富岳1位はすごくない
TOP500
富岳はTOP500で1位となったようだが、全く凄くはない。
「2位の2.8倍の性能で圧倒している」と主張する人がいる。 しかし、TOP500で2位のSummitは2年前のスパコンである。 1位の性能は1年毎に約1.65倍になっている。 登場した当時のSummitの性能に、2年分の性能向上比を掛けた推定値と比較すると、富岳の性能は約1.026倍の性能でしかない。
国費の無駄遣いスパコン「京」を再検証するにて説明した通り、京のときは、最新のライバルたちがTOP500に登場する前に、意図的にベンチマークの実施を前倒しにした。 富岳の場合は、新型コロナウイルスの対応のために、運用開始が前倒しされた。
「富岳」は現在、2021年度の共用開始に向け、開発・整備が行われています。 しかしながら、国難ともいえる今般の状況を受け、開発・整備に支障がない範囲で「富岳」の計算資源を優先して提供し、また実施される研究開発に対してできる限りの技術的サポートを行うことで、新型コロナウイルスによる被害の軽減に貢献すべく取り組むこととしました。
つまり、今回も、図らずとも、最新のライバルたちがTOP500に登場する前に、ベンチマークの実施を前倒しにしたのである。
1コアあたりのRmax値やRpeak値は、中国スパコンを除いた上位5台の中では低い。 にも関わらず、スパコンとしてのRmax値やRpeak値が高いのは、コア数で性能を稼いでいるからである。 ただし、コア数が多くても高い実行効率を実現している点は評価に値する。 しかし、その実行効率の高さがベンチマーク特有のものであるのか、実際に使用するプログラムでも実現しているのかは不明である。
何より、京と同様、富岳は、世界的に例がないほど破格の国費を投じて開発したものである。 つまり、金に物を言わせてかろうじて世界1位をとっただけに過ぎない。 それだけ金をかければ当たり前の結果を得たに過ぎず、そんなことは自慢にもならない。
HPCGとGRAPH500
TOP500で2位のSummitや3位のSierraを差し置いて、GRAPH500(BFS)では中国製のスパコンが2位に入っている。 プロセッサの数だけの力技で性能を稼いでいると言われる中国製のスパコンが2位に入れるのに、どうして、Summitは3位、Sierraは70位に留まっているのか。 それは、SummitやSierraが本気でGRAPH500向けのチューニングをしていないからではないか。 また、TOP500で6位のHPC5の7位のSeleneは、GRAPH500(BFS)100位圏内には入っていない。 さらに、GRAPH500(BFS)のエントリー数は288に過ぎず、HPCGは68位までしかない。
京がランクインした時も、日本と中国以外はHPCGやGRAPH500には本気を出していないか不参加だった。
つまり、HPCGやGRAPH500(BFS)は、本気を出して参加しているのは日本と中国だけで、他の世界の上位陣は本気を出していないか、あるいは、参加すらしていない。 だから、HPCGやGRAPH500は、現時点では性能の指標としては不適切である。
富岳の真価
そんなことより、A64FX(富岳プロセッサ)をCray社が採用したことの方がよほど評価に値する。
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