トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

保証人

[社会問題]

保証人を頼まれたときどうすべきかを考えます。

形だけの保証人?

本当に形だけなら、保証人を取る必要はありません。と言うと、融資担当や上司が納得しないからと言い訳するでしょう。しかし、本当に、融資担当や上司が、形だけの保証人に納得するでしょうか。保証人なしで金を貸せないのは、本人が払えなくなったときに回収できなくなるからです。だから、回収対象とならない形だけの保証人では、何人居ても意味はありません。それで、融資担当や上司が納得するはずがないのです。融資担当や上司が納得するのは、形だけではない保証人だからです。それは、つまり、会社としての意向は、正式な保証人として扱うということです。

もちろん、一担当者の口頭での説明であっても、法的には有効です。しかし、いくら法的に有効だと主張しようとも、証拠が残ってなければ、誰も信用しません。そもそも、書面に判子を突くことは、その書面の記載内容に合意の意思を示すことであり、それと矛盾する別の合意があるとする主張は説得力を持ちません。本当に、口頭での説明内容に合意があるなら、本当に守ってもらえる約束なら、それに合わせて借用書の記載も訂正されるはずです。逆に言えば、訂正しないなら、それは、守る気のない約束だということです。そして、訂正を求めないということは、守る気がないことを了承したということでもあります。よって、本当に形だけの保証人であるなら、「債権者は保証人に一切の金品を請求できません」と借用書に一筆書かせなければなりません。

借主に返す当てがあるなら借金は必要ありません。そして、返す当てがないから保証人が必要になるわけです。なぜなら、その返す当てを直接資金として当てれば、借金など必要もないし、返済が滞る心配もないからです。「事業が成功すれば返せる」なんて寝言は子供でも言えます。それは、単なる仮定に過ぎない「成功」を、確定事項のようにすり替えて物を言っているに過ぎません。そもそも、確実に成功するなら、保証人など無くても喜んで融資する人が多数居るでしょう。つまり、保証人を必要とすることが、成功に保証がないことを示す動かぬ証拠です。定期的「安定」収入なども論外です。これも、仮定に過ぎない「安定」を、確定事項のようにすり替えて物を言っているに過ぎません。怪我、病気、就職先の倒産、その他の理由による収入の断絶がないと勝手に決めつけているだけです。将来に渡って確実に入ってくる収入があるなら、保証人は必要ありません。言い替えると、何らかの理由で定期的収入が途絶える可能性があるから、保証人が必要になるのです。このように、捕らぬ狸の皮算用は返す当てとは言えません。取らぬ狸でない物と言えば抵当権なしの現有財産[1]であり、それ以外は返す当てとしての要件を備えていません。そして、現有財産があるなら、その現有財産を使えば済むので、保証人を頼む必要がないことは火を見るよりも明らかです。

結局、形だけとは、返済が全て終わった後に結果論としてだけ言えることであり、借りる段階で言えるはずもないことなのです。

返す当て

貴方に返す当てがあるなら、借金の保証人とならずに、貴方が金を貸してあげれば済みます。そうすれば、余計な利子を払う必要もありません。

義理

保証人になることは借金を肩代わりすることと同じです。貴方にも、妻や子供、場合によっては、親等、養わなければいけない人が居るはずです。扶養家族を路頭に迷わせてでも、借金を肩代わりしなければならない義理がありますか。それほどまでの義理がないなら、キッパリと断るべきです。

借主の誠意

もし、借主が「形だけ」とか「迷惑をかけない」と言ったなら、その人は自分のことしか考えていません。保証人になる人をだましてでも、金を借りられさえすれば良いと考えています。平たく言えば、貴方をだまそうとしています。そのような人からの依頼はキッパリと断るべきでしょう。正直な人なら、「迷惑をかけるだろうが、君しか頼れる人は居ない」と言うはずですから。先にも述べたとおり、形だけの保証人など存在しないのです。

尚、勘違いしやすいことですが、この場合の詐欺の主犯は借主であり、金貸しは共犯に過ぎません。何故なら、保証人は金を借りる知人のために引き受けるものであって、金貸しのために保証人を引き受ける人はいないからです。言い替えると、保証人を頼んできたのは貴方の知人であって、金貸しではありません。

 返済できない可能性

借主が、「返済不能なんて仮定の話に過ぎないじゃないか」言い出したら、貴方は怒るべきでしょう。なぜなら、返済不能の可能性を過小評価することは単なる詭弁ではなく、自分のことしか考えていない身勝手な主張だからです。

借金は、借主の都合で行うものです。自己都合で背負うリスクなら、それがどんなに大きなリスクであっても仕方がありません。しかし、他人の都合によるリスクは、それがどれだけ小さいリスクであっても、誰も背負いたくなどありません。つまり、他人の都合によるリスクは、些細なことでも大問題なのです。ましてや、そのリスクを生じさせた張本人が「些細なことで大騒ぎするな」と言えた義理ではありません。借主にとって保証人が背負うリスクは他人事だから大騒ぎするほどのことではないと思うのです。それは、つまり、借主が保証人の立場など全く考慮していないということなのです。

