MMT安全性評価

中立かつ客観原則 

ここでは中立的な立場で事実関係を検証する。 賛成か反対かという結論は先に立てず、現実に起きた出来事、確実に起き得ること、一定程度の期待値を示す根拠のあることを中立かつ客観的に検証する。 可能性レベルの物事を論じるためにも、無視できない可能性があることを示す根拠を重視し、根拠のない当てずっぽうや思い込みや伝聞等の不確かな情報は、それが妄想に過ぎないことを示した上で門前払いとする。 賛成論でも間違いは間違いと指摘するし、それは反対論でも同じである。 ここでは賛成論にも反対論にも与しない。

TPP総論 

長期的視野では話は別だが、短期的視野で見ればTPPに参加するかしないかは大きな問題ではない。 それよりも、TPPとは全く無関係な混合診療完全解禁がもたらす患者の治療機会喪失の危険性やイレッサ訴訟の行く末によるドラッグラグ・未承認薬問題の悪化の方が、遥かに大きな問題であろう。 だから、TPPよりも重要な争点において国民に不利益をもたらす政策を党員に強要する日本維新の会は落選運動の対象とせざるを得ない。 混合診療の完全解禁を公約とする日本維新の会およびみんなの党には一切の主導権を握らせてはならない。 そのためには、これらの党に対する落選運動が必要なだけでなく、与党とこれらの党との連携も絶対に阻止しなければならない。 具体的運動の詳細は自民党への抗議方法を見てもらいたい。

京都大学法学部ゼミ生共同論文 

京都大学法学部2012年度前期演習(国際機構法)の論文ISDS 条項批判の検討―ISDS 条項は TPP 交渉参加を拒否する根拠となるか―(濵本正太郎教授監修)は非常に良くまとまっているので一読をお勧めする。

メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(METHYLCYCLOPENTADIENYL MANGANESE TRICARBONYL)の安全性評価 

国立医薬品衛生研究所がまとめたWHOの評価文書には次のように書かれている。

本CICADは、2003年9月8~11日にブルガリアのバルナで開催された最終検討委員会で国際評価として承認された。


マンガン(Mn)は、天然に存在する元素で、岩石、土壌、および水中に認められる。 環境中の至る所に存在し、地殻の約0.1%を構成する。岩盤は大気中に認められるマンガンの主要な発生源である。 波しぶき、森林火災、植生、および火山活動は、大気中マンガンのその他のおもな自然発生源である。 溶存マンガンの主要発生源は、嫌気性環境での粒子状マンガン酸化物の還元、好気性環境における粒子状マンガン酸化物の直接還元、Mn(II)含有鉱物の自然風化、および酸性環境である。 土壌中に集積したマンガンの大半は地殻を起源とし、その他の供給源には大気からの直接の沈降、植物などの表層からの洗い落とし、植物組織からの浸出、葉・死滅した動植物・動物の排泄物などの流出や排出がある。 環境中の主要な人為的発生源には、都市下水の排出、下水汚泥、採鉱・選鉱、合金・スチール・鉄の製造による排出、化石燃料の燃焼、量ははるかに少ないが燃料添加剤の燃焼による排出などがある。


