デンバーの人工地震

はじめに 

このページは科学的人工地震研究の一部である。 また、CCS地震原因説にて、この理論を2004年の新潟県中越地震(M7.2)や2018年の北海道胆振東部地震(M6.7)に当てはめた検証を行う。

David M. Evansによる調査報告 

ABSTRACT: During 1961, a decp well was drilled at the Rocky Mountain Arsenal northeast of Denver, Colorado, to dispose of contaminated waste water. The well is bottomed in 75 feet of highly fractured Precambrian gneiss. Pressure injectton of waste water into the fractured Pre-cambrian rock was begun in March 1962. Since the start of fluid injection, 710 Denver-area earth-quakes have been recorded. The majority of these earthquakes had epicenters within a five-mile radius of the Arsenal well. The volume of fluid and pressure of fluid injection appear to be directly related to the frequency of earthquakes. Evldence also suggests that rock movement is due to the increase of fluid pressure within the fractured reservoir and that open fractures may exist at depths greater than previously considered possible.

要旨: 1961年に、コロラド州デンバーの北東のロッキー山脈のArsenal(軍需工場)で、汚染された廃水を処理するために深井戸が掘削された。 坑井は75フィートの高度の破砕した先カンブリア紀片麻岩に底がある。 破砕した先カンブリア紀岩石への廃水の圧力注入は1962年3月に始まった。 流体注入の開始以来、710のデンバー地域の地震が記録されている。 これらの地震の大多数は軍需工場の井戸から半径5マイル(約8km)以内に震央があった。 流体の量と流体注入の圧力は地震の頻度に直接関係しているように思われる。 Evldenceはまた、岩石の動きが破砕された貯留層内の流体圧力の増加によるものであり、これまでに考えられていたよりも大きな深さで開放破砕が存在する可能性があることを示唆している。


The total number of earthquakes reported in the Denver area is plotted in the upper half of figure 5. The magnitude of the earthquakes reported range from 0.7 to 4.3 on the Richter scale. Table 1 lists the earthquakes in Colo- rado of magnitude 3 and larger, according to the U. S. Coast and Geodetic Survey reports (Wang, 1965). Wang (1965) calculated the epi-centers and hypocenters of the 1963-65 Denver earthquakes, and the results of his calculations are shown in figure 6.

デンバー地域で報告された地震の総数は、図5の上半分にプロットされている。 報告された地震の規模はリヒタースケール(ローカル・マグニチュード)で0.7から4.3の範囲である。 表1は、米国沿岸および測地調査の報告によると、マグニチュード3以上のコロラド州の地震をまとめたものである(Wang、1965)。

デンバー地震数

THE DENIER AREA EARTHQUAKES AND THE ROCKY MOUNTAIN ARSENAL DISPOSAL WELL(The Mountain Geologist v.3, 1966) - Stanford Center for Induced and Triggered Seismicity

図4を見てもらうと明らかな通り、デンバー群発地震では、注水開始後すぐに地震が頻繁し、注水中止後すぐに地震が激減していることがわかる。 Wang(1965)は1963-65年のデンバー地震の震央と震源を計算した、そして、彼の計算の結果は図6に示されている。

The majority of the earthquake epicenters are within a five-mile radius of the well. All epicenters calculated from four or more re-cording stations are within seven miles of the well.

地震の震源地の大部分は、井戸の半径5マイル(約8km)以内にある。 4つ以上の記録観測所から計算された全ての震源地は、坑井から7マイル(約11.3km)以内にある。

Wang (1965) calculated the best-fitting plane passing through the zone of hypocenters calculated from four or more recording stations. He concluded that this plane might be a fault along which movement was taking place. The plane dips to the east, and passes beneath the arsenal well at a depth of about six and one-half miles (fig. 6).