そればかりか、借主は、借金そのものにはリスクを全く背負いません。「いや、破産のリスクがあるじゃないか」と反論もあるでしょう。しかし、それは、借りた金の使い道に対するリスクであって、借金そのものに対するリスクではありません。純粋に借金だけに関して言えば、返すべきお金を先に受け取っているのだから、借主は損をしません。利子についても、期間の利益を得ているのだから、それに対する対価として妥当であれば、全く損はしていません。借主は、得た利益以上の返済を求められることが無いばかりか、保証人に返済義務を押しつけてしまえば借金を踏み倒すこともできるわけです。よって、借主は、返済できなくなることがリスクにはなりません。いや、むしろ、確率的リスクはマイナス、つまり、リスクではなくベネフィットになるわけです。

一方で、保証人は、何の利益も受けないのに、返済義務を背負わされます。その確率がどれだけ小さくても、リスクは決してゼロにはなりません。もちろん、得になることは一切ないのです。

まとめると、返済不能の可能性を過小評価する借主は、自己都合で他人に背負わせるリスクを他人事ととらえ、それによって自己の利益を得ることだけに必死になっています。貴方は、そんな身勝手な人の保証人を引き受けたいと思いますか。

経営への口出し

借金が会社等の運営資金であるなら、保証人となる条件として、経営へ口出しできるようにすべきです。なぜなら、経営が傾いて困るのは、借金を肩代わりする貴方ですから。保証人となる以上、口を出す権利はあるはずです。

それで、借主が、財産を乗っ取られるかのようなことを言い出したら、文句を言うべきです。「乗っ取られる財産があるなら保証人を頼みに来るな」と。本当に乗っ取られるような資産があるなら保証人を頼む必要はありません。なぜなら、その資産を直接使うか、または、それを担保に入れて金を借りることが出来るのだから。保証人を頼んでおいて乗っ取りを心配する人は、存在しない財産がまだあると勘違いして、それを守るために借金を重ねているわけです。ありもしない幻想に囚われているようでは、正常な経営判断など出来るはずがありません。それでは、引き際を過ぎても、ズルズルと借金を続け、泥沼にはまっていくのが目に見えています。

経営に口出しできるなら、今後の経営方針を確認しましょう。そして、ただ、今までと同じことを繰り返すだけなら、保証人を断るべきです。経営が傾いた方法と同じことをやっていて立て直せるはずがありません。「景気さえ良くなれば」と言うのは幻想でしかありません。なぜなら、景気が回復する保証もなければ、景気が回復すれば業績が回復する保証もないのだから。景気が悪くても業績を伸ばしている企業もある中、経営悪化を景気のせいにするのは言い訳に過ぎません。時代を読む能力に欠けていて、必要な変革が出来ない経営能力の問題を、景気という外部の問題にすり替えているに過ぎません。もちろん、やり方を変えて良くなるという保証はありません。ただ、やり方を変えたかどうかだけではなく、新しいやり方が妥当かどうかも検討する必要があります。しかし、経営が改善する根拠がないにもないのに、続けていれば良くなると考えるのは、ただの幻想に過ぎません。

いずれにせよ、見通しが良くないなら、きっぱり、会社をたたむことも考えるべきです。何も考えずにズルズルと続けても傷口を広げるだけです。本人が決断できないなら、貴方が、会社をたたむよう進言してあげるべきでしょう。それが、貴方に出来る最高の恩返しのはずです。

金融機関

借主は、返すときのことなど二の次で、借り易さだけで金融機関を選んでしまいます。火の車であればあるほど、その傾向は強くなります。一方で、貴方は、返すときのことを冷静に考えて金融機関を選べるはずです。だから、どこから借りるかは、貴方が選ぶべきです。借主に任せてしまうのは危険です。

借主と保証人は同じ返済義務があります。その一方で、借りる金を受け取ることができるのは借主だけです。後で述べる根保証があれば、借主は限度内で自由に借り増しできるのに、保証人は一切金を借りることができません。このような不公平さを解消するには、貴方が借主となり、保証人を頼みにきた友人を連帯保証人にすべきでしょう。

根保証に注意

詳しくは、別途、検索して調べていただくとして、根保証はとっても怖い制度です。というのも、保証人に断らなくても、規定金額内ならいくらでも借り増しでき、規定期限内なら何度でも借り直せ、しかも、それらについて保証人が返済義務を負うことになるからです。だから、借りる金額より根保証の制限が大きい場合、保証人は、借りる金額だけ保証するつもりで引き受けたのに、実は、もっと大きな額の返済を背負わされることになります。また、一度完済したはずの借金だと安心していたら、借り主が期限内に再度借りて、知らないうちに返済させられるはめになったりします。

とにかく、根保証には要注意です。

最終更新時間:2006年02月11日 22時30分34秒

社会問題