マンガン化合物は、マンガン鉱石や金属マンガンから生産される。 金属マンガン(マンガン鉄)は、主として鋼鉄生産への使用とともに、硬度・剛性・強度を高めるために鋳鉄や超合金に使用される(NAS,1973;US EPA,1984;HSDB,1998)。 大部分(ほぼ90%)のマンガンは、溶鉱炉でマンガン鉄に加工される(Schiele,1991)。 マンガン化合物にはさまざまな用途がある。 二酸化マンガンは一般的に、乾電池、マッチ、花火、陶器やガラスの接着剤、アメジストガラスに使用され、他のマンガン化合物生産用の出発原料としても用いられる(NAS,1973;Venugopal&Luckey,1978;US EPA,1984)。 塩化マンガンは、他のマンガン化合物の前駆物質、有機化合物の塩素化触媒、あるいは必須微量ミネラル補給のための飼料添加物として用いられ、乾電池にも使用される(US EPA,1984;HSDB,1998)。 硫酸マンガン(MnSO4)は、肥料や家畜の栄養補助剤として、あるいは釉薬、二ス、セラミック、殺菌剤にも用いられる(Windholz,1983;US EPA,1984;HSDB,1998)。 マンネブManeb(manganese ethylene-bis-dithiocarbamate エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン)は、広域スペクトラムの接触性殺菌剤として、さらにはコムギのような小粒穀物の種子処理にも用いられる。 したがってマンネブは、土壌および植物中マンガンの潜在源である(Ferraz et al.,1988;Ruijten et al.,1994)。 過マンガン酸カリウムは、酸化剤・消毒剤・殺藻剤として、さらに金属洗浄・なめし・漂白用に、あるいは水処理工場およびごみ処理場の洗浄剤、生花や果物の保存剤として使用される(HSDB,1998)。 無鉛ガソリンのアンチノック剤である有機マンガン化合物MMT(methylcyclopentadienyl manganese tricarbonyl メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル)の生産は、まずメチルシクロペンタジエンに溶融ナトリウム金属を加え、メチルシクロペンタジエニルナトリウムを生成させる。 次に無水二塩化マンガンを加えてメチルシクロペンタジエニルマンガンを生成、続いてこれを一酸化炭素と反応させてMMTを得る(NAS,1973;US EPA,1984;Sax & Lewis,1987;HSDB,1998;Kirk & Othmer,2001)。 MMTは、アルゼンチン、オーストラリア、ブルガリア、米国、フランス、ロシア連邦で使用が認められ、ニュージーランドでは条件付で認められている(Zayed et al.,1999;Zayed,2001)。 最近、大手生産業者であるEthyl Corp.は、MMTが25カ国で販売されていることを認めた(Kaiser,2003)。


MMTの燃焼によって、マンガンのリン酸塩や硫酸塩、さらには微量成分である四酸化マンガンなどのマンガン酸化物が排出される(NICNAS,2003)。 大気中に排出される粒子の大きさは、0.1~0.45μmとさまざまである(Waldron,1980)。 MMTの燃焼生成物には、マンガンのリン酸塩や硫酸塩も含まれる(Zayed et al.,1999;Zayed,2001)。 都市部の大気汚染物質としての無機マンガンのおもな発生源には、とくに交通量の多い地域でのMMTの燃焼が挙げられる(Sierra et al.,1998)。 MMTは米国で長年ガソリン添加剤として用いられ、その結果マンガンが排出された。 Davisら(1988)によれば、自動車により排出されるマンガンが大気中マンガンに占める割合は、例えばマンガンのガソリンへの添加量がはるかに低い中部および北カリフォルニアと比較すると、南カリフォルニアなどの地域では著しく大きい(大気中総マンガン濃度のおよそ40%)。 排出源配分の統計モデルによれば、南カリフォルニアのマンガン中、自動車による放出量は約13ng/m3と計算され、中部および北カリフォルニアでの計算値のおよそ4倍であった。


ある調査報告によれば、カナダ・モントリオール市の1990年の大気試料中マンガン濃度と、交通量に相関関係がみられた(Loranger&Zayed,1994)。 しかし、同じ研究者らによるその後の調査では、ガソリン中のMMTからのマンガン排出率が2倍に上昇したと推定されたにもかかわらず、1991年および1992年にはモントリオールの大気中マンガン濃度は低下した(Loranger&Zayed,1994)。 別の調査では、モントリオールにおける高いマンガン濃度は、1991年に操業停止したケイ素・鉄マンガン工場が一因であることが示唆された(Egyed&Wood,1996)。

MMTからの放出量が環境中マンガン総量に占める割合を把握することは、明らかに複雑な問題である。 大気中マンガン量のどの程度がMMTに起因するかは、他の産業活動および道路粉塵や風で運ばれた粉塵による大幅な濃度変化のため不明瞭になる可能性があり、確証は困難である(Bankovitch et al.,2003)。 しかし、モントリオールなどの都市で測定した総懸濁粒子状物質中、マンガンの占める割合は小さいかもしれないが、総懸濁粒子状物質濃度が低下しているにもかかわらず、マンガン濃度が一定であることを示していると考えられ、大気中のマンガン量におけるMMTからの放出量は軽視できない。 不利な気象条件や多い交通量などの要因が、MMTに起因するマンガン濃度(PM2.5)の上昇をもたらす可能性がある(Wallace&Slonecker,1997;Davis et al.,1998)。


