロナの陽性者が減っていく。 薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出ましたので、それをまず皆さんにご紹介するのと、それから府民の皆さんへの呼びかけをさせていただきたいと思います。」

「ポビドンヨード配合薬でうがいを」大阪府の吉村知事【会見ノーカット】 - Youtube1:16〜

吉村洋文知事は、治療研究に関する話をしており、「ポビドンヨードのうがい薬の効能について説明させていただきます」とも明言している。 唾液に含まれるウィルスから感染することにも言及しているが、「人にうつすことを防ぐ」ことが目的とは言っていない。 「研究段階なので確定的には言うことははできない」とも言っているが、「コロナにある意味打ち勝てるのではないか」とも言っており、この一連の発言が治療効果に関するものではないとの発言は一切ない。 その上で、府民の方へのお願いとしてうがい薬をつかったうがいの励行を呼びかけている。

会見で使われた資料 大阪はびきの医療センターにおける新型コロナウイルスへの取組み - 大阪府 においても、治療研究について記載しており、その最後にポビドンヨードうがい薬を使ったうがいの励行が記載されている。 「人にうつすことを防ぐ」ことが目的とも書かれておらず、この一連の資料が治療効果を示すものではないとの記載もない。

これは、どう見ても、会見を受けた側が誤解したのではなく、あたかも「ポビドンヨードのうがい薬の効能」があるかのように意図的に吉村洋文大阪府知事が情報を流している。

松井「府市とはびきの病院機構の皆様で研究して、その成果をだまっとけ言うの? こう、結果出たのに。 効くとはゆってないけども、事実としてうがいしてるよりこのイソジン、イソジンてあんまりゆったらあかんのか、このうがい薬でうがいした人、陽性患者にホテルで療養している人にこういう形でうがいを推奨してやってもらった結果、あの数字が出ましたよと。 で、今、記者の君の言うのでは、これ確実に医薬品としてきちっと決まるまで厚労省で承認するまではこの話を表に出さんとごく近いもんだけで発表するなって聞こえんねんけど。 こう、答出たんやから、出た。 こう、うがいを」

記者「???なら発表していいと思いますけど、それを踏まえて呼びかけを行うってのはまた別の問題かと思います。」

松井「そのコミットの???に対しては、手洗い、うがい、マスク、ソーシャルディスタンスはこれまでも呼びかけてる。 手洗い、うがい、そのうがいの中が、何もなしにうがいするんじゃなくて、うがい薬を使った方が効きましたという発表なんです。 元々、うがいはお願いしてるのよ。 手洗いとうがいは。 で、そのうがいの中でこれ使った方がこういう結果出ましたということやから。 従来お願いしている所に今回このうがい薬と使った結果を足しただけの話。 それを、こういうことは言わないほうがいいとか、黙っとけってゆうのはちょっとおかしいと思うよね。」

「ポビドンヨード配合薬でうがいを」大阪府の吉村知事【会見ノーカット】 - Youtube1:00:30〜

松井一郎大阪市長は、2つの混同論法を用いている。 まず、記者が指摘していることは「従来お願いしている」ことの問題ではなく、「今回このうがい薬と使った結果を足した」ことの問題である。 よって、この松井一郎大阪市長の説明は何の言い訳にもなっていない。 この松井一郎大阪市長の主張が通るなら、例えば、がん治療をしている患者に未承認の治療法を足した場合も正当化されてしまう。 言うまでもなく、「従来お願いしている」ことと「今回このうがい薬と使った結果を足した」ことは全く別の問題である。 薬事法では、「今回このうがい薬と使った結果」のような科学的に不確かなことで、医学的あるいは経済的弊害が生じないように、未承認医薬品の宣伝を禁じているのである。 松井一郎大阪市長は、その趣旨を全く理解していない。

また、「この話を表に出さんとごく近いもんだけで発表するな」とは誰も言っていない。 情報共有をする必要があるなら科学的手続きに則って情報共有をすれば良いのであり、何も知らない素人向けに記者会見で呼びかけるような倫理に反する行為を行う必要はない。

尚、今回発表された研究には「何もなしにうがいするんじゃなくて、うがい薬を使った方が効きました」ことを示す証拠は何一つない。 うがい薬を使ってうがいをした場合とうがいをしなかった場合の比較しかされていないのであって、「何もなしにうがい」をした場合は比較対象に入っていない。

吉村「あとは、僕らは府民の皆様の命ってものを守る責任というのを常に背負いながら日々判断をしてます。 そのときに、これはまだ、突然、厚労省がこのうがい薬イソジンが効くって、うがい薬がそれに効くって効能を認めて許可を得てないけれども、この研究成果が一定出たのであれば、我々としてはね、一人でも死亡者を減らしたいっていう思いでやってる。 一人でも重症者を減らしたいっていう思いでやってます。 で、そういう思いでやってる中でですね、非常に副作用が強烈にあるかもしれないと言うのであれば、これは我々も躊躇しますけれども、普通に売ってるうがい薬ですから、それを使うことのデメリットっていうのを考えたときにね、メリットの方が圧倒的にこの研究結果から見たら高いでしょう。 であるならば、内緒で押さえとくんじゃなくて、皆さんにこれまでうがいをお願いしてるので、このポビドンヨードが入ったうがいを、とくに感染リスクが高い方はお願いしますと呼びかけるのは僕はこれは全然おかしなことではないと思います。」

「ポビドンヨード配合薬でうがいを」大阪府の吉村知事【会見ノーカット】 - Youtube1:02:52〜

吉村洋文大阪府知事は「普通に売ってるうがい薬」であることを言い訳にしている。 しかし、市販薬副作用で死亡15件 過去5年、消費者庁が注意促す - 日本経済新聞等でも紹介されているように、市販薬でも副作用で死亡例がある。 ポビドンヨードについても一定の害はあり、ネット上では、医療関係者の懸念が多数寄せられている。 そして、この研究結果でもメリットは明確ではないので、「メリットの方が圧倒的にこの研究結果から見たら高い」などとは到底言えない。 素人判断ではこのような勘違いをしてしまうから、科学的手続きに沿うこと、薬事法を遵守することが大事なのである。 医師法では、医師だけに例外的に実験的治療を認めているが、それは、医学的知識があるからこそ可能なことである。 府知事が率先して薬事法に違反し、府民の命を危険に晒すなど、「府民の皆様の命ってものを守る責任というのを常に背負」っている者としては極めて無責任であろう。

ちなみに、また吉村がおかしなこと言い出してるとネット上の大批判がありますが、構いません。 松山先生の研究成果を信じて頂かなくても構いません。 大阪の社会経済に壊滅的なダメージを与え、府民の健康と命の脅威となってるコロナから、なんとか府民を守るべく、今後もありとあらゆる努力をします。

2020年8月4日午後8:35(吉村洋文(大阪府知事)) - Twitter

「府民の健康と命の脅威となってるコロナから、なんとか府民を守るべく、今後もありとあらゆる努力」をするなら、批判に真摯にも耳を傾ける必要があるのではなかろうか。 「研究成果を信じて頂かなくても構いません」という問題ではななかろう。 買い占めによって必要な所に行き渡らなくなる危険性も生じており、吉村洋文大阪府知事自身が新たな「府民の健康と命の脅威」を作り出しているのである。

K値なる疑似科学と言い、ポビドンヨードと言い、吉村洋文大阪府知事は、全く、ロクなことをしない。 「府民の健康と命の脅威となってるコロナから、なんとか府民を守る」という口実のもと、「ありとあらゆる努力」をしているというアピールに勤しんでいるだけである。 このような人物はリコール運動でとっとと解任すべきであろう。


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    科学

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