格差は貧困を産むか?
「貧困の原因は格差社会」のマヤカシ
左翼系活動家の方々や反政府系活動家の方々は、格差が拡大すると「金持ちはより豊かに、貧乏はより貧しく」なると主張する。 しかし、それが正しくないことは共産主義の実践事例等で既に実証されている。 現実には、格差を解消すれば国民総貧乏を実現するだけである。 逆に、格差が拡大すると、金持ちはより豊かに、貧乏はそれなりに豊かになるのである。
無格差社会における平均賃金
無格差社会の実現とは、共産主義の実現に他ならない。 では、それによって経済がどうなるか、実際のデータを元に検証してみよう。
ソ連の国民1人当たりのGDPは、アメリカの国民1人当たりのGDP比で、1960年に35%のピークに達し、その後20年間はほぼ同一水準で推移したが、1980年代には低下した。 1990年には、ソ連の1人当たりGDPはアメリカの1人当たりGDPのわずか11%にまで落ち込んだ。
旧ソビエト連邦の国民1人当たりのGDPはピーク時でもアメリカの3分の1程度しかなかったのである。 共産主義は自由主義より貧しい。 これは歴史的事実である。
仮に、日本のGDPが今の3分の1になったとし、労働分配率100%と仮定すれば、労働者一人当たりの年収は約300万円となる。 2014年頃の春闘相場を基準として比較すれば、労働者全体の平均で月額十数万円程度の賃下げになる。 次のことを考慮すれば、実際の貧困の度合いはもっとひどい。
- 労働分配率100%という非現実な仮定
- 税収の大幅減による影響
- 上下水道事業等の公共サービスの破綻
- 社会保障の破綻
実際の労働分配率は100%にはなり得ないし、税収減の影響も考慮すれば、格差を無くすことは国民全体を超貧乏にすることに繋がる。 格差否定主義者の求める社会とは、このような国民総貧乏社会なのか?
わかりやすい例
例えば、次のような所得分布を考えてもらいたい。
このグラフでは、明らかに、A国の方が格差が大きいが、B国の方が貧しい。 敵視すべきは、貧困であって格差ではないのだ。 と言った舌の根も乾かぬうちに、敵視すべき格差もあると言っておこう。 下のグラフを見れば分かる通り、ジニ指数(格差)と豊かさは必ずしも相関しない。
世界銀行の貧困率データ(2019年1月閲覧)
格差が大きくなるほど豊かになると限らないのは、格差には次の2通りがあるからである。
- 経済成長に伴って生じる格差
- 経済成長とは無関係の格差
貧困を撲滅したいなら、前者の格差は歓迎すべきものだか、後者の格差は敵視すべきである。 左翼系活動家の方々や反政府系活動家の方々は、前者の格差についても「経済を衰退させずに是正すべきだ」と言うかもしれない。 しかし、その具体的な実現方法を示さずにそんなことを言っても絵に書いた餅である。 これまで、前者の格差を無くそうとする試みはいくつもあったが、そのいずれも経済を衰退させない格差解消には成功していない。 これまでの試みが全て失敗している以上、経済を維持した前者の格差解消を唱えるなら、その具体的な実現方法を示すべきだろう。 現代社会においては、自由競争とそれによる格差を許容しつつも、経済発展による税収増で社会保障を充実して底辺層の生活水準を底上げすることが唯一にして最善の現実解であろう。 少しでも格差を生じさせるやり方を「新自由主義」と呼び、この世から一切の格差を排除しようとする左翼系活動家の方々や反政府系活動家の方々の主張は、現実を無視した夢物語に過ぎない。
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