燃料添加剤としてMMTを25年間使用した後、カナダの幹線道路近傍の土壌上層部でマンガンが高濃度に認められた。 しかし、こういった使用によっては、土壌中の総マンガンも交換性マンガンも顕著に増加してはいない。 幹線道路から離れるにつれマンガン濃度の低下傾向がみられたが、これは統計的に有意ではなかった(Bhuie et al.,2000;Bhuie&Roy,2001)。


地上投棄されるマンガン含有廃棄物が、土壌へ放出されるマンガンのおもな発生源である。 NriaguとPacyna(1988)の推定によれば、1983年の世界における土壌への人為的マンガン総放出量は706000~2633000トンで、主たる発生源は石炭飛灰であった。 1991年に報告された米国の陸部への産業放出量は0~1000トンであった。 環境へのマンガン総放出量(3753トン)の50%以上は陸部へ放出された(TRI91,1993)。 1996年の土壌への推定放出量は21600トンで、環境への総放出量の80%に相当する(TRI96,1998)。


8. 影響評価

マンガンは環境中の至るところに存在し、地殻の約0.1%を構成する。地殻岩石が大気中に認められるマンガンの主たる発生源である。 その他の大気中マンガンのおもな自然発生源は、波しぶき、森林火災、植生、火山活動であり、人為的放出には、合金・鋼鉄・鉄生産による排出、化石燃料の燃焼、程度は低いが燃料添加剤の燃焼による排出がある。 大気中マンガン濃度は、傾向として遠隔地でもっとも低く(平均約0.5~14ng/m3)、農村部でより高く(平均40ng/m3)、都市部ではさらに高い(約65~166ng/m3)。 発生源周辺地域でもっとも高い大気中濃度を示す傾向がある。 生物では、大気を介したマンガンの摂取や影響に関する情報が比較的少ない。 しかし、大気は、水生および陸生コンパートメントへのマンガンの主要発生源となる可能性がある。

水生環境におけるマンガンの環境化学は、pHおよび酸化還元状態に大きく支配される。 pHと酸化還元電位が低くなるとMn(II)が優勢となり、非腐植栄養水中でpHが5.5を超えるとコロイド状マンガンのオキシ水酸化物の割合が増す。 基本的に人為的発生源とのかかわりのない天然水中の溶存マンガン濃度は、10μg/L~>10mg/Lの範囲である。 しかしながら、天然地表水中では濃度が1mg/Lを超えることはほとんどなく、通常は0.2mg/L未満である。 酸性鉱山排水の流入水域では、最大4mg/Lの溶存マンガン濃度が報告されている。 底質でのマンガン循環を左右するおもな化学的要因は、底質直上水中の酸素量、底質への酸素浸透量、底生生物の炭素供給量などである。 低酸素状態下では、底質直上のマンガンに富んだ水中で溶存マンガン濃度が上昇し、生物に取り込まれる可能性がある。 水中のマンガンは、低栄養段階の生物相に著しく生物濃縮される可能性がある。水生無脊椎動物や魚類によるマンガン摂取量は、気温とともに著しく増加し、pH上昇に伴い減少する。また、塩分の低下とともに摂取量が増加することも分かっている。

ほとんどの毒性試験は、可溶性Mn(II)塩を用いて行われている。コロイド状、粒子状、および錯体マンガンの水生毒性についてはほとんど分かっていないが、一般に、結合してこれらの形態になる金属の毒性は、水和イオン形態のものより低いと考えられている。 急性および慢性毒性試験についてFigure1にまとめる。 毒性試験はほぼ例外なく中性に近いpHで行われている。藻類や原生動物では毒性値の範囲は広い。 もっとも感受性の高い種は海洋珪藻および淡水藻類で、前者では生長に基づく5日間EC50がマンガン1.5mg/L、後者ではクロロフィル阻害に基づく12日間EC50が1.9mg/Lであった。 水生無脊椎動物に関する試験で、48時間LC50/EC50は0.8~1389mg/Lと判明した。 海水中>0.01mg/Lのマンガンで、カニ胚の生存率および孵化率が著しく低下したが、濃度反応関係が認められなかったためこれらのデータをリスク評価に使用しなかった。 魚類では、96時間LC50は2.4~3350mg/Lの範囲である。 慢性毒性試験では、硫酸マンガン1mg/Lでマスの卵に有意な胚死亡率が認められた。 両生類の胚・幼生単回試験の結果、7日間LC50が1.4mg/Lと確認された。水生無脊椎動物および魚類のマンガン毒性は、水の硬度によって著しく影響を受ける。 Figure2は、水の硬度に対する毒性試験の結果をプロットしたものである。 もっとも感受性の高い水生生物は、炭酸カルシウム50mg/L未満の硬度でマンガンの毒性作用をもっとも受けやすいことが、この図からも明確である。

