射影仮説

定義 

射影仮説には,次の2つの役割がある:
(A)異なる測定値に対応する状態ベクトルの間の干渉をなくす
(B)干渉の無くなった2つの状態ベクトルのうちのどちらかを抜き出す
量子測定の原理とその問題点by東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系&東京大学大学院理学系研究科物理学専攻:清水明教授(http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/archive/MathSci469(2002).pdf)

射影仮説(projection postulate)とは、平たく言えば、観測に伴って波動関数の収縮が起こるとする仮説である。 射影公準とも言う。 しかし、その「観測」を明確に定義するのは困難であり、その困難さは観測問題と呼ばれる。

射影仮説は,量子論が,実験事実と合致しかつ無矛盾な理論体系になるために必要であるからこそ導入された公理なのである.
量子測定の原理とその問題点by東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系&東京大学大学院理学系研究科物理学専攻:清水明教授(http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/archive/MathSci469(2002).pdf)

射影仮説は、理論と実験を整合させるためには必須の仮説であるが、その仮説が示す現実の現象については良く分かっていない。

解釈 

量子力学の解釈には次の2通りしかないとされる。

  • 射影仮説そのものか、あるいは、射影仮説と等価な仮説を採用している
  • 射影仮説も、射影仮説と等価な仮説も、一切採用しないが、現実の現象と整合しない

多世界解釈の支持者は、射影仮説を目の敵にします。
射影仮説には2つの役割があります:
(A)異なる測定値に対応する量子状態の間の干渉をなくす
(B)干渉のなくなった複数の量子状態の中からどれかひとつを選び出す
よく見ると、多世界解釈もこれらと等価なことを仮定しています。
・Everetの原論文には(A)がなかったのでWignerの厳しい批判に遭った
→今は(A)を仮定するのが普通
・自分自身はどれかひとつのbranchのみを知覚する
→(B)と同じ
だから、コペンハーゲン解釈を言い換えているだけです。
ModernTheoryofQuantumMeasurementanditsApplicationsby東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系&東京大学大学院理学系研究科物理学専攻:清水明教授(http://as2.c.u-tokyo.ac.jp/archive/handai2009.pdf)