妄想的陰謀論者の赤松健を擁立するリスク

背景事情 

背景事情については著作権侵害の非親告罪化が二次創作に与える影響に記載する。

妄想的陰謀論 

赤松健氏は、一部の人たちから「表現の自由を守った」活動家として英雄視されているらしい。 その赤松健氏について「何故、自民党に擁立されるのか」と不満を漏らす左の活動家がいる。 ここでは全く逆である。 赤松健氏は、偽りの英雄でしかない。 政治の足を引っ張る懸念しかない妄想的陰謀論者を擁立するなんて気は確かかと。

かつて、一部の国が日本に海賊版対策のために著作権の非親告罪化を求めてきた。 それは環太平洋戦略的経済連携協定にも波及した。 ここで、赤松健氏は「非親告罪化されれば同人作者が大量逮捕される」という根拠のない妄想で同人作家らを煽動しはじめた。

もちろん、著作権侵害の非親告罪化が二次創作に与える影響に書いた通り、非親告罪化は許諾権を捜査機関に委ねる政策ではないから、そんなことは起こり得ない。 許諾するかどうか決めるのは権利者であることに変わりがないのだから、どう考えても二次創作に影響する余地はない。 刑法や刑事訴訟法でも、「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」がなければ逮捕状は出ないし、犯罪の証拠もなしに起訴することは事実上不可能である。 権利者が態度を明らかにしなければ著作権侵害は成立しないから、権利者を無視して勝手に逮捕することはできないのである。 事実、ドイツを除く欧米諸国の著作権法は親告罪規定を持たないが、同人作家が不当に逮捕されるような事態は発生していない。 「いつ逮捕されてもおかしくない」という事態はないから、それによって二次創作が萎縮することもない。 親告罪規定を求める大規模な運動すら起きていない。 欧米では非親告罪でも二次創作界隈は非常に平和である。

私は、赤松健氏に法律論を丁寧に説明した。 それに対して、赤松健氏はメールの返事は返してきたが、「頂いたメールをどうすべきか」書いてない、「メールに署名の類が無い」等の訳のわからない理由で全て闇に葬った。 彼は、人の忠告に全く耳を傾けようともせず、暴走し続けた。

彼が暴走し続けた結果、TPP交渉で、日本が二次創作等を除外するよう求め、それが反映されたらしい。 もちろん、二次創作等を除外する規定を設けることそのものは何の害もない。 しかし、これは外交交渉であり、日本国として何かを要求することは、他国に借りを作ることになる。 そして、相手国から見れば、何の損にもならない要求なので、拒否する理由はない。 一円の損にもならない日本の要求を受け入れる代わりに、日本に貸しを作ることができるのだ。 つまり、日本は無料で交渉国に外交カードを配ってしまったのである。 二次創作等を除外する代わりに何を譲歩したのか、それは、交渉過程文書が機密になっているためわからない。 しかし、何ら日本の利益にならないことのために、国益を損なう危険性を冒したことは確かだろう。

たしかに、赤松健氏の活動は協定の文面に影響を与えた。 しかし、言うまでもなく、それは日本人の誰にとっても何の利益も生み出していない。 法令の書き振り等が変わるだけで、表現の自由については全く何も変わっていないのである。 ただ、現実離れの妄想的な陰謀論に基づいて、日本の国益を損なう危険性を冒すように交渉を引っ掻き回しただけなのである。

以上は既に終わったことなので今更言っても仕方ない。 しかし、今後も、同様の妄想的な陰謀論に基づいて、赤松健氏が暴走する可能性は高い。 そして、冷静な人が忠告しても、彼は、決して耳を傾けないだろう。 このような妄想的陰謀論者を擁立することが、将来、日本の国益を大きく損なう危険性に目を向けるべきである。


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