Apple Siliconで動作するParallels Desktop

• GIZMODE情報
• Parallelsの中の人
• Intel x86のサポートの有無の影響

GIZMODE情報 

GIZMODEではWWDCの基調講演でParallels Desktopが「Rosetta 2でエミュレーション起動」されていたと書かれている。 しかし、Apple Developer DocumentationではRosetta 2でVirtual Machine appsを変換できないとされている。 そもそも、Rosetta 2では32bitコードはサポートされないだろうから、Virtual Machine appsを変換できても仮想PCの起動段階で止まってしまうはずである。 Rosetta 2を必要としないはずのARM用コードの「そのほかのiPhone、iOSアプリ」まで「Rosetta 2でエミュレーション起動」と書かれているから何かおかしい。

Parallelsの中の人 

Parallelsの中の人によると、GIZMODEの情報は正しくないようだ。

Apple’s Worldwide Developer Conference (WWDC) revealed many innovative developments, including a demo featuring a prototype of a forthcoming version of Parallels Desktop for Mac running on Mac with Apple Silicon.

AppleのWorldwide Developer Conference (WWDC) は、Apple Silicon搭載Macで動作するParallels Desktop for Macの次期バージョンのプロトタイプのデモなど、多くの革新的な開発を明らかにした。

“Parallels® is proud to be working closely with Apple during this exciting transition, and we’re looking forward to launching support for future Macs with Apple Silicon,” said Nick Dobrovolskiy, Senior Vice President of Engineering and Customer Support for Parallels.

Parallelsのエンジニアリングおよびカスタマーサポート担当シニアバイスプレジデントを務めるNick Dobrovolskiyは、「Parallels ®は、このエキサイティングな移行期間中、Appleと密接に連携できることを誇りに思っており、将来的にApple Silicon搭載Macのサポートを開始できることを楽しみにしています。」と述べた。

“Parallels brings more than a decade of cross-platform solutions experience, seamlessly integrating operating systems and features, to our work with Apple,” added Dobrovolskiy. Our award-winning Parallels Desktop for Mac software makes it simple for businesses and individuals to use the applications and files from any operating system they need on their Macs.”

「Parallelsは、Appleとの共同作業によって、10年以上にわたるクロスプラットフォームソリューションの経験をもたらし、オペレーティングシステムと機能をシームレスに統合しました。」とDobrovolskiyは付け加えた。 数々の受賞歴のあるParallels Desktop for Mac ソフトウェアを使用することで、企業や個人は、Mac上で必要なオペレーティングシステムのアプリケーションやファイルを簡単に使用できるようになります。

We look forward to sharing more information about Parallels Desktop’s support for Mac with Apple Silicon in the future.

今後、Parallels DesktopがApple Silicon搭載Macのサポートに関する詳細を共有できることを楽しみにしています。

Parallels and Apple Work Closely to Bring Virtualization Capabilities to Macs with Apple Silicon (Apple Silicon搭載Mac に仮想化機能を提供するためにParallelsとAppleが緊密に協力) - Parallels Blog

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Apple が2020 年 6 月 22 日より開催中の世界開発者会議 (WWDC) で多くのイノベーションが発表される中、Apple Silicon を搭載した Mac で実行できるParallels Desktop for Mac の次期バージョンのプロトタイプ デモも披露されました。

Parallels のエンジニアリング・サポート担当シニア バイスプレジデントであるニック・ドブロボルスキーは次のように述べています。「Parallels® はこの移行時に、Apple と緊密に連携しており、Apple Silicon を搭載した将来の Mac へサポートを提供していくことを楽しみにしています」

また、ドブロボルスキーは加えて、「Parallels は、オペレーティング システムや機能をシームレスに統合して来た 10 年以上のクロスプラットフォーム ソリューションの実績を、Apple との連携に生かしています。当社の受賞歴のあるソフトウェア Parallels Desktop for Mac を使えば、企業や個人ユーザーは自分の Mac で必要なあらゆるオペレーティング システムのアプリケーションやファイルを簡単に使えるようになります」と述べています。

Parallels Desktop が提供する Apple Silicon を搭載した Mac へのサポートの詳細については、今後発表致します。

Parallels、Apple と連携し、Apple Silicon 搭載の Mac に 仮想化機能を提供へ - Parallels Blog

Parallelsは、WWDCに先立って、Apple Siliconへの移行計画を聞かされていて、次期OS「Big Sur」の開発環境の提供を受けたうえで、Parallels Desktop for Macの次期バージョンを開発していたのである。 そして、WWDCでは、プロトタイプのデモを出品したのである。

ただし、デモで動いていたOSがARM版なのかIntel x86版なのかは定かではない。 また、Intel x86版がサポートされるかどうかも定かではない。 ParallelsがARMアーキテクチャ搭載Macに仮想環境を提供へ、ARM on ARMのWin環境が現実的か - TechCrunch Japanによれば、現時点では回答できないとのこと。

Intel x86のサポートの有無の影響 

Parallelsが回答を渋っているのは、Intel x86をサポートして欲しいというニーズが一定程度あることと、技術的難易度の兼ね合いがあるからだろう。 ここでは、どの程度のニーズがあるか書いておきたい。

iOS版アプリが動くようになれば、一定程度、対応アプリが増えるだろう。 しかし、iOS版がなくてWindows版だけリリースされているアプリは、Intel x86のサポートがなければ使えない。 また、手持ちの古いアプリを動かしたい人にとっては、Intel x86のサポートは切実な問題である。

• Windows
  • Windows10
    • ARM版はバンドル版のみで市販されていない
    • ARM版ではIntel x86の64bitアプリが動かない(現状ではあまり問題なさそう)
  • Windows8
    • ARM版はバンドル版のみで市販されていない
    • ARM版ではIntel x86のアプリが動かない
  • Windows7以前はARM版がない
  • Windowsには移行アシスタントがないのでアプリの再インストール等に手間がかかる
    • Microsoft純正品はメールや基本設定等の移行のみ
    • サードバーティ性はＣドライブのみ対応
• macOS
  • 32bitアプリは10.15(Catalina)以降で動かない
  • Rosetta対応は10.6(Snow Leopard)まで

もちろん、Intel x86をサポートしても、実行速度が遅くなることは言うまでもない。 しかし、手持ちの古いアプリを動かしたい人にとっては、速度低下が問題になるケースは稀だろう。