TPP違憲訴訟(笑)

中立かつ客観原則 

ここでは中立的な立場で事実関係を検証する。 賛成か反対かという結論は先に立てず、現実に起きた出来事、確実に起き得ること、一定程度の期待値を示す根拠のあることを中立かつ客観的に検証する。 可能性レベルの物事を論じるためにも、無視できない可能性があることを示す根拠を重視し、根拠のない当てずっぽうや思い込みや伝聞等の不確かな情報は、それが妄想に過ぎないことを示した上で門前払いとする。 賛成論でも間違いは間違いと指摘するし、それは反対論でも同じである。 ここでは賛成論にも反対論にも与しない。

訴訟としての体をなしてない(笑) 

何だか良く分からない人たちがTPPが違憲だと2015年5月15日に東京地裁に提訴したらしい(笑)。 何でも、生存権と幸福追求権と司法主権と知る権利の侵害らしい(笑)。

この点、民事訴訟における一般原則として、原告らが判決を求める内容、すなわち原告らの請求が特定されていなければならないことはもとより(民事訴訟法133条2項2号、民事訴訟規則53条1項前段参照)、本件差止請求が、被告に対して不作為の命令を求めるものである以上、当該不作為行為の内容が特定されていなければならないことは、当然のことである。


そうすると、結局のところ、本件差止請求は、誰が誰に対していかなる行為をすることを差し止めようとしているのかが不明であって、差止請求の対象となる行為とそうでない行為が識別できないといわざるを得ない。

被告答弁書(1)


被告のいかなる行為が、いかなる法的根拠に基づく職務上の法的義務に違反したと主張するものか判然としないものの、


原告らが生存権及び人格権として保証されると主張する種々の「権利」は、いずれも、いまだ抽象的、一般的なものにとどまり、裁判上の救済が得られる程度に具体的、個別的な法律上保護される権利ないし法的利益とは認められない。


結局のところ、原告らの主張は、TPP協定について、あるいはTPP協定に関する交渉を行なうことについて、これに反対する被告らの主義・主張が容れられず、個人的に心情が害される、あるいは現状の生活が脅かされるのではないかといった漠然とした不安を抱いたという域を超えるものではないのであって、これをもって、国賠法1条1項で法的に保護される利益にあたるということはできない。

被告準備書面(1)


そもそも、準備書面の記載事項は、「攻撃又は防御の方法」及び「相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述」とされており(民事訴訟法161条2項)、このうち「攻撃又は防御の方法」とは攻撃防御のために用いられる実体法上又は訴訟法上の一切の方法をいい、権利又は法律関係を発生・変更・消滅させるのに必要な個々の事実(主要事実)、主要事実の存在を推認させ又は推認を妨げる事実(間接事実)、主要事実・間接事実に関する証拠の信用性にかかわる事実(補助事実)が該当すると解されている(秋山幹男ほか・コンメンタール民事訴訟法Ⅲ414及び415ページ)。 また、準備書面において、事実についての主張を記載する場合には、できる限り、請求を理由づける事実、抗弁事実又は再抗弁事実(主要事実)についての主張とこれらに関する事実(間接事実)についての主張とを区別して記載しなければならないとされている(民事訴訟規則79条2項)。


しかるところ、本件各文書については、〜(中略)〜といえる。

他方、本件各文書には、攻撃防御方法としての事実主張が全く整理されて記載されておらず、争点や主張の整理にも視するものではない。


尚、原告らにおいて、飽くまでも本件各文書の内容を主張・立証したいというのであれば、立証対象としての事実を明確にした上で、本件各文書を陳述書(書証)として提出し、取り調べれば足りるというべきである。


原告らが本件各文書を提出したのは、上記1(2)でも述べたとおり、第2回口頭弁論期日において、上記原告●●●本人及び原告●●●●本人の意見陳述を希望したにもかかわらず、裁判所がこれを認めない旨の訴訟指揮をしたため、準備書面の陳述及びその説明という名目で、実質的にも原告ら本人の意見陳述を行なうことを意図していることは明らかである。


そもそも、民事訴訟手続における原告本人の「意見陳述」は、訴訟法的には弁論事項としての主張ではなく、証拠方法としての当事者本人尋問(民事訴訟法207条)でもなく、これを認める明確な法的根拠はない。