野外では、金属汚染した河口のカニに多発する殻の病変がマンガン毒性に起因するとされ、スウェーデンのカテガット南東部では、低酸素状態後にロブスターの鰓への二酸化マンガン沈着によって鰓が褐色や黒色へと変色し、甲皮に腐食部位が生じた。 孵化場でのニジマスの死亡率上昇は、マンガン濃度(<0.5~1mg/L)と正相関を示した。酸性雨は酸性化現象(acidepisode)と金属濃度の上昇をもたらしている。 第1齢のブラウントラウトでのケージ実験では、pH(4.5~5.4)および不安定な無機マンガン濃度(0.1~0.4mg/L)によって、観察された死亡のすべてを説明できることがわかった。

地表の淡水データからは、春の雪解けによる出水など、流量の多い期間にマンガン濃度は高くなり、底質の定着域の役割を果たす湖の下流では低くなる傾向があることが示唆される。 軟水の小河川、河川、湖などはもっとも感受性の高い淡水環境と考えられ、実験室試験や野外観察から、溶存濃度が1mg/L程度のマンガンが、水生生物に毒性を引き起こす可能性があることが明らかになった。 その他の要因である酸性雨、酸性鉱山排水、土地利用、都市下水の排出などは、溶存マンガンレベルを上昇させ、それによってとくに軟水域の感受性の高い種に対するリスクが増大する。野外の生物へのマンガンの潜在的毒性の評価では、試験と特定野外地域の両方において、スペシエーションの状態を考慮する必要がある。 マンガンについて世界規模で単一の指針値を設定することは、あまり価値がないと考えられる。 海洋環境では、マンガンに富んだ底質からの低酸素期における溶存マンガン放出時に、マンガンが生物によって取り込まれ、蓄積される可能性がある。 カニによる実験室試験では、0.01mg/Lという低濃度のマンガンが有害作用を引き起こし得ることが示唆されるが、これにはマンガン蓄積の関与が考えられる。 懸濁底質、塩分、酸素濃度などによる軽減効果の可能性を考慮しても、野外での有害作用は認められている。

以上でまとめた範囲内で、海洋および淡水環境におけるマンガン毒性に関し、確率論的手法を用いて示唆的な指針値を導き出すことができる。 これは、データセットが充分多量にあるからである。 用いた方法論をAppendix4に詳述する。

海洋環境では、指針値を導き出すために9種類の毒性値を選択した。 毒性値の選択基準および基準値をAppendix4に記す。これらの急性値をまず慢性推定値に変換し、つぎにAppendix4に記した係数を用いてNOECの推定値に変換した(Table A-1参照)。 50%の信頼度で95%の海洋種を保護するための指針値は、マンガン0.3mg/Lと算定された(Figure A-1、Appendix4参照)。

淡水環境に関しては、21のデータポイントを用いて同様に導出した。 さらなる詳細に関しては、Appendix4とTableA-2を参照のこと。 軟水中の淡水種に関する指針値は、0.2mg/Lである(Appendix4のFigure A-2参照)。

