「TPPが医療を壊す」というデマ

中立かつ客観原則 

ここでは中立的な立場で事実関係を検証する。 賛成か反対かという結論は先に立てず、現実に起きた出来事、確実に起き得ること、一定程度の期待値を示す根拠のあることを中立かつ客観的に検証する。 可能性レベルの物事を論じるためにも、無視できない可能性があることを示す根拠を重視し、根拠のない当てずっぽうや思い込みや伝聞等の不確かな情報は、それが妄想に過ぎないことを示した上で門前払いとする。 賛成論でも間違いは間違いと指摘するし、それは反対論でも同じである。 ここでは賛成論にも反対論にも与しない。

全国保険医団体連合会 

医療関係者や医療関係団体には、デマに乗っかってTPP反対論を唱える人たちが多い。 しかし、これらの人たち自身には、反対論を唱えなければならない隠れた本音があるとは考えにくい。 おそらく、日頃からの左翼系政党とのお付き合いが、反対運動のきっかけではないのだろうか。 それですっかりデマに騙されて惑わされているのだろう。 まあ、左翼系の人たちは格差が貧困を産むと大真面目に主張しているので、どうしようもない。 現実的には、共産主義の失敗事例を見ればわかる通り、平等化が貧困を産んでいるのだけれど、左翼系の人たちにはどんな証拠を突きつけても通じない。 彼らに惑わされている医療関係者や医療関係団体には、早く目を覚ましてもらいたい。 背後から撃たれないうちに。

ISD条項関連については、国民皆保険制度はISD条項で潰されるか?も参照のこと。

混合診療 

というのも、米国は日本へ突きつけた「年次改革要望書」などの中で、長年にわたり「混合診療の全面解禁」を求めてきたからです。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.2

「『年次改革要望書』などの中で、長年にわたり『混合診療の全面解禁』を求めてきた」と言いながら、その「年次改革要望書」の中身には一切触れていません。 そして、何故か、この直後に米国国内法に基づく議会の報告書である「外国貿易障壁報告書(2008年度版)」を引用しています。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書2008年度版」(通称「年次改革要望書」の対日要求書。「年次改革要望書」には対米要求書もある)には、「混合診療の全面解禁」を求める文言は一言もありません。2003年度版にも2004年度版にも書かれていません。 というか、米国は、公的医療制度を前提とした薬価の算定ルールに口出しています。 「年次改革要望書」に一言も書かかれていないのに「『年次改革要望書』などの中で、長年にわたり『混合診療の全面解禁』を求めてきた」とは、一体、どういうことでしょうか。

USTRの「外国貿易障壁報告書(2008年度版)」には 「日本の保険市場では、民間保険会社の他に、…公的な医療保険制度が存在し、大きなシェアを占めている。 …米国政府は、日本政府に対し、同分野の市場を開放的に公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求している」 とあり、米国が公的医療保険制度を解体し営利目的の市場に開放しようと狙っていることは疑いありません。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.2

全国保険医団体連合会の引用の仕方では、引用されていない部分に何が書かれているか分からないので、「公的な医療保険制度が存在し、大きなシェアを占めている」が状況説明の前提事項であるのか、それとも、「開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求」する対象の「同分野の市場」に含むのかが読み取れません。 省略していない訳文と比較すると不自然さが良くわかります。

日本の保険市場は、米国に次ぐ世界第2位の規模である。 また、日本の保険市場では、民間保険会社のほかに、 郵便局の保険事業部門、公的な健康保険制度、共済のネットワークが存在し、大きなシェアを占めている。

米国政府は、日本政府に対し、同分野の市場を開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求している。

日医総研ワーキングペーパー「米国の政権交代後の対日通商外交政策とわが国の医療に及ぼす影響」P.14

「民間保険会社」「郵便局の保険事業部門」「公的な健康保険制度」「共済」が「大きなシェアを占めている」ことを前提としていることから、「開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求」する対象の「同分野の市場」は、この4つのいずれか単一か、複数か、または、全てであろうことが読み取れます。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書2008年度版」では、米国は、「郵便局の保険事業部門」や「共済」に対しては「市場を開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求」しています。 しかし、「公的な健康保険制度」に対しては「市場を開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求」していません。

