TPPと米韓FTA
- 中立かつ客観原則
- TPP総論
- 概要
- TPPと米韓FTAの関係
- ラチェット条項
- 人命・健康セーフガード
- 輸入急増セーフガード
- 最恵国待遇
- 非違反提訴(Non-Violation Complaint、NVC条項)
- 国境間取引
- 米国国内法上の扱い
- 韓国国内事情
- 資料
- 参考
中立かつ客観原則
ここでは中立的な立場で事実関係を検証する。 賛成か反対かという結論は先に立てず、現実に起きた出来事、確実に起き得ること、一定程度の期待値を示す根拠のあることを中立かつ客観的に検証する。 可能性レベルの物事を論じるためにも、無視できない可能性があることを示す根拠を重視し、根拠のない当てずっぽうや思い込みや伝聞等の不確かな情報は、それが妄想に過ぎないことを示した上で門前払いとする。 賛成論でも間違いは間違いと指摘するし、それは反対論でも同じである。 ここでは賛成論にも反対論にも与しない。
TPP総論
長期的視野では話は別だが、短期的視野で見ればTPPに参加するかしないかは大きな問題ではない。 それよりも、TPPとは全く無関係な混合診療完全解禁がもたらす患者の治療機会喪失の危険性やイレッサ訴訟の行く末によるドラッグラグ・未承認薬問題の悪化の方が、遥かに大きな問題であろう。 だから、TPPよりも重要な争点において国民に不利益をもたらす政策を党員に強要する日本維新の会は落選運動の対象とせざるを得ない。 混合診療の完全解禁を公約とする日本維新の会およびみんなの党には一切の主導権を握らせてはならない。 そのためには、これらの党に対する落選運動が必要なだけでなく、与党とこれらの党との連携も絶対に阻止しなければならない。 具体的運動の詳細は自民党への抗議方法を見てもらいたい。
概要
ここは サルでもわかるTPP@ルナ・オーガニック・インスティテュート と サルでもわかるTPP@Project99% のデマを暴くページであるサルでもわかるTPPと新サルでもわかるTPPの一部である。
TPPと米韓FTAの関係
秘密だらけでよくわからないTPPの実態を少しでも見極めようと、国会議員で構成される「TPPを慎重に考える会」(会長:山田正彦元農水相)が2012年初頭に訪米調査を行った。
TPPの手続で説明している通り、秘密となるのは、
交渉中のテキスト
各国の提案及びそれに伴う説明資料
交渉内容に関連するEメールなど
第180回国会衆議院農林水産委員会第11号 - 衆議院
であり、あくまで、交渉途中で出てきた各国の要求が秘匿扱いになるに過ぎない。
合意事項について秘匿することにはなっていない。
アメリカは日本に何を求めているのか、と問いかけたところ、USTR(米通商代表部)の幹部から返ってきた答えは、 「米韓FTAを見よ。それが日本に求めるものと同じであり、米韓FTA以上のハイレベルなものを日本には要求するだろう」 というものだったという。
USTR(米通商代表部)は、米国側の開放項目以上の開放を日本に要求するとは一言も言っていない。 米国は、自由貿易を推進している国であるのだから、「米韓FTA以上のハイレベルなものを日本には要求する」からには、当然、自国も同等以上の開放を行なうことが前提である。 サルでもわかるTPP@Project99% は、その前提を捻曲げて、米国が「屈辱的な不平等条約」を要求しているかのように偽装しているのだ。
米韓FTAというのは、アメリカと韓国との間で結ばれた自由貿易協定(Free Trade Agreement)のことだ。 2011年の暮れに韓国の国会で批准が強行され、2012年の初頭には発効する予定だったが、野党の激しい抵抗にあって、2012年2月現在ではまだ発効できずにいる。
野党が激しく抵抗するのも当然で、その内容はとんでもなく屈辱的な不平等条約だ。
この米韓FTAとTPPで確実に共通するのは悪評高きISD条項だが、韓国人が「毒素条項」と呼ぶひどい条項は他にもまだまだある。
