鳩山由紀夫氏のCCS地震原因説
はじめに
CCS地震原因説で詳細に検証するが、動画で手っ取り早く見たい人は次をどうぞ。
CCS原因説を唱える人は、圧入地点と震源が「距離的にも時間的にも近い」と主張する。 しかし、科学的研究結果と比べても、メカニズムで考えても、実際の圧入地点と震源は、距離的にも時間的にも、因果関係の可能性が生じ得ないほどに遠い。 例えて言えば、CCS原因説を唱える人は、車道から数10mの距離の場所で、かつ、その車道に最後に自動車が通過してから数時間後に起きた事件(時間や距離が確定情報である場合に限る)について、自動車事故の可能性を検証しろと言っているに等しい。 確かに、因果関係が生じる可能性を全く考慮せず、感覚だけで判断すれば、数10mや数時間は近いように思える。 しかし、自動車から数10mかつ数時間離れていれば、事故との因果関係が生じるわけがないことは言うまでもない。 もちろん、時間や距離が確定情報でない場合には時間や距離を検証する必要があるが、CCS原因説においては時間や距離は確定情報である。 これとは逆に、感覚的にはものすごく遠いように思えるが、因果関係が生じるには十分に近いケースもあり得る。 科学的に検証するなら、感覚的に近いと思えるかどうかではなく、因果関係が生じる距離かどうかが重要である。 ようするに、CCS原因説を唱える人たちは、因果関係が生じる可能性があるかどうかを全く考慮することなく、直感的な何となく近いと思えることだけを理由に、言いがかり的な妄想論を唱えているのである。 因果関係が生じる距離かどうかを検証せずに、感覚的な近さだけを根拠にするのでは、「かもしれない」論法にすぎない。
鳩山氏の姿勢
CO2の地下貯留のCCSプロジェクトが苫小牧で行われている。 大変に大きな圧力をかけてCO2を地下に埋めるのだ。 しかし米陸軍の調査では、CCSの15キロ離れた辺りで地震が頻発したという。
「米陸軍の調査」を持ち出すなら、その報告書等の中身のわかるものを示さなければ、ネット上のゴシップと何ら変わりがない。
CCSによって起こされた人災との指摘は無視できないと思う。
これらの巨大地震とCCS実験が無関係と言い切れるのか。 少なくとも徹底検証が必要だ。
ゴシップに基づいて「無関係と言い切れるのか」と主張するのは言い掛かりである。 ゴシップではないと言うなら、まずは、鳩山由紀夫氏自身が「徹底検証が必要」である根拠を示す責任がある。
被災された方々にお見舞いを申し上げると同時に、本来地震に殆ど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と呼ばざるを得ない。
気象庁の震度データベース検索で周辺の地震を検索すれば、以前から頻繁に地震が起こっていることが分かる。
苫小牧で最初に圧入テストが行われたのは2010年度であるが、その前後で比べても地震の頻度に変化はない。 事業が開始された2016年4月以降も、本震とその余震を除けば、地震の増加は全く見られない。 以上の通り、2018年の北海道胆振東部地震の周辺は「本来地震に殆ど見舞われなかった地域」ではない。
先日昨年の北海道厚真町地震が高圧でCO2を地下に貯蔵するCCSにより人工的に引き起こされたのではないかと書いた。 実際、北大の研究者が5年前にその可能性があるとする論文を発表していた。 日本では地震の影響を考慮するとCCSは非現実とも述べている。 政府は決して認めないだろうがCCSは再考すべきだ。
更に北大の研究者が地震誘発の可能性があると論文を書いている。
「北大の研究者が5年前にその可能性があるとする論文を発表していた」と主張するなら、次のような情報を提示しなければ、ネット上のゴシップと何ら変わりがない。
- 「北大の研究者」とは誰で、「論文を発表」したのは何の雑誌か?
- 論文はその1件だけか?
- 「可能性」はどの程度か?