以上のことから、「公的な健康保険制度」は、日本の保険市場の状況を説明するための前提事項であって、「市場を開放的で、公平で、競争的なものにする規制枠組みを要求」する対象には含まれていないことが明らかに読み取れます。 また、次もよく読んでください。

2007年と2008年には、日本の保険市場で大きなプレゼンスを示すプレイヤーとして、郵便保険、共済と並んで公的な健康保険制度が挙げられていた。 が、2009年以降、公的な健康保険制度は同箇所に記載されなくなっている。


日米経済対話の大枠は政権交代以前から変わっていない。 また、直近4カ年の『外国貿易障壁報告書』において、医療に関連する米国政府の対日要求は、年を経るごとに、より広範囲に、より詳細になっている。

日医総研ワーキングペーパー「米国の政権交代後の対日通商外交政策とわが国の医療に及ぼす影響」P.14,19

「2007~2010年の『外国貿易障壁報告書』において、医療に関連する米国政府の対日要求は、年を経るごとに、より広範に、より詳細になっている」にも関わらず、「2009年以降、公的な健康保険制度は同箇所に記載されなくなっている」ことも、米国が「医療に関連する米国政府の対日要求」に「公的な健康保険制度」を含める気がなかったことを裏付けている証拠でしょう。

また、「TPPを慎重に考える会」の調査によれば、米韓FTAでも米国は当初、韓国の医療保険制度には手を付けないと明言していたにもかかわらず、 最終的には韓国内の6カ所に「特区」を設定し、混合診療を解禁したことが明らかになっています。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.2

全く意味不明です。 「韓国内の6カ所」の「特区」は米国が設定したのですか? 普通にネット検索すれば、というか、しなくても、自国の医療政策の都合で韓国政府が設定したことくらいわかるはずです。

営利病院 

実際に、USTRによる「外国貿易障壁報告書(2008年度版)」では、 「日本の規制が、日本の医療サービス市場へ外国資本の参入を妨げている」、「米国政府は、日本政府に対し、 外資への同分野の市場開放のファーストステップとして、営利法人が営利病院を運営し、すべての医療サービスを提供できるようにする機会(経済特区を含む)を開くことを要求している」 とされています。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.3

原文には「外資への同分野の市場開放のファーストステップとして」がないのはご愛嬌として…

Medical Services: Restrictive regulation limits foreign access to the medical services market. In our bilateral Regulatory Reform Initiative, the U.S. Government has recommended that Japan allow commercial entities to provide full service, for-profit hospitals in Japan's special economic zones as a first step to opening this sector to foreign capital affiliated providers.

JAPAN - 2008 National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers - U.S. Trade Representative

それで、営利企業が病院経営に進出してきて何が問題なのでしょうか。 日本の皆保険制度下で「営利法人が営利病院を運営」しても、全く旨みはありませんよ。

薬価 

実際に、TPPのモデルとされる米韓FTAでは「両国の規制当局が安全かつ有効と承認した医薬品医薬品、医療機器に関する償還額の決定は、市場競争価格に基づくものであること」 「韓国は、価格決定、医薬品及び医療機器の償還について申請者の要請に基づきレビューする機関を設置すること。 この機関は両国の中央政府の保健医療当局から独立した機関とすること」 が定められています。 これは、政府が薬価を規制させないことを意味する条項です。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.4

「市場競争価格」がその言葉通りの意味を示すなら、「申請者の要請に基づきレビューする機関」による「価格決定」というプロセス自体があり得ません。 市場競争価格は市場価格調査等によって判明するものであり、「申請者の要請」と市場競争価格は関係がありません。 というより、その言葉通りの意味の「市場競争価格」は領収証等の取引を証明する書類で確認できるはずであり、「機関」による「価格決定」というプロセスがなくとも、「医薬品医薬品、医療機器に関する償還額」を確定できるはずです。 というか、皆保険制度下なら事前に「価格決定」された価格以外での取引は殆ど無いのだから、「市場競争価格」を調査することさえ困難でしょう。