以下で詳細を説明しているが、米韓FTAの各条項は双務的な内容であり、「とんでもなく屈辱的な不平等条約」は大嘘である。
ISD条項に基づく国際投資仲裁についても、TPPの一般原則で説明しているとおり、極めて真っ当な制度である。
ちなみに、米韓FTAでは、
米国の投資家が韓国国内の司法または行政手続を一旦選択した場合,国際仲裁を選択することはできなくなる。一方,韓国の投資家が米国政府に対して提訴する場合,米国の国内裁判所を選択した後に,国際仲裁の場で提訴することは可能
米韓FTAの概要 - 外務省P.4
というように、若干、韓国側に有利な内容となっている。
ついでに、関税の自由化率も示すが、若干、韓国側に有利となっている。
米国の締結済FTAにおける譲許状況
自由化率 長期自由化の品目の例 除外(ただし、スタンドスティル適用)の例 米国側 99.2% 【10年超15年以内】82タリフライン(0.8%) なし 韓国側 98.2% 【10年超20年以内】167タリフライン(1.5%)【関税割当枠の継続的拡大】15タリフライン(0.1%) 16タリフライン(0.1%)
「悪評高き」も「毒素条項」も、そう主張する者がいるというだけであって、それらが「毒素条項」であることは全く示せていない。 いずれも次のような手口を使って、あたかも、「毒素条項」であるかのように見せ掛けているだけである。
- 協定としてごく一般的な条項であるのに、さも、米韓FTAだけに特別に採用された条項であるかのように嘯いている。
- 双務条項であるのに、韓国だけに義務付けられた片務条項であるかのように偽装している。
- 条文の内容を本物とは違うものにして、さも、不当な条項であるかのように見せ掛けている。
ラチェット条項
◆2.ラチェット条項
ラチェットというのは一方向にしか回転しない歯車のことを言う。 ラチェットのように一方向にしか行かない、つまり一度自由化したものは後戻りできない、というのがこの条項だ。
自由貿易を推進する協定なのだから、原則として逆戻りを禁止するのは当然である。 その詳細はラチェット規定で説明してある通りである。
また、
ratchet(自由化後退防止装置)が適用される
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構P.40
のはAnnex I(現在留保)だけであり、Annex II(将来留保)は適用対象外である。
どちらか一方の国だけに義務を負わせるような片務的規定もない。
項目 | 自由化方向 | 逆行可能性 |
---|---|---|
受け入れ | 協定本文で自由化を約束済 | 各種セーフガード適用可 |
現在留保 | ラチェットあり | 〃 |
将来留保 | 義務なし | 自由に逆行可 |
対象外 | 〃 | 〃 |
人命・健康セーフガード
米韓FTAで韓国は15年かけて牛肉の関税を撤廃し、完全自由化することになったが、その後もしアメリカでBSEが発生しても、韓国は牛肉の輸入を止めることはできない。 どんな事情があっても、一旦自由化したものはそれを止めることができないんだ。
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構によれば、米韓FTAの総則では、GATT第20条(人命や健康等を理由とするセーフガード規定)及びGATS第14条の一般的例外適用及び国家安保上の例外措置を許容している。
つまり、米韓FTAでは、米韓双方の国に対して
人、動物又は植物の生命又は健康の保護のために必要な措置
GATT第20条
が明示的に認められている。
だから、「アメリカでBSEが発生しても、韓国は牛肉の輸入を止めることはできない」は全く根拠のないデマである。
そもそも、「牛肉の関税を撤廃」は留保項目ではないから、ラチェット条項は全く関係がない。
輸入急増セーフガード
韓国側が要求した農産物セーフガードを反映
韓米FTA締結によって輸入急増が発生する場合、一時的に関税を再度復活できる二国間セーフガード制度を導入