鳩山由紀夫氏はそれら情報を何ら示していない以上、ネット上のゴシップと何ら変わりがない。 尚、科学的人工地震研究、CCS地震原因説で詳細に説明するが、鳩山由紀夫氏の主張する「北大の研究者」の論文とは、おそらく、藤井義明氏の発表であろう。 その発表の研究対象になったデータと比較すると、北海道胆振東部地震は全く傾向が違うことがわかる。
CCSやシェールガス採掘は深刻な地震活動を誘発する可能性がある(資源・素材学会春季大会講演集2014) - 北海道大学
この発表は、CCSが中小規模の地震を引き起こす懸念を示しているが、「先日昨年の北海道厚真町地震が高圧でCO2を地下に貯蔵するCCSにより人工的に引き起こされた」「可能性があるとする論文」などでは当然ない。 これは、鳩山由紀夫氏の主張を全く裏付けておらず、むしろ、北海道胆振東部地震の原因がCCSではない可能性が高いことを裏付けている発表である。
尚、藤井義明氏が「日本では地震の影響を考慮するとCCSは非現実とも述べている」のは事実である。 しかし、その発表では、震源と人里との距離を考慮せずに「ランダムに抽出した」データで一般化しており、これら施設を人里からどれだけ離すべきかという点を全く論じずに、「非現実的である」と結論を導いている点は少々乱暴と言わざるを得ない。
道警は科学的データも調べないで厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係でデマと認定した。
「科学的データ」を出していないのは鳩山由紀夫氏である。 自ら「科学的データ」を提示しないのに「道警は科学的データも調べない」と主張するのは言い掛かりである。
尚、道警が「デマと認定した」ことは事実であるが、「厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係」とまでは断定していない。 「厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係」であるかどうかとは関係なく、「科学的データ」を提示しない鳩山由紀夫氏のような主張が「デマと認定」されるのは当然である。
国会論戦で中越地震・中越沖地震はCCSによって引き起こされた可能性があるとされ、長岡のCCSは中止となったのであろう。
「国会論戦」で客観的には全く通らない主張をしておきながら一方的な勝利宣言をすることは珍しいことではない。 例えば、丸山ワクチン関連国会議事録に記載されていることとは全く逆の「厚生省官僚と薬事審議会座長の作り上げたシナリオは崩れ『有効性を確認するデータは提出された。』という結論にたっした」と主張する人もいる。 だから、「国会論戦」でどのようなやりとりがあったかは、国会議事録等を詳細を検証する必要がある。 そして、何時の何院の何委員会(もしくは本会議)のことかを記載していれば、国会議事録から検証可能である。 そうした具体検証に必要な情報を何一つ出さずに自らの主張を強弁するなら、ネット上のゴシップと何ら変わりがない。
尚、日本におけるCCS実用化への取組み状況 - 次世代火力発電協議会第2回会合参考資料1によれば、「長岡のCCS」は予定の実験を終了しただけのようにしか見えない。
科学的根拠
昨年の北海道の厚真地震は正に苫小牧の隣町で起きた。
CCSの実験は最初長岡で行われたが、中越地震、中越沖地震と続き長岡での実験は中止となった。 その後、いわき市沖と苫小牧沖でCCSの実証実験が続けられたが、ご案内の通り東日本大地震と北海道地震が起きている。
CCS地震原因説で検証している通り、科学的人工地震研究の研究結果と照らし合わせると、長岡や苫小牧沖での「CCSの実証実験」が「東日本大地震と北海道地震」の原因とは考えにくい。
尚、第1回 平成23年度CO2固定化・有効利用分野評価検討会資料6.A 二酸化炭素削減技術実証試験(プロジェクト)(中間評価) - 経済産業省P.13,14によれば、いわき市沖は海底地形や海底土質の実地調査と応力予測解析結果から海底パイプラインの敷設可否を確認したに過ぎない。 調査井掘削による地質調査は事前の準備段階で中止としているので、圧入は一切行われていない。