土壌中総マンガンの自然(“バックグラウンド”)濃度は<1~4000mg/kg、平均値はほぼ300~600mg/kgである。 土壌中では、マンガンの溶解度は2つの主要変数、すなわちpHと酸化還元電位によって決まる。 陸生植物中のマンガン濃度は、20~500mg/kgの範囲にある傾向がみられる。 ブルーベリーをはじめとするツツジ科の植物は、マンガンを蓄積すると考えられている。 2000~4000mg/kgを上回る葉中マンガン濃度が数多く報告されている。このように高い葉中濃度が、目で見える毒性症状や低生長を引き起こすことはない。 マンガンは陸生植物にとって必須栄養素であり、必要量は大体10~50mg/kg組織である。 重要栄養レベルは種間および品種間で大幅に異なる。 石灰質土壌でもとくに排水不良で有機物質に富む土壌は、マンガン欠乏植物を産出するタイプの土壌であり、このような地域では、作物の生育を高めるためマンガン肥料がよく使用される。

陸生植物へのマンガン毒性の症状は種によって大きく異なり、葉に周縁部のクロロシス、壊死性病斑、歪みなどが発生する。 作物組織の毒性マンガン濃度には著しいばらつきがあり、重要値は100~5000mg/kgである。 マンガン毒性は、酸性、排水不良、あるいは蒸気消毒した鉱質土壌で、作物の生育を制限するおもな要因である。 下水汚泥の廃棄処分は、地域の土壌の性質次第で、植物へのさらなるマンガン発生源となりうる。 マンガンへの耐性は、植物の種間および種内で大幅に異なる。 マンガン耐性に影響を与える要因は、遺伝子型(種間・種内差)、ケイ素濃度、気温、光強度、生理学的葉齢、微生物活性、根圏の特性などである。

人為的マンガン放出による環境リスク評価に際しては、さまざまな物理的・化学的パラメータによって制御される地域の自然(“バックグラウンド”)レベルを考慮しなくてはならない。 さらに、酸性化物質の放出、土地利用、浚渫などの人為的な活動も、マンガンのスペシエーション、さらにはバイオアベイラビリティを決定する地域条件に影響を与える。 地域社会や生態系が異なると、マンガンへの“通常の”暴露状態によって反応も異なる。 したがって、陸生環境に対して単一の指針値を算定することは適切でない。

9. 国際機関によるこれまでの評価

環境へのマンガンおよびマンガン化合物の影響に関し、これまで国際機関による評価はなかったようである。

国際化学物質簡潔評価文書 - 国立医薬品衛生研究所P.4,5,12〜14,28,37〜41

マンガン化合物は、乾電池、マッチ、花火、陶器やガラスの接着剤、アメジストガラス、有機化合物の塩素化触媒、飼料添加物、肥料や家畜の栄養補助剤、釉薬、ニス、セラミック、殺菌剤、酸化剤、消毒剤、殺藻剤、洗浄剤、生花や果物の保存剤等の様々な用途に使われており、環境中マンガン濃度に与える物質はMMTだけではない。 そのため、「MMTからの放出量が環境中マンガン総量に占める割合を把握することは、明らかに複雑な問題」とされ、2003年に承認された国際評価においてもMMTが環境中マンガン濃度に与える影響度合いは明確でない。 指摘されている事実は、MMTが環境中マンガン濃度を上昇させる可能性があって「大気中のマンガン量におけるMMTからの放出量は軽視できない」ことだけである。 「大気試料中マンガン濃度と、交通量に相関関係がみられた」とする研究者の報告でも「ガソリン中のMMTからのマンガン排出率が2倍に上昇したと推定された」にも関わらず「大気中マンガン濃度は低下」した事例があるように、必ずしも、研究結果は一致していない。 交通量とマンガン濃度の相関を認める研究においても、「土壌上層部」での増加であって「土壌中」での顕著な増加は見られていない。 幹線道路の距離とマンガン濃度の関係も統計的に有意ではない。 要約部では、複数の人為的発生源が挙げられているが「燃料添加剤の燃焼による排出」については「量ははるかに少ない」とされている。

マンガンの水中濃度については、海洋で高濃度の所で1500μg/L(1.5mg/L)、鉱山排水の流入する河川で4400μg/L(4.4mg/L)とされているが、MMTの影響については述べられていない。 水中濃度上昇の主な原因は鉱山排水が挙げられている。 「大気から捕捉した微細なミストや乾燥粒子中のマンガンの洗い流し」によって「高地の植林が地表水のマンガン濃度を上昇させている」ことも指摘されているが、交通量の多い地域での影響が大きいとされるMMTの「高地の植林」への影響は小さいと推定される。 MMTについては、大気と土壌表面への影響のみで土壌中への顕著な影響はないとしていることからも、水中濃度への影響が大きいとは読み取れない。