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.6,19)
とされているように、米韓FTAでは輸入急増に対するセーフガードもどちらの国も発動できる。
最恵国待遇
◆3.未来最恵国待遇
将来韓国がどこかほかの国と貿易協定を結び、その条件がアメリカに対する条件よりも有利だった場合、自動的に同じ条件がアメリカにも与えられる、というもの。 アメリカは常に最高に恵まれた条件を与えられ、お山の大将であり続けられるわけだ。
韓米両国が遵守すべき義務
両国は相手国のデジタル製品について内国民待遇および最恵国待遇を付与する
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.47,58)
等、米韓FTAでは最恵国待遇は双方が守らなければならない。
そもそも、最恵国待遇はWTOの基本原則であり、今さら大騒ぎするような代物ではない。
詳細は未来最恵国待遇に説明した通りである。
非違反提訴(Non-Violation Complaint、NVC条項)
◆4.非違反提訴
韓国がなにひとつ協定に違反していなくても、アメリカ企業が当初の想定どおりの利益をあげられなかった場合、韓国企業を訴えることができる、というもの。 ここまで来るとほとんど「おてんとさまが丸いのも、お空の色が青いのも、みんなおまえが悪いんだ」という感じで、もう理屈も何もあったもんじゃない。 何もしなくてもアメリカ企業は儲かり、どんなに努力をしても韓国企業は儲けることが許されない。「自由、自由」と声高に要求するアメリカなのに、これは自由競争を完全に否定するものだ。
これも、GATT23条で一般的な条項であり、
両国が加盟している協定による紛争解決の場に対し,提訴することが認められる場合があることを規定
米韓FTAの概要 - 外務省(P.8)
した双務条項である。
詳細は非違反提訴(NVC条項)に説明した通りである。
立証責任のハードルの高さと、パネルが適用範囲をできるだけ限定的に捉えようとしているために、申立は簡単には認められない。 WTO体勢では悉く申立が棄却されている。 具体例として、米国政府が日本政府相手に提訴した日米フィルム紛争があるが、これも米国政府が敗訴している。 しかも、申立が認められても、相互に満足すべき調整を行うよう勧告するだけであって、当該措置を撤回する義務を負わない。 仲裁になっても、和解案を提案するだけであって、この提案が紛争当事国を拘束してはならないと規定されている。
まとめると、非違反申立は、超反則級の裏技(協定の精神に反するが協定の文言には違反しない行為)で協定を骨抜きにすることへの対抗手段である一方で、立証責任のハードルを非常に高くすることで、悪用を防いでいる。 もちろん、「アメリカ企業が当初の想定どおりの利益をあげられなかった」なんて口実では、門前払いであろう。 そして、仮に申立が認められても、和解提案が為されるだけで、拘束力はない。 また、締約国間の国家間紛争解決手続であるので、投資家が訴えることはできない。 以上のとおり、非違反申立の実態は、「毒素条項」だという大騒ぎとは全く掛け離れている。
国境間取引
◆5.サービス業の非設立権の認定
韓国内に事業所を置かなくても営業できる、というもの。事業所がなければ、韓国内に存在していないことになり、課税からも逃れられるし、提訴も受け付けない、と強弁することができる。 韓国による法治を否定するようなものだ。
これは、国境間取引のことを指していると思われるが、双務条項であれば何の問題もない。
国境間サービス供給の条件として国内で事務所が備わっている要件あるいは永住要件を要求することを禁止
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構P.40
越境サービス提供を認める条件として,原則として国内での駐在員事務所もしくは企業の設立,又は居住を義務づけてはならないことを規定