以上を踏まえると、ここで言う「市場競争価格」とは、「両国の中央政府の保健医療当局から独立した機関」によって推定される市場相当価格でしょう。 ようするに、韓国政府の都合で極端に安くしたり、米国政府や製薬会社の都合で極端に高くしたりしないよう、第三者機関が適正価格を設定する…ということです。

「国境なき医師団」はTPPにこれらの条項が盛り込まれれば、発展途上国で安価な医薬品の入手が困難になると訴えていますが、 発展途上国だけに限らず日本でも安価な医薬品を使用することができなくなってしまいます。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.4

「発展途上国で安価な医薬品の入手が困難になる」かどうかは、TRIPs協定における、31条(b)の強制実施権、31条(f)の強制実施権の国内供給への限定、31条 (f)の義務の一時免除の問題であり、特許期間の延長等の問題ではありません。

途上国の問題を、先進国で国民皆保険制度の完備されたそのまま日本に当てはめようとするのも無理があります。 日本の皆保険制度には高額療養費制度があるので、薬価が高くなっても「安価な医薬品を使用することができなくなってしまいます」ということはあり得ません。 そもそも、患者のためを考えるなら、ドラッグラグ・未承認薬問題の解決手段として、医薬品の開発費がキチンと回収される仕組みを作るべきです。

TPP参加で、日本の公的薬価が国際的に最高水準のアメリカ並みに高騰し、公的医療費に占める薬剤費が膨張する。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

市場原理を理解していれば当たり前のことですが、アメリカの薬価が高いのは、公的機関が薬価を決めていないだけでなく、高価な薬を買える人が限られているからです。 よって、国民皆保険制度が整備されている「日本の公的薬価」は、「TPP参加」で一定程度上がることはあっても、「国際的に最高水準のアメリカ並みに高騰」はあり得ません。

公的医療保険財政の悪化を招き、診療報酬本体=技術料の引き下げに向かうおそれがある。

上がる薬価への対応として考えられているのが、医薬品の保険給付に上限を設け、超過分は患者自己負担とする「薬剤の差額負担」の導入であり、警戒が必要である。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

「公的医療保険財政の悪化」というか、「公的医療保険財政」への政府負担が危機的な状況にあるかのようなデマを真に受けるべきではありません。 日本の医療費も薬剤費も国際的にはかなり低い水準に抑えられています。 また、皆保険の一部である市町村国保に限っては赤字運営となっていることは事実ですが、政府の医療費支出を先進5カ国並みに引き上げることも含めた改革により解決可能な問題です。

であるので、「医薬品の保険給付に上限を設け、超過分は患者自己負担とする『薬剤の差額負担』の導入」を阻止したいのであれば、政府の医療財政支出を抑えたい連中のデマをしっかりと看破し、新制度の必要性の偽装を暴くべきです。 デマに対抗するために、そのデマに乗っかった「TPPが医療を壊す」という新たなデマを流布するのは、本末転倒も甚だしいです。 相手のデマに乗っかった新たなデマで対抗するのではなく、相手のデマの正体をしっかりと暴いていかなければなりません。

また、患者のためを考えるなら、ドラッグラグ・未承認薬問題の解決手段として、医薬品の開発費がキチンと回収される仕組みを作るべきです。

「製薬会社の資金により審査機関を運営する」? 

さらに米国は高薬価を維持するだけでなく、新薬の審査を早めることを要求しています。 確かに海外と比較して長い曰本の新葉の審査期間は改善すべきです。

しかし、米国のように製品化を急ぐために、製薬会社の資金により審査機関を運営することは、安全性の面から大きな問題があります。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.5

米国が要求していることは「新薬の審査を早めること」なのに、どうして、「製薬会社の資金により審査機関を運営すること」になるのかが意味不明です。 それが「新薬の審査を早める」手段の一つであるなら、その手段を取らなければ良いだけであって、「新薬の審査を早める」ことが否定されるわけではありません。 「曰本の新葉の審査期間は改善すべき」と言っておきながらこれでは支離滅裂です。

クロスライセンス 

日本でも、国際的に見て低い報酬や過労死水準を超えているといわれる劣悪な労働環境を考えれば、医師の海外流出が起こることは十分に考えられます。

一方、日本より賃金水準の低いアジア各国からは医師が流入する可能性がありますが、各国の医学教育の内容には違いがあり、 またコミュニケーション能力を重視される日本の医療現場の問題もあり、安い労働力の導入で日本の医療水準と安全性が維持できるかどうか不透明です