海洋種を保護するための指針値は0.3mg/L、軟水中の淡水種に関する指針値は0.2 mg/Lとされているが、いずれも「人為的発生源とのかかわりのない天然水中の溶存マンガン濃度」(10μg/L~>10mg/L)の範囲内であり、通常値とされる0.2mg/L未満でもギリギリの値である。 つまり、この評価文書では、人為的発生源ではない自然発生のマンガンについても注意が必要だとしているのである。 また、水中マンガンの人為的発生源についても、MMTの影響は記載されておらず、かつ、影響が小さいと推定できる。 よって、水中マンガンについては、MMTの危険性は全く指摘されていないと言える。

陸生生物への影響は、種によってバラツキがあるが、マンガンによる奇形や死亡に至るような影響は報告されていない。 シマミミズの「精子細胞の著しい損傷がみられた」事例であるが、これは土壌中総マンガンの自然濃度の平均値(300~600mg/kg)よりも少ない4.3μmol/g≒236mg/kgでの結果である。 以上により、「陸生環境に対して単一の指針値を算定することは適切でない」とされている。 また、陸生生物への影響については、「土壌中」の濃度を想定した実験結果であるから、「土壌上層部」のマンガン濃度を増加させても「土壌中」のマンガン濃度を顕著に増加させないMMTの影響は小さいと推定される。 「燃料添加剤の燃焼による排出」については「量ははるかに少ない」、「地上投棄されるマンガン含有廃棄物が、土壌へ放出されるマンガンのおもな発生源」とも記載されている。 よって、MMT規制の緊急性が認められるのであれば、当然、MMTよりも影響の大きい人為的発生源も規制しなければおかしい。 MMTよりも影響の大きい人為的発生源を野放しにしたたままでは、MMT規制の緊急性にも説得力がない。

「大量暴露で危険性があるなら、影響が少量でも規制すべき」と言う人もいるだろうが、現実離れした数量を前提とすればどんな物質でも危険となる。 例えば、ビタミンですら大量摂取すれば健康被害が出る。 マンガンが陸生生物にとって必須栄養素であるとされている点は、ビタミン大量摂取の健康被害と似ている。

よって、これら各種報告では、自然現象も含めたマンガン汚染が生物に致命的な影響を与える可能性が示唆されたとは言えるが、MMTが生物に致命的な影響を与える可能性が示唆されたとは言えない。 そして、最も重要な点として2003年段階で「環境へのマンガンおよびマンガン化合物の影響に関しこれまで国際機関による評価はなかった」と認められた事実がある。 だからこそ、1999年段階でMMTは多くの国で使用が認められ、販売されていたのである。

尚、P.97の国際化学物質安全性カードにはMMT(メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル)の危険性が書いてあるが、これは、MMT原液に直接暴露する場合の危険性であって、ガソリン添加の危険性や環境への影響は書かれていない。 そのことは、工場内でMMTを取り扱う人が直接あるいは揮発ガスに触れたり、肺に吸い込むこと等を防ぐ対策、火災防止対策、工場からMMTが流出しない対策等の必要性を示してはいるが、燃料への添加を禁止する必要性までは示していない。 「この物質を環境中に放出してはならない」とも書いてあるが、これはMMTを直接放出することを禁じたものである。 P.13に書いてあるように、MMT添加ガソリンから排出される物質は「マンガンのリン酸塩や硫酸塩、さらには微量成分である四酸化マンガンなどのマンガン酸化物」であってMMTそのものではない。 ここには、MMTをガソリンに添加すべきではないとも、MMT添加ガソリンの排気ガスを環境中に放出すべきでないとも書かれていない。 よって、これは環境中に直接放出することを禁じる根拠とはなっても、ガソリン添加を禁止する根拠とはなり得ない。

ニコニコ大百科への反論 

ID:+80f5FjoDf 

以前、常識的過ぎて説明を省略したら、アレな人から揚げ足を取られた件について、ソースがゴッソリ消されているようなので以降の記載は削除する。


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