米韓FTAの概要 - 外務省P.5
とされるように、とくに、片務条項とはされていない。
米国国内法上の扱い
◆6.協定と国内法との関係
国際間の協定と国内の法律では、協定の方が上位に来る、つまり強い力を持つ、というのが国際的な常識だ。 だから、協定と国内法が食い違うような場合には、国内法の方を変えなければならない。
アメリカの米韓FTA履行法101条も、そのことを念押しするものだ。 韓国の国内法がFTAに合わせてきちんと修正されことをオバマ大統領が確認した後でFTAが発効する、と定めている。
ところが、こうして韓国にさまざまな無理を強いておきながら、アメリカときたら自国の都合が最優先。 アメリカの法律に反する米韓FTAは無効にしてしまえるよう、米韓FTA履行法102条で定めているらしい。 (韓国の弁護士ソン・ギホ氏による)
「国内法で対応する」は野田元総理の専売特許ではなく、既に、米国が実行していたのだ(笑)。 このやり方が通用するなら、日本も韓国も同じことをやればいい。 しかし、条約法に関するウィーン条約(以下、「ウィーン条約法条約」)によれば、米国式のやり方は通用しない。 詳細はTPPと米国国内法に説明してある通りである。
現実問題として、協定に実効性を持たせているのは各国の国内法であるから、このようなやり方での一定の時間稼ぎは可能であろう。 しかし、国際法と矛盾する国内法の援用という国内法援用という伝家の宝刀を抜いても、国際紛争仲裁機関の結論が出るまでの時間稼ぎが関の山であり、その代償として国際社会の信用を大きく損なう。 結果として、そうした国内法は存在するだけで一度も使用されることのない抜かずの宝刀となるか、国際世論に負けて撤回するかのどちらかになることは目に見えている。 つまり、国内法援用を根拠にして協定の不履行を正当化する行為は、事実上、北朝鮮のように初めから国際社会の信用が全くない国にしかできない裏技であろう。
韓国国内事情
外交通商部の通商交渉本部は9日、野党が「米国の要求で、投資家・国家訴訟制度(ISD)を韓米自由貿易協定(FTA)協定文に入れた」と主張したことと関連して、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代に作った韓米FTA草案にもISDが含まれている」と反論した。 通商交渉本部は、「野党と市民団体が韓米FTAに反対する名目として掲げるISDは、FTA交渉が始まった06年、韓国と米国いずれもこの制度の必要性に共感し、それぞれの協定草案に挿入した」と明らかにした。 当時、韓国が締結したすべてのFTAと多くの2国間投資協定(BIT)にもISDは含まれており、98年にスクリーンクォーター問題で中断した韓米BITでも、両者の合意事項だったため、協定文草案に含まれていたという。
そのほかの国家とFTAを締結する際に、韓国の投資家を保護するためにISDが必要だという現実論も作用した。 韓米FTA交渉からISDを除けば、韓国とASEANのFTA交渉で同制度に否定的な立場を示すASEAN諸国を説得することができず、今後、そのほかの交渉でも同様のことが起こるためだ。 通商交渉本部関係者は、「当時、両国がISD制度を草案に入れたのは、この制度が安全な相互投資のための基本だと考えたからだ」と説明した。
このような内容は、07年7月に民主党が提出した「韓米FTA交渉結果評価報告書」でも確認できる。 報告書は、「この制度のために韓国政府が投資家に提訴される恐れがあることは事実だが、外国人投資の拡大や海外進出の韓国投資企業を保護するために必要な制度であることを考慮すると、採択することが望ましい」と記されている。
外交部「盧政府FTA草案にもISDが含まれている」 - 東亞日報(P.3,6,32,38)
韓国では野党がISD条項に反対しているが、その野党が与党時代に作った米韓FTA原案にISD条項が入っていたらしい。
