量子トンネル効果

古典力学的現象 

例として、ガミラス(宇宙戦艦ヤマト世代だから)で使っていた人工衛星をイスカンダルに譲渡する場合を考える。

ポテンシャルの壁

人工衛星を動かすためには、現在の位置よりも位置(ポテンシャル)エネルギーの高い場所を経由する必要がある。 そのため、まず、衛星にエネルギーを足してやる必要がある。 具体的には、加速して運動エネルギーを増やす。 運動エネルギーを増やすと衛星軌道が外側に広がる。 衛星軌道が外側に広がると、運動エネルギーが位置エネルギーに変換され、衛星は減速する。 これを繰り返しながら、位置エネルギーが最も大きな所にまで衛星を持って行く。 位置エネルギーが最も大きな所を過ぎたら、逆に、減速して運動エネルギーを減らす。 運動エネルギーが減ると衛星軌道は内側に狭まる。 衛星軌道が内側に狭まると、位置エネルギーが運動エネルギーに変換され、衛星は加速する。 これを繰り返しながら、目的の衛星軌道に持って行く。

以上のとおり、現在よりも位置エネルギーの高い所を通過するためには、衛星にエネルギーを足してやる必要がある。 位置エネルギーのグラフを見ると、グラフの形が山形となっており、この山を越えるだけのエネルギーを要求される。 そこで、この山を「ポテンシャルの壁」と呼ぶ。 古典力学では、エネルギーを与えずにポテンシャルの壁を超えることは不可能である。

量子力学的現象 

波動関数は、古典力学的には超えることの出来ないポテンシャルの壁を一定確率で超えることができる。 これを量子トンネル効果と言う。 α崩壊等のいくつかの現象が量子トンネル効果で説明できるとされる。

例えば原子核のα崩壊(原子核内部からα粒子すなわち24He の原子核が飛び出してくるという現象)は、古典的には起こり得ない。 原子核の結合エネルギー(核力という力で陽子や中性子どうしが互いに引っぱりあう引力による)を計算すると、α粒子は外に出ることはできない。 しかし量子力学的な浸み出しによって外に出る。 いったん外に出てしまうとα粒子と原子核(どちらもプラスに帯電)はクーロン斥力によって離れていくので、α粒子の放出が起こる。
量子力学講義録2005年第8回-琉球大学理学部物質地球科学科准教授前野昌弘の講義録(http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/qm/qmK_8.html)

量子トンネル効果が起こる原理はシュレーディンガー方程式を解いた結果による。 そして、計算結果は実際の現象と一致しており、量子トンネル効果を無視しては半導体素子や集積回路の設計が成り立たない事実等から、量子トンネル効果は確かに存在する現象であると言える。 トンネルダイオード(江崎ダイオード)、フラッシュメモリ等は量子トンネル効果を活用している。