後日談
韓国政府は1年半前に浦項(ポハン)市で起きた地震が周辺で進めた地熱発電が原因と認めて謝罪した。 地下に高圧の水を注入したことが地震を引き起こしたという。 同様のことをCCSも行なっている。 浦項も厚真もそれまで大地震はなかったのだ。 日本も調査団を作り厚真大地震とCCSの関係を調べるべきである。
鳩山氏は、未だに何の根拠も示さないデマを拡散している。
浦項の人工地震に紹介した通り、 浦項地震:「地熱発電所が触発」 韓国政府調査団が結論 - 朝鮮日報Online によれば、浦項地震はM5.4で「震源地が地熱発電所からわずか600メートルの地点」だとされる。 これは、地震の規模においても、震源までの距離においても「厚真大地震とCCSの関係」と全く違う。 「地熱発電の注入水が断層を刺激…2本目の地熱井、浦項地震の引き金」 - ハンギョレ によれば、「イ・ガングン政府調査研究団団長(ソウル大学教授)」は「浦項地震が地熱発電の地熱井から数キロメートル以上離れていれば解釈が変わりうる」ことを理由に「研究チームが最も尽力したのが震源の位置決定」と説明している。 同新聞掲載のグラフは、「累積水注入量」から推定して、赤線が注水量、青線が排水量を指していると思われるが、緑線は何を指しているか不明である。 グラフを見ると注水時期と地震発生時期に明確な相関が見て取れ、水圧と地震発生の相関が窺われる。 「北大の研究者」の「論文」と比べると注水量に対する地震の規模が大きいが、これは「震源地が地熱発電所からわずか600メートルの地点」であったために高い水圧に晒されたことで十分に説明できる。 30km以上離れた「厚真大地震とCCSの関係」とは大きくかけ離れている。
よって、「韓国政府は1年半前に浦項(ポハン)市で起きた地震が周辺で進めた地熱発電が原因と認めて謝罪した」ことは、「厚真大地震とCCSの関係を調べるべき」理由に全くなっていないどころか、むしろ、「厚真大地震とCCSの関係」がないことを示唆する根拠となっている。
科学の何たるかをわかっていない方々
デンヴァー群発地震で、地中への流体の大量注入が地震を起こすことはわかっていますし、CBMやシェール採掘で気体、液体の地中注入が地震を起こすこともわかっています。
既に説明した通り、それらの事例は「地震を起こす」事実以外に類似点はない。 空間的相関性、時間的相関性、注水量と規模の関係、いずれも、「厚真大地震とCCSの関係」とは全く違っている。 よって、これらの事例は「厚真大地震とCCSの関係」を示す根拠にはならない。
可能性は否定しないが現時点で未解明。
確かに、0%と断言できないという点では「可能性は否定」できない。 しかし、検証すべき程度の可能性を示す具体的根拠を鳩山氏は何も挙げていない。 馬鹿げた夢物語の可能性など論じることは科学的に無意味である。
鳩山氏の発言の妥当性は、別に検証されるべきことです。
但し、9月の地震でCCSが疑われたのは事実で、少なくともその後はCCS実験を停止して因果関係を検証するのが筋であろう。
上で説明した通り、「検証されるべきこと」「因果関係を検証するのが筋」に該当する程度の可能性がある具体的根拠は何もない。 馬鹿げた夢物語に「因果関係を検証するのが筋」などと言い出したら何もすることができなくなる。
いずれにせよ、鳩山氏の発言を警察がデマ呼ばわりすることは、岡っ引き風情の越権行為です。
いずれにせよ、道警の思い上がった岡っ引き風情はすっこんでろと言う他ないです
以上踏まえれば、鳩山氏は根拠のない妄想で世間を騒がせているのだから、道警は当然かつ真っ当な認定をしたに過ぎない。 「思い上がった岡っ引き風情」の「越権行為」とは、適切な行動をとった道警を何の根拠も示さずに批判をする牧田寛氏の方であろう。
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