問題となったのは「ISD条項」だ。 政府の規制などによって韓国に投資した米国企業が損害を被った場合、企業が政府を訴えることができる、というものだ。 米韓FTAについては、韓国側に一方的に不利な“毒素条項”が含まれるとされ、日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加でも同様の事態になるとして反対派が喧伝しているが、その代表例である。
環境保護や国民の安全・福祉目的の規制であっても、それが企業の不利益になると見なされれば訴えられる、つまりは国家の主権が侵害されるというのが反対派の主張だ。
企業が無制限に政府を訴えられるとすれば、確かに大問題である。 しかし実際には、「普通はそういったことはありえない。韓国政府はかなりていねいに予防線を張っており、むしろ日本にとって参考となる」(奥田聡・アジア経済研究所地域研究センター動向分析研究グループ長)。 具体的には、国民の健康・安全、環境保護、不動産価格安定化などのための政策は適用排除、例外、留保などの規定がついている。
米韓FTAで毒素条項とされたものは10項目以上あったが、ISD条項以外は、韓国では解釈の誤りとしてすでにほぼ収束している。
韓国側にとって、米国に押し切られた“問題含み”の項目がいくつかあることは事実である。 たとえば、大型車の税率を引き下げることになった自動車税の改定、薬価算定制度で参入企業に異議を唱えることを認めたことなどだ。
だが、韓国が一方的に譲歩したわけでもない。 米国は交渉の過程で、農業分野のみならず、サービス・投資分野においても当初の要求から後退を重ね、米国内では「ほとんど取れるものがなくなった」という評価だという。
米韓FTAをめぐる動きは、交渉が決して一方的なものではないことを示している。 TPP交渉への参加表明だけで、米国の思うままにされる、という反対派の主張は明らかに誤りだ。 今必要なのは、正確な情報に基づいた活発な議論である。
中野剛志准教授のデマに加担していたダイヤモンド・オンラインも、ついに彼らのデマを暴露するようになったようだ。
資料
商品
- 協定基本内容
- 相手国の商品に対し関税を撤廃
- 両国はそれぞれの関税撤廃スケジュールにより相手国の商品(工産品/林水産物)に対して関税を撤廃、貿易の自由化を促進
- 相手国の商品に対し原則的に内国民待遇を付与
- WTO協定上の内国民待遇原則を韓米FTAで再確認
農業
- 協定文主要妥結内容
- 牛肉、豚肉、高麗人参、唐辛子、ニンニク、玉ネギ等につき物量基準農産物特別セーフガード制度を導入
- 韓国側が要求した農産物セーフガードを反映して、一部核心品目は関税撤廃後も一定期間存続
- 米国は既存のFTAにおいて関税撤廃後にもセーフガード存続を認めたことはほとんどない
- 当該年度輸入量が事前に決められた発動基準物量を超過する場合、追加関税を
貿易救済
- 協定文主要内容
- アンチダンピング/相殺措置およびマルチセーフガード措置について両国が互いに発動を自制、または相互牽制できる手段を用意
- 韓米FTA締結によって輸入急増が発生する場合、一時的に関税を再度復活できる二国間セーフガード制度を導入
2.主要争点別妥結内容
- アンチダンピング/相殺措置牽制および解決手段の導入
- 調査開始前の事前通知および協議
- アンチダンピング提訴状の受付後、受付事実を相手国に書面通知し調査を開始する前に、国内法が許す範囲内で提訴内容について両国間が協議
- 価格または物量合意活性化協議の強化
- 米国はアンチダンピングや相殺関税についての価格または物量合意制度をほとんど利用していないため交渉の結果、韓国側が合意についての提案を提示すれば米側がこれを適切に(due)考慮し、韓国側に適切な(adequate)協議機会を付与するように規定
- 現在300件余りに達する米国のアンチダンピング措置のうち、価格/物量合意はわずか6件