したがって、原告本人の意見陳述については、訴訟手続上の位置づけが不明確であり、これを認めることによる弊害も少なくないといわざるを得ないのであるから、第2回口頭弁論期日において、裁判所が、原告本人らの意見陳述を認めなかった訴訟指揮は極めて正当なものである。


したがって、仮に、本件各文書を、主張書面として取り扱い、第3回口頭弁論期日においてその陳述を認めるとしても、当該内容を口頭で説明する必要があるというのであれば、訴訟代理人らにおいて、かつ、その要旨についてのみ、短時間で説明するにとどめるべきであり、原告ら本人が当該内容を口頭で説明するなどして陳述することは相当でない。

被告意見書

被告からも民事訴訟としての体を為してないと突っ込まれて、裁判所も被告の突っ込みを追認している(笑)。

  • 言ってることが「抽象的、一般的」すぎて、誰のどの行為を差し止めようとしているのかも、法的根拠も分からんだろ(笑)
  • 民事訴訟法に規定された「準備書面の記載事項」が何も書いてねじゃねえか(笑)
  • 民事訴訟法の「意見陳述」の体を為してないって、裁判所からも止められてるだろ(笑)

これで裁判をやろうなんて無知にも程がある(笑)。 呼びかけ人には弁護士もいる(しかも2人)のに、裁判所が証拠に基づいて判断すると分かっていないのか(笑)。 裁判のことを何も分かってないと暴露する行為が弁護士として恥だって気付かないのか(笑)。 訴訟の形式が整ってても最高裁判所は政府の裁量権を広く認める傾向があるのに、形式すら整えないで勝てるわけないじゃん(笑)。 何の根拠のない扇動的なだけの文章では、何も知らない一般人は騙せても、裁判で通用するわけないだろ(笑)。 裁判所はアジ演説所じゃねえっての(笑)。 パフォーマンスのつもりかも知れないけど、負けたら逆効果だろ(笑)。 まあ、地裁レベルだと変な裁判官もいるから分からないけど、高裁以上は無理でしょ(笑)。

左翼活動家って、こういう何の役にも立たない活動が大好きだよね(笑)。 まともな人は有効打で勝負するけど、彼らはとにかく手数を稼ぎたがる(笑)。 過去の戦績を全く気にしてないのか、百発の空振りより1発のクリーンヒットの方が強いって分かってない(笑)。 いや、「俺のパンチは当たってるはずだ、かなり効いてるはずだが審判もグルだから勝てないんだ」と思ってるだろう(笑)。

提訴して1年近く経つのに左翼活動家の方以外殆ど誰も話題にしていない(笑)。 というか、左翼活動家以外からは気付かれてない(笑)。 TPP関係の資料を漁るために検索してたら偶々ヒットしたんだけど初めて知ったわ(笑)。 まあ、見てて面白いだけで人畜無害なので、好きなだけやっててください(笑)。

何が不明確か? 

「被告のいかなる行為が、いかなる法的根拠に基づく職務上の法的義務に違反したと主張するものか判然としない」の意味がわからない人もいるかも知れないので少し解説しておこう。

いかなる行為 

原告は憲法違反を主張しているが、「差止請求の対象となる行為」が何かは、その憲法違反がどのようにして引き起こされるかによって変わる。

  • 憲法に直接違反する文言が条文に盛り込まれている
  • 条文そのものは憲法に違反しないが、結果として憲法違反が発生する

前者である場合は、その条文が盛り込まれた条約を締結すること、あるいは、条約にその条文を盛り込む行為が「差止請求の対象となる行為」に該当する。 その場合は、対象となる条文の文言を特定しないことには「差止請求の対象となる行為」にはならない。 例えば、安保法制を日本国憲法第9条違反で訴えるとしよう。 この例の原告は、日本国憲法第9条が集団的自衛権の行使を禁じていると解釈するので、集団的自衛権を行使することが条文に直接明記されているか、あるいは、集団的自衛権の行使と実質的に同義な文言が書かれている条文の文言を明記すれば、それが「差止請求の対象となる行為」となる。

