「新型コロナ対策が原因で自殺増」の嘘

はじめに 

2020年については速報値・暫定値であるので確定版では数値が変わる可能性がある。 以下も参考に。

自殺者数は増えていない 

自殺者数は昨年よりは若干多いが、過去10年で3番目に少ない。

自殺者数年次推移

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

月字推移では、緊急事態宣言が発出された前半は例年より少なく、後半は平年並かやや多い程度。

月別自殺者数の推移

警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等 - 厚生労働省

若者の自殺原因 

2020年は20代以下と70代以上で自殺が増えている。

年齢階級別自殺者数

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

20代で顕著に自殺が増えているのは家庭問題と経済・生活問題である。

20代自殺者数(全数)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

家庭問題で自殺が増えているのは20代以下のみである。

年齢階級別自殺者数(家庭問題)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

20代の家庭問題で顕著に増えているのは親子関係や夫婦関係の不和である。

20代自殺者数(家庭問題)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

しかし、家族の将来悲観は減少なので、経済停滞等が原因ではなかろう。

自粛でイライラが増えたことが親子関係や夫婦関係の不和の原因となっている可能性はあろう。 しかし、それは、新型コロナ対策のやり方の問題であって、対策することそのものの問題とは言い難い。 また、対策不備で死者数が増えることによっても、親子関係や夫婦関係の不和が生じないとも限らない。 よって、新型コロナ対策が原因で自殺が増えたとは言えない。

経済・生活問題で自殺が増えているのは20代である。

年齢階級別自殺者数(経済・生活問題)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

20代の経済・生活問題で顕著に増えているのは負債(多重債務)であり、負債(その他)や就職失敗がやや増えている。

20代自殺者数(経済・生活問題)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

親の世代の40代では負債(多重債務)も負債(その他)も減っている。

40代自殺者数(経済・生活問題)

自殺の統計:各年の状況 - 厚生労働省

よって、20代の負債による自殺の原因は、親の夫妻ではなく当人の負債であると考えられる。 収入減少となる倒産、事業不振、失業に増加は見られず、就職失敗の増加はわずかである。 よって、収入減少により負債の返済が滞ったことが主原因とは考えにくい。 収入減少以外の原因で負債が増加しているのであれば、これは新型コロナ対策と関係があるとは到底考えられない。 新型コロナに便乗した詐欺被害等が増加したのかもしれないが、新型コロナ対策の不備ではないことは明らかだろう。

尚、就職失敗が原因の約10の自殺増加の原因が経済停滞であることは疑いの余地がない。 しかし、日本の経済損失は緊急事態宣言のせいか?に記載した通り、新型コロナそのものの経済への悪影響は避けられない。 よほど国の対策がお粗末でもない限り、新型コロナ対策が経済停滞の原因とまでは言えない。 よって、就職失敗が原因の自殺増加も新型コロナ対策が原因とまでは言えない。

救った命 

ここで、何も対策をしなかった場合の人口あたり死者数が、世界で最も死者数の多い国と同数〜理論最大(6割感染のうち5%が死亡)の間になると仮定する。 2020年2月24日現在の年齢階級別死者比率をあてはめると、 何も対策をしなかった場合は20代で100〜1600人、30代で500〜8600、40代で1800〜3万人が死ぬ計算となる。 それに対して、現実には20代の死亡は3人にとどまっている。 仮に、先ほどの20代の就職失敗が原因の自殺増の10人が全て対策失敗によるものだったとしても、対策によってそれ以上に多くの20代の命を救っているのである。

まとめ 

何も犠牲にすることなく、若者も老人も救える命は全て救うことが理想である。 もちろん、それは理想であって実現可能とは限らない。 しかし、現実の新型コロナ対策は、少なくとも命に関しては、その理想を実現している。 「老人のために若者が犠牲になっている」と主張する者は、そうした理想や現実を無視して、若者と老人のどちらを犠牲にするかの二項対立に無理やり持ち込んでいるに過ぎない。 そもそも、老人は若者の成れの果てであり、老人に犠牲になれと言うことは若者の将来を奪っていることと等しい。 また、やさしかった祖父母等の知人が死ぬことによって悲しむ若者もいるだろう。 現実は、若者と老人のどちらを犠牲にするかの二項対立ではないのだ。


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