STAP筆頭著者の科学的検証拒否

本ページはSTAP細胞論文捏造事件の一部である。

筆頭著者の科学的検証に対する姿勢 

先に紹介した新聞記事の通り、筆頭著者は、サンプル、写真、コツ等の科学的証拠はあると主張していた。 しかし、筆頭著者は、これらの科学的証拠の提出を徹底的に拒み、科学的検証を最後まで拒否し続けた。

不服申立て者は、上記Science誌の査読者のコメントについて、精査しておらずその具体的内容についての認識はない、 Science論文は論文1と論旨が異なっていたので検討したことはない、 Science論文は今回問題となっている論文1とは関係がなく(論旨自体が異なる)、 「再調査を行うか否かの審査」に関係しないと考えられ、 リジェクトされた未公開論文であるので提出は控える旨、説明する。

しかしながら、Science論文は、論文1とほぼ同旨であり、特に、2012年論文にはなかったT細胞受容体の再構成バンドを根拠に、 Tリンパ球を酸処理することにより