- 貿易救済委員会設置-貿易救済委員会を設置し、(1)両国間貿易救済法令および慣行についての理解増進、(2)調査開始前の事前通知および協議条項と価格/物量合意条項の履行および遵守可否を監督、(3)貿易救済機関間協力増進、(4)両国のアンチダンピング、補助金および相殺関税、セーフガードについての情報交換、(5)貿易救済関連国際的問題(例:WTOアンチダンピング交渉)、両国調査機関の調査慣行(例:利用可能な事実*、実態調査手続き**)、産業補助金慣行などについて協議
- 利用可能な事実(factsavailable):調査機関が被提訴輸出企業に資料を要求し、これに対する答弁提出が完全でない場合、調査機関が利用可能な事実に基づいて判定を下せる慣行
- 実態調査手続き(verificationprocedure):調査機関が輸出企業の答弁書を受理した後、答弁内容の正確性を確認するために輸出企業を訪問して遂行する調査手続き
- 二国間セーフガードの導入
- 韓米FTAによる関税撤廃の影響で輸入が急増した場合、被害を救済するために関税を一時的に引上げできる制度を導入
- 農産物など腐敗しやすい商品については早期に措置がとれる『暫定措置』を許容
- 原則的に協定発効後10年間、関税撤廃期間がそれ以上である品目の場合、関税撤廃期間終了時まで存続
- 措置が発動される場合最長2年まで維持が可能、必要時は1年延長が可能
- マルチセーフガード裁量的免除
- マルチセーフガード発動時、相手国の輸出品が及ぼす被害が大きくない場合、発動対象として相手国を裁量的に免除することができる根拠規定を用意
- 当初米側は米国市場で韓国の輸出の割合が大きいため韓国に対しての免除条項の導入に反対
医薬品・医療機器
- 協定文主要内容
- 医薬品関連事項
- 両国の保健医療制度の差異を認定
- 良質の保健医療提供のための医薬品について、適切なアクセス(affordableaccess)の重要性を規定
- 特許医薬品の適切な価値認定 *薬価制度の手続き的透明性の向上
- 独立的異議申請手続きを用意
- 医薬品/医療機器委員会の設置
- 製薬会社ホームページを通じ医薬品情報を提供
- 倫理的営業行為の促進
- 医薬品テスト基準および複製医薬品市販許可相互認定(MRA)のための協力
- これより医薬品/医療機器委員会の傘下に技術作業班を設置
- 医薬品知的財産権関連事項
- 医薬品の資料保護(現行国内規定のとおり妥結)
- 市販許可遅延に対する特許期間の延長(現行国内規定のとおり妥結)
- 医薬品市販許可時に特許侵害の有無を検討(市販許可手続き自動停止は未反映)
- 米側受け入れ(撤回)事項:韓国側立場を貫徹
- 新薬に対する最低価格保障
- 物価引き上げに伴う薬価の調整
- 複製医薬品価格競争の重要性
- 薬品経済性評価制度の施行猶予
- 複製医薬品と新薬に同等の手続きを適用
- 医療機器算定方法の変更
- 保険対象リスト登載評価と薬価決定の分離
- 他国の市販許可手続き遅延に伴う特許期間の延長
- 強制実施権の行使要件制限
投資
- 協定文主要内容
- 主要争点別妥結内容
- 国際仲裁手続きの透明性を画期的に向上
- 国際仲裁判定部に提出された書類および仲裁審理の公開、国際仲裁時のNGOなど第三者意見の提出権を保障
- 韓国語を英語と共に仲裁手続きの公式言語と規定
総則
- 協定文主要内容
韓・米FTA分野別最終合意結果仮訳 - 日本貿易振興機構(P.3,6,18,19,32,38,82)
参考
- 環太平洋戦略的経済連携協定
- ISD条項詳細解説
- ISD仲裁事例
- ISD条項
- TPPは米国の陰謀?TPPお化け
- サルでもわかるTPP
- 新サルでもわかるTPP
- このページの参照元
社会 未来最恵国待遇 【TPP芸人】中野剛志准教授らによるISD条項デマ ISD条項詳細解説 ISD仲裁事例 サルでもわかるTPP TPPの一般原則 新サルでもわかるTPP 非違反提訴(NVC条項) ラチェット規定
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