納得論法
疑似科学者やトンデモ論者は、納得できるかどうかで物事を判断する。 彼らは、納得できないという理由で主流学説を否定し、自分たちが納得する珍説を提唱する。 しかし、何故か、彼らは、その納得できる・できない原因が、自分たちの無知・無理解のせいだとは全く考えない。
納得できるかどうかと、物事の真偽は全く関係がない。 何故なら、前者は個人の特性によって決まるものであり、後者は自然界の特性によって決まるものだからである。 極めて筋の通った説明に納得しない人もいるし、無茶苦茶な説明に納得する人もいる。 正しいことに納得しない人もいるし、間違ったことに納得する人もいる。 だから、納得できるかどうかで物事を判断することは理性的判断とは言い難い。
疑似科学者やトンデモ論者は、現実の化学や物理の法則とは全く違う法則が適用されている自身の空想で物事を考えて、納得できるか否かを判断する。 そして、その空想の中でのみ発生する矛盾に基づいて主流学説を否定し、かつ、その空想の中でのみ辻褄の合う珍説を提唱する。 しかし、現実を無視した空想で現実を正しく判断できるわけがない。 正しい判断には、現実の化学や物理の法則に基づいた考察が必要である。 しかし、専門分野の天才科学者でさえ、想像の世界において、現実の法則を全く何の間違いもなく適用するのは極めて困難である。
だから、科学での真偽は、堅固な証拠がどれだけあるかで判断される。 どんなに奇妙に見える仮説であっても、正しいことを示す堅固な証拠が多々あり、間違っていることを示す証拠がないなら、それは正しい仮説として扱われる。 逆に、どんなにそれらしい仮説であっても、間違っていることを示す堅固な証拠が多々あり、正しいことを示す証拠がないなら、それは間違った仮説として扱われる。 それが科学の必須条件である。
そして、主流学説は、多くの批判に耐えて生き残ってきたものである。 納得できるかどうかに関わらず、正しいことを示す堅固な証拠が多々あり、それを覆す証拠が足りていないから、主流学説として支持されるのである。 例えば、相対性理論は、結論だけを見ると非常に納得しがたい。 量子力学の標準理論に至っては、納得することを放棄している。 しかし、それらを裏付ける堅固な証拠があるから、それらは主流学説として支持され続けているのである。
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