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.5

医療従事者でなくとも、物価等の関係から、海外で働いた方が得になる機会は多々あります。 しかし、実際には、地理的条件や言語の問題から、積極的に海外に行く人は少数です。 独身者ならともかく、家族がいる人は簡単には海外には行けませんよ。 以上を踏まえれば、「医師の海外流出」は少数例としては起こり得ても、大規模に発生することはあり得ません。

また、TPPでクロスライセンスを結べるなら、「アジア各国」の医師は、給料や労働環境が良いアメリカに行きたがりますよね。 「国際的に見て低い報酬や過労死水準を超えている」という「劣悪な労働環境」の日本をわざわざ選びますか? 「コミュニケーション能力を重視される日本の医療現場」なら、どうして、「日本の医療水準と安全性が維持できるかどうか不透明」な「安い」だけの「労働力」が採用されると考えるのでしょうか。

ISD条項等 

例えば、日本政府や地方自治体が患者の負担を軽減した場合、米国の民間保険会社が、 民間医療保険の販売が縮小することを理由に、日本政府に対し、損害賠償をおこすことができるようになります。

月刊保団連臨時増刊号「TPPが医療を壊す」P.6

この場合、適用条項は公正衡平待遇義務になりますが、結論だけ言うと、「日本政府や地方自治体」の行為に正当性がある場合は、損害賠償を認められる余地はありません。 詳細は国民皆保険制度はISD条項で潰されるか?に書いてあるので、そちらを見てください。

その他、ISD条項、ラチェット条項、非違反申し立て、情報秘匿等については、TPPの毒素条項?TPPの手続を見てください。

「包括的な医療サービス」 

米通商代表部は、「外国貿易障壁報告書」等で▽外国事業者を含む営利企業による営利病院運営(2012年の「報告書」には明記されていないが、要求を断念したわけではない)▽包括的な医療サービス(混合診療)の提供―などを求めている。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

結論を先に言うと、「包括的な医療サービス」は「混合診療」などではありません。 2011年の外国貿易障壁報告書で「包括的な医療サービス」に該当する記載は次の部分しか見当たりません。

Medical Services

Restrictive regulation limits foreign access to the medical services market, such as the ability of commercial entities, including foreign service providers, to provide full-service, for-profit hospitals.

JAPAN - 2011 National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers - U.S. Trade Representative


前掲「外国貿易障壁報告書」の本年版(外務省作成の仮訳版を参照した)の「医療サービス」の項目において、「厳格な規制によって、外国事業者を含む営利企業が包括的サービスを行う営利病院を提供する可能性等、医療サービス市場への外国アクセスが制限されている」との言及がある。

TPPに関する質問主意書 - 衆議院

「外務省作成の仮訳版」で「包括的な医療サービス」と訳されている部分は、原文では「full-service」となっていて、どこにも「混合診療」の文言はありません。 前述の全国保険医団体連合会のパンフレットでは外国貿易障壁報告書(2008年度版)の「full-service」は「すべての医療サービス」という訳が採用されています。

「包括的な医療サービス」と言われても、何と何が「包括」なのかは不明確です。 保険診療と自由診療の包括なのかな?という可能性には思い当たっても、それが正しいかどうかは定かではありません。 「すべての医療サービス」という訳ならば、普通に考えて、「すべて」が自由診療を含めているという解釈には至らないでしょう。 つまり、「包括的」と外務省が訳したことで生まれた印象に過ぎないのに、何の裏付けも取らずに決めつけて書いたと、そういうことでしょう。

それが単なる印象に過ぎないことを自覚しながら、「混合診療」と書いているところは非常に悪質です。 この文章は営利目的規制への規制解除要望なのだから、普通に読めば、「full-service」が現在の日本の病院にも認められている範囲を超えないことは明らかです。 もしも、「full-service」が営利目的規制への規制解除要望とは別の規制解除要望であるならば、当然、項目を分けるでしょう。 それが分かっていたからこそ、引用ではわざわざ「▽」で区切って「営利企業による営利病院運営」と「包括的な医療サービスの提供」に項目を分けたのでしょうから。

