W-SIM戦略案

WILLCOM再建案の一部として、W-SIM戦略の見直しを提案する。

当初の目論見 

W-SIMの目的は、通信部分をモジュールとして用意することで、端末の開発を容易にして、各種企業の参入を促し、多様な端末を増やすことにあった。 また、W-SIMの差し替えにより、様々な端末を利用できるメリットも想定された。

実際 

WILLCOMで、多様な端末と言える唯一の例は、W-ZERO3シリーズを初めとするスマートフォンだけである。 そのおかげで、国内携帯電話会社としては、スマートフォンで先行できた。 しかし、その後、他の携帯電話会社の追撃により、WILLCOMはスマートフォンの代表的な事業者では無くなってしまった。 WILLCOMのスマートフォンの殆どがシャープ製であり、他の企業からはほぼ見向きもされなかった。 世界で主流のiPhoneもAndroidもBlackBerryも誘致できず、時代に取り残されてしまった。

音声端末に至っては、大した機能のない魅力に欠ける端末ばかりである。 機種多様化の為ではなく、W-SIMの差し替えが可能だとアピールする為の形だけの端末でしかない。

原因 

どこの会社も、1つの機種で莫大な利益を得られる端末を作りたい。 日本だけのシェア5%以下の携帯会社独自の規格を採用しても、大した利益は期待できない。 そのため、WILLCOMと関係の深い一部企業はW-SIM端末を作ったが、世界の多くの企業からはそっぽを向かれた。

今は、東南アジア系の端末製造会社も台頭してきている。 それら企業も、通信部分を苦もなく作っているため、技術的理由ではW-SIMを採用する意味はない。

以上のとおり、現状では、どの端末製造会社にとっても、商業的な理由でも、技術的な理由でも、W-SIMを採用する意味がない。

対策 

今後も、W-SIMを続けるのであれば、世界中の企業にW-SIMを採用させる動機付けが必要となる。 そのためには、世界の主流の通信方式に対応したW-SIMを直ぐにでもリリースする必要がある。 W-SIM型GSMモジュールは以前からあるが、もはや、時代遅れである。 W-SIM型W-CDMA(HSDPA)モジュールは、ようやく参考出品されただけ。 これでは、端末製造会社に「ぜひ採用したい」と思わせることはできない。

W-CDMA版の他、Verizon(米国第一位)やau(日本第二位)の通信方式であるCDMA2000版の最低2種類が今直ぐにでも必要だ。 今後、普及するであろうWiMAXやLTEに対応したW-SIMも、2011年前半中に発売にこぎ着けなければ話にならない。 これらは、XGP版よりも急いで開発する必要がある。 端末製造会社にW-SIMを採用させてから、XGP版を開発しても全然遅くはない。

通信方式が違うだけで別の端末を発売するよりは、同じ端末を使い通信モジュールだけ差し替えた方が開発が楽である。 W-SIMを差し替えるだけで世界の主流のどの通信方式にも対応できる、となれば、端末製造会社も積極的にW-SIMを採用するだろう。 端末製造会社にW-SIMを採用させることが出来れば、独自の通信方式を採用するキャリアにとって有利となる。 全ての端末製造会社がW-SIMを採用すれば、わざわざ、自社向け端末を開発しなくても、世界中の端末が自社向け端末として使える。 そのためには、W-CDMA版とCDMA2000版の2種類は絶対に必要である。

これからの時代を考えれば、iPhone/iPadとAndroidにW-SIMを採用してもらうことが重要である。 Android端末は多数の会社が作っているし、次々と出て来るから、投入次期をそれほどシビアに考える必要はない。 しかし、iPhone/iPadについては、注意が必要である。 Appleが開発中と噂の次期iPhone/iPadに採用してもらえなければ、次のチャンスはかなり遅くなってしまう。 だからこそ、W-CDMA版とCDMA2000版は今直ぐにでも必要なのである。 そして、WiMAX版やLTE版も、既にサービスが開始された方式なので、急いで開発する必要がある。