右脳と左脳と自由意志

マイケル・S・ガザニガの研究 

マイケル・S・ガザニガが、右脳と左脳について研究している。 この研究結果が自由意志を否定する証拠だとする人がいるが、その誤りを以下に説明する。

ここでは数々の実験のうち、マイケル・ガザニガさんの興味深い実験を紹介します。

以前、てんかんの患者に対して、右脳と左脳をつなぐ脳梁を切断するという手術が行われていたことがあります。 そのようにして生まれた分離脳患者に対して、彼は次のような実験を行ったそうです。

まず、右脳にだけ「前に歩いて下さい」と命令します。 どのようにしたかというと、右脳につながっているのは左の耳なので左耳だけに聞こえる小さい声で「前に歩いて下さい」とささやいたわけです。 それを聞いて彼は立って歩き出します。 今度は、歩いているその患者に、左の耳に聞こえないように右の耳に小さい声で「あなたは何で今歩いているのですか?」と質問します。 その時彼は一体何と答えたでしょうか? 「何ですって? 今あなたが歩けと仰ったから歩いているんじゃないですか!?」と答えたでしょうか? いいえ、左脳はそのことを知らなかったから、本当は自分が何で歩いているのかわからないはずなのです。

ところが驚くことに彼は、平然と、「のどが渇いたのでジュースを買おうと思ったのです」と答えたそうです。 歩いている先に自動販売機が置いてありました。 彼の脳はとっさに自分の行動につじつま合わせをしたのです。

私たちの脳のやっていることは、いつでも後付けの、とっさの「つじつま合わせ」だったのです!!!

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科学すること、あるいは科学者であること──『右脳と左脳を見つけた男 - 認知神経科学の父、脳と人生を語る』 - HONZによれば、マイケル・S・ガザニガの著書では言語は左脳が司っていることになっている。 であれば、「右脳につながっているのは左の耳なので左耳だけに聞こえる小さい声で『前に歩いて下さい』とささやいた」としても、本当に「左脳はそのことを知らなかった」のであれば、被験者は「前に歩いて下さい」という文章の意味を理解できないはずである。 よって、本当に「左脳はそのことを知らなかった」のであれば、「彼は立って歩き出し」た動機は別にあることになる。 それならば、「彼は立って歩き出し」た動機は、本人の言う通り「のどが渇いたのでジュースを買おうと思った」からであろう。

「前に歩いて下さい」という文章の意味を理解したうえで「彼は立って歩き出し」たなら、「左脳はそのことを知らなかった」が否定される。 この場合、行動の動機の複合要因について検証していない。 例え、「前に歩いて下さい」と言われたことが行動を起こす直接のきっかけであったとしても、その前からこの被験者が「のどが渇いたのでジュースを買おうと思った」可能性は否定できない。 そして、「のどが渇いたのでジュースを買おうと思った」が行動を起こすためにはやや不足していて、そこに「前に歩いて下さい」と言われたことが行動を後押ししたとすれば、この被験者にとっては「のどが渇いたのでジュースを買おうと思った」が主たる動機となる。

以上踏まえれば、この被験者は、主たる動機を正確に答えただけに過ぎないのかもしれない。 だから、この事例はこの被験者が「とっさに自分の行動につじつま合わせをした」証拠にはならない。 百歩譲って、この事例が「とっさに自分の行動につじつま合わせをした」をしたのだとしても、たった1例では「私たちの脳のやっていることは、いつでも後付けの、とっさの『つじつま合わせ』だった」証拠とはならない。


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    科学

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