「2012年の『報告書』には明記されていないが、要求を断念したわけではない」も、無知を曝け出しています。 外交交渉に限らず、一般に、交渉事では追加要望を後から出せば不利になります。 相手側からは、当然、「その要望を出すなら、あっちを引っ込めろ」や「その要望を通したいなら、こっちの要望を受け入れろ」と言われます。 既存の要望よりも追加の要望が相手にとって受け入れにくいものであれば、既存の要望を取り下げても相手は追加の要望を受け入れないでしょう。 逆に、既存の要望の方が相手にとって受け入れにくいものならば、追加分を後出しせずに最初から出した方が、既存の要望をダミーとして有効活用できます。 どのような状況を想定しても、追加要望を後から出すことはデメリットしかありません。

ただし、相手を騙し討ちしようとするなら話は別です。 とくに集団相手の場合は、交渉の場に出てきた人にとって苦手分野の要望において、相手側の事前の打ち合わせをさせず、かつ、即決に持ち込めば、交渉を有利に運べます。 例えば、追加の要望が、相手集団全体から見て受け入れにくいものであっても、交渉人が「既存の要望よりも追加の要望の方がまだ受け入れやすいのでは?」と判断したらどうでしょうか。 そこで、「今、受け入れるかどうか決めてくれたら、既存の要望は撤回しますよ」「今決めないなら、既存の要望も強く押します」と即決を促します。 相手側に母集団と相談する余地を与えなければ、コロッと騙されてくれるかも知れません。

しかし、そういうやり方が通用するのは、相手側が全く予想もしていないネタを出せるときだけです。 相手側に事前に打ち合わせをさせないことが、このやり方の手口なので、事前に打ち合わせされたら意味がありません。 例えば、「混合診療を要求されたら絶対に拒否する」という打ち合わせが事前にできているところに、混合診療を要望しても無駄です。 一度でも見せてしまったネタは通用しません。 だから、2011年の報告書に書いたことを、2012年に隠しても意味はありません。 ゆえに、「2012年の『報告書』には明記されていない」のであれば「要求を断念した」公算が高いと言えます。

医療技術特許 

2、先進医療技術の保険適用制限

手術方法などの医療技術は、日本やEUは特許保護の対象としていないが、アメリカは特許保護の対象にしている。 TPP交渉で米通商代表部は、「人間の治療のための診断・治療及び外科的方法」について特許の対象にするよう要求している。

日本では公的医療保険が利かない「先進医療」について、例外的に混合診療(保険外併用療養費制度)を認め、有効性、安全性、普及性等の条件がそろえば公的医療保険を適用してきた。

TPP参加で、「先進医療」(2013年1月現在105種類)が特許対象となって、費用が上がる可能性がある。 公的医療保険の適用が制限され、混合診療の状態に留め置くことが広がりかねない。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

「費用が上がる」ことで「混合診療の状態に留め置くことが広がりかねない」は全く事実と逆です。 現状のドラッグラグ・未承認薬問題で「公的医療保険の適用が制限され、混合診療の状態に留め置く」状態になっている原因は、日本の薬価が高すぎるからではなく、全く逆で、日本の薬価が安すぎるからです。 製薬会社がコストのかかる承認データを取ることを敬遠しているのであって、「費用が上がる」ことを理由に「適用が制限」されているわけではありません。 申請を選別してしようにも、選別するだけの申請すらないのが現状なのです。 詳細は以下をご覧ください。

「費用が上がる」と保険診療範囲を狭めようとする圧力が強くなるのは事実でしょう。 しかし、それ以上に、「費用が上がる」ことは、新技術の開発を促進する効果があります。 新技術を特許で保護しなければ、「費用が上がる可能性」だけでなく、新技術が生まれる可能性も潰します。 権利を保護しなければ、「有効性、安全性」の確認のためのコストを誰も負担しません。 そうなれば、新技術は「公的医療保険の適用」がされません。