後者の場合は、実際に条約が発効しなければ、憲法違反の事実を証明することはできない。 被告側の提出文書に何度もTPPが未締結だと記載されているが、それはこのことを示していると思われる。 仮に、憲法違反の結果が発生するとしても、その条文の文言を削除することだけが唯一の結果回避方法でない限りは、他の回避努力を怠ったことを「差止請求の対象となる行為」とする余地はあっても、条約締結を差止請求する法的根拠はない。

本件訴訟においては、原告は、この前者の論理なのか、後者の論理なのかを明らかにしていない。 また、原告は、次のいずれも明記していない。

  • 原告は、憲法違反となる条文の文言を示していない
  • 原告は、被告がどのような努力を怠るか示していない(予知能力がなければ示すことは不可能)

よって、「差止請求の対象となる行為とそうでない行為が識別できない」。

いかなる法的根拠 

法的根拠も、憲法違反がどのようにして引き起こされるかによって変わる。

  • 憲法に直接違反する文言が条文に盛り込まれている
  • 条文そのものは憲法に違反しないが、結果として憲法違反が発生する

前者の場合は、条約上の該当する条文の文言=「差止請求の対象となる行為」の他、それに対応する憲法上の該当する条文の文言を示せば良い。 後者の場合は、結果と条文の内容の因果関係と、政府の結果回避の義務を記載した法律を示す必要がある。 本件訴訟においては、原告は、そのどちらも明記していない。 よって、「いかなる法的根拠に基づく職務上の法的義務に違反したと主張するものか」も「判然としない」。

まとめ 

原告の主張をまとめると次のようになる。

  • 意見陳述書「俺はこういう人間だ。俺はこう思う。」
  • 原告第1準備書面「あらゆる交渉の差し止めを求める。」
  • 原告第2準備書面「俺たちはこう思う。」
  • 原告第3準備書面「俺たちはこう思う。」
  • 原告第4準備書面「俺はこういう人間だ。俺はこう思う。米国議員にもこう言ってる奴がいる。」
  • 原告第5準備書面「私はこういう人間だ。私はこう思う。」
  • 原告第6準備書面「私はこういう人間だ。私はこう思う。米国交渉官にもこう言ってる奴がいる。」
  • 原告第7準備書面「俺たちはこう思う。」
  • 原告第8準備書面「俺たちはこう思う。」
  • 甲A号証・TPP基本条文関係(ただのTPPの条文)
  • 甲B号証・TPPに関するその他の証拠関係「俺はこう思う。」
  • 甲C号証・陳述書関係「私はこう思う。」

つまり、原告は次のいずれも示していないので、「原告らの請求」が何か特定されていない。

  • 「差止請求の対象となる行為」が何か(「あらゆる交渉」では対象を明確にしていない)
  • 「いかなる法的根拠に基づく職務上の法的義務に違反したと主張するものか」

先程挙げた安保法制違憲訴訟では、原告の憲法解釈が否定されるか、あるいは、憲法解釈が回避されることもあろう。 しかし、安保法制違憲訴訟では、「原告らの請求」は明確であり、憲法解釈を争点として争う余地がある。 それに比べて、本件訴訟では、「原告らの請求」からして明らかではない。 原告のやっていることは、裁判所を舞台にして、裁判官相手にアジ演説をしているだけにすぎない。 これでは、事実関係で争うとか、憲法解釈で争うとか、判例がどうとか言う以前の問題なのだ。

裁判所の設備の維持も人件費も国民の貴重な税金で賄われている。 民事訴訟法で認められた論点から外れた(=裁判の判決を全く左右しない)アジ演説のために、裁判所の設備を長期間使用し、かつ、人員を長期間拘束するのは、税金の無駄使いである。 だから、そんな無駄使いを認めるな、認めたら他の裁判でも認めないといけなくなるぞと政府機関が主張するのは当然である。 原告は訴える権利の侵害だと主張しているが、制止されているのは訴えとは無関係なアジ演説であり、原告がアジ演説を押し通そうとして訴える権利を放棄しているだけにすぎない。

訴訟を提起する上での争点を示していないのでは、どうやっても勝ち目はない。 仮に、裁判官が原告に最大限の贔屓をしたとしても、どうやって勝たせれば良いか頭を抱えるだろう。 もしも、貴方が何かの裁判をする機会があれば、こんなことも分かっていない弁護士は避けた方が良いだろう。


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