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選挙制度

[政治]

前置き

説明にあたって、まずは、選挙区制の議論にあたって、必ず取り上げられる二つの問題について論じたい。

 選挙費用

小選挙区制であっても、選挙結果には財力が大きく物をいう。お金のない候補者は圧倒的に不利だ。つまり、選挙区制を変えたところで、財力で政治を買うことができるに近い状況には変わりはない。金額の規模が小さくなる方式を採用するのは政治家個人に対する救済でしかない。

政治は誰のためのものかを考えるべきだろう。選挙にお金がかかり過ぎないようにしようとする理由は、政治家個人が破産しないようにするための配慮ではない。財力で政治を買うことを阻止し、政治に民意を反映するためである。しかるに、我が国では、政治家個人には十分に配慮しながら、国民に対する配慮の全く欠けた選挙制度がまかりとおっている。

この問題をタテに国民に与えられるべき情報が制限されているのは誠に遺憾である。国民には、候補者の選択に必要な情報を得る権利がある。インターネットはまさに最適のメディアだろう。しかるに、選挙運動にインターネットを利用できない理由は、選挙費用の問題の履き違え以外には考えられない。守るべきは政治家個人ではなく国民ではないのだろうか。

 適正な人材

TVタレントなどの知名度だけ大きくて政治的才能がゼロの候補者に人気が集まったとしても、それは民意ではないのだろうか。例え、それが馬鹿な選択だとしても、その結果には国民が責任を負うのである。その覚悟をもって決断を下したのである。責任を負う人間がそれでいいと言うのだから、民意を無視した余計なお世話は焼くべきではないだろう。

本題

さて、比例代表の非拘束名簿方式が大選挙区制の復活だと非難を集めているが、私にはこの非難は理解しがたいものである。非拘束名簿方式の導入提案がなされた原因は、小選挙区比例代表並立制の問題点にある。以前に、この問題の本質から外れた小手先の改革が行われた。しかし、問題の根本的解決にはならず、改正を求める国民世論が高まったことが提案につながっている。

小選挙区制では、大政党の候補であれば当選の可能性は極めて高い。加えて、比例代表者名簿の上位にエントリーされていれば、小選挙区制で落選しても議席は確保できる。つまり、各政党の候補者選びの段階で、すなわち、国民不在の状況で民意に関係なく大勢が決まってしまう。最低得票数に満たない候補を比例区で救済しないようにしても、目立つところにだけ蓋をしたに過ぎず、問題の本質には変わりはない。この制度の最大の問題点は、国民の選ぶ権利が無視され、民意が正しく反映されないことである。これは、選挙制度としては致命的な欠陥である。もはや、一部を改正すればよいという問題ではあるまい。

選挙制度を議論するにあたって最も重要な論点は、その制度が民意を正しく反映するかどうかであろう。小選挙区制は民意を正しく反映しない制度である。最も正しく民意を反映する制度は大選挙区制であろう。大選挙区制にも問題点がないわけではない。しかし、先に挙げた問題のうち、前者については、インターネットの活用などで解消できるであろうし、後者については国民が自らの責任において考えるべき問題である。よって、この問題点は、大選挙区制を否定する理由にはなるまい。

政権交代が起き易い二大政党制は理想ではあるが、それを実現するかどうかは国民の選択の問題である。無理やり実現しようという発想自体が民意を無視した考えだ。二大政党制でなくとも民主的な政治は可能であろう。二大政党制でないことが日本の政治の問題の本質ではあるまい。仮に実現しようにも、共産党の存在がある限り、無理がある。これでも、小選挙区制でなければならない理由があるのだろうか。

最終更新時間:2005年08月30日 19時26分49秒

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