Wang(1965)は、4つ以上の記録観測点から計算された震源地帯を通過する最適平面を計算した。 彼はその平面は動きが起こっていた障害であるかもしれないと結論を下しました。 平面は東に沈み、約6.5マイル(約10.5km)の深さで軍需工場の真下を通過する(図6)。

デンバー地震の震央と震源

THE DENIER AREA EARTHQUAKES AND THE ROCKY MOUNTAIN ARSENAL DISPOSAL WELL(The Mountain Geologist v.3, 1966) - Stanford Center for Induced and Triggered Seismicity

CCS原因説を唱える人は、このデータから「地震があった深度は45キロまでだった」と主張する。 しかし、調査したDavid M. Evans本人は、本文でそのような主張を展開していない。 というのも、この図に記載された震央と震源には、観測点が少ないものから多いものまで全て掲載しているからである。 観測点が少ない場合は、震央や震源の推定は不正確になる。 だから、David M. Evansは、推定の正確性を担保できる4つ以上の観測点から計算された震央や震源のみを根拠として主張を展開している。

この図からは、それぞれの震央と震源の観測点の数は図からは読み取りにくい。 リンク先でも図は潰れていて見辛い。 しかし、“ALL HYPOCENTERS CALCULATED FROM FOUR & MORE STATIONS IN THIS AREA(この地域の4つ以上の観測点から計算された全ての震源)”を線で囲っているので、どのデータが信頼できるかは一目瞭然である。 4つ以上の観測点から計算された信頼できるデータでは、震源は、坑井からの水平距離は約11.3km以内で、かつ、坑井からの深さは約16km(地表からは約20km)以内に存在する。

小出仁氏(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地震地質課)によるまとめ 

次の図等を見てもらうと明らかな通り、デンバー群発地震では、注水開始後すぐに地震が頻繁し、注水中止後すぐに地震が激減していることがわかる。

注水と地震数

しかし、図1を見るとすぐ分るように、1962年に廃水の注入を始めてから1~2ヵ月後に地震が 起こり始め、1963年10月に注入を中断すると地震の数は少なくなり、約1年の中断後1964年に少量の注入を再開すると、地震数が少し増えはじめ、 1965年に注入量を増加すると以前にも増して活発になった。

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

次の図等を見てもらうと明らかな通り、デンバー群発地震では、震源は注水地点から数kmの範囲に集中している。

平面図

軍や米国地質調査所やコロラド鉱山大学の研究者がデンバーの「人工」地震の詳しい研究を行つた (Healyら,1968、 Hollister and Weimer,1968)。 震源を精密に決定すると、廃水井を通るN40° W方向に伸びた、長さ10km幅3kmの帯状のゾーン内で地震が起きていることが判った (図2 )

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

次によると、デンバー群発地震では、震源は注水地点から1〜2kmの深さで発生している。 これは先ほどのDavid M. Evansによる調査報告と食い違っているように見えるが、その原因は不明である。

1965年11月に David Evansという地質コンサルタント がデンバー市の北の軍需工場にある深さ約3,800mの井戸に排水を圧人したために群発地震が 起きているという大胆な仮説をテレビで発表した(Evans,1966)。


震源の深さは4.5~5.5kmであるから、廃水井の底より少し下方で起きている。

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

どうしてそうなるかと言えば、地下水圧と地震の発生に相関性があるからである。 次の図等を見てもらうと明らかな通り、デンバー群発地震では、地下水圧の推測値(注水量から?)と地震の頻度に明確な相関が見て取れる。

水圧と地震数

Healyら(1968)に よって見積られた孔底付近の水圧と地震数はきわめてよい相関がある(図3)。

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

距離が離れると注水による水圧上昇の影響が弱まる。 時間が経っても注水による水圧上昇の影響が弱まる。 結果、空間的にも時間的にも、注水の影響は局所的となる。

さらに、水圧上昇が地震を引き起こすメカニズムについても考察されている。

デンバーで起きた「人工」地震はやはり廃水の注入によるものであった. しかし 地かく内に地質的な原因によって剪断応力が蓄積されていなければ いくら廃水を注入しても 地震は起きなかったことが分る. つまり水圧入は引き金の役割をして 自然に蓄えられていた歪エネルギーが解放されたにすぎない.

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

これによれば、地質的に蓄えられていた歪エネルギーがあれば、地震の発生は理論的に説明可能となる。 逆に、地質的に蓄えられていた歪エネルギーがないと、地震の発生は理論的に説明できない。

また、これは地震を防ぐ手段としても期待されている。

これを利用して 地かく内に大きな歪エネルギーが蓄積される前にはハイドロフラクチュアリングをしてエネルギーを解放し大きな地震を防ごうという試み(地震コントロール)が米国で行われている(USGS 1973).

ハイドロフラクチュアリングとマグマフラクチュアリング(地質ニュース 1978年10月号 No.290) - 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

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