当然、民間企業がコスト負担しなくても、公的費用を投入すれば一定程度の開発は可能でしょう。 しかし、そのやり方では、民間企業の開発効率とは比べ物になりません。 安全で有効な治療をいち早く患者が使えるようになるには、民間企業が参入しやすい市場を作ることが一番です。 特許保護により「公的医療保険の適用が制限」されるのではなく、むしろ、「公的医療保険の適用」が促進されるのです。

もちろん、「公的医療保険財政の悪化」を口実に「公的医療保険の適用が制限」する圧力を強める連中はいるでしょう。 しかし、それに対しては、政府の医療財政支出を抑えたい連中のデマをしっかりと看破し、彼らの欺瞞を暴くべきです。 デマに対抗するために、そのデマに乗っかった「TPPが医療を壊す」という新たなデマを流布するのは、本末転倒も甚だしいです。 相手のデマに乗っかった新たなデマで対抗するのではなく、相手のデマの正体をしっかりと暴いていかなければなりません。

「公的医療保険制度」 

6、公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる

TPPとは関税と「非関税障壁」を例外なく撤廃し、国内制度やルールをアメリカ基準に変えようというものである。

米通商代表部、日本の公的医療保険制度を“魅力的な巨大マーケット”と位置付けて、長年にわたり日本政府に対して要求を突きつけている。

2012年11月に開催された日米財界人会議では、日本のTPP交渉参加を支持する共同声明を採択した。 この財界人会議のアメリカ側の議長は、『アフラック日本』の代表である。 米保険業界が先頭に立っていることは、アメリカが何を最も目指しているかを示している。 すでにアメリカは、かんぽ生命がガン保険などの新規商品を販売しないよう要求している。

現在でも強まっている医療の営利産業化が、TPP参加でいっそう強化され、「いつでも、どこでも、だれでも」受けられる公的医療保険制度が、徐々に実質的に機能しなくっていく危険性がある。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

全く意味不明ですね。

  • 「かんぽ生命」の「ガン保険などの新規商品」は何時から「公的医療保険制度」になったのでしょうか?
  • 製薬会社は「医療」分野の「営利産業」ではないのでしょうか?

「かんぽ生命がガン保険などの新規商品を販売しないよう要求」したことと「日本の公的医療保険制度」がどう関係するのか不明確です。 また、「医療の営利産業化」と「受けられる公的医療保険制度が、徐々に実質的に機能しなくっていく危険性」がどう関係するのかも不明確です。

「TPPに限らず」 

TPPに限らず、医療の営利産業化を進める動きが強くなっている。

TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる - 全国保険医団体連合会

「TPP参加で公的医療保険制度が実質的に機能しなくなる」というタイトルなのに、「TPPに限らず」とは、何が言いたいのか全く理解不可能です。

デマを流布する者こそが患者にとっての最大の敵!!! 

混合診療とTPP等のISD条項による国際投資仲裁を結びつけるデマは混合診療問題にとって害悪にしかならない、と、ずっと言い続けて来たが、どうやらそれが本当になってしまった。 最初の頃は、そう言いながら、少し大げさかな?とも思っていたのだが、予想に反して予言が当たってしまったようだ。

最初の頃は、出汁にして利用されることについて漠然とした危険性を感じていただけだった。 何がどう危険なのかは具体的には分かっていなかったが、直感的、かつ、経験則的に感じていた。 一見すると利害が一致しているように見えるだけの同床異夢の勢力は信用ならない。 軒を貸して母屋を取られることは歴史でもありがちなことである。 最初の頃はただ漠然と背中から刺されそうな予感がしていただったのに、ここに来て危険性がハッキリして来た。

混合診療問題における諸悪の根源は、ドラッグラグ・未承認薬の存在である。 そして、ドラッグラグ・未承認薬の根本原因は、薬価が不当に安く抑えられていることにある。 だから、生存に必要な医療を全て国民皆保険制度でまかない、貧乏でも命を諦めなくて良い社会を作るには、絶対に、薬価の適正な引き上げが必要なのである。 混合診療とTPP等のISD条項を結びつける連中は、その最大の抵抗勢力として我らの前に立ちはだかっている。 我々の長き悲願である所持金によって左右されない生存権を勝ち取るためには、デマに対して毅然とした態度を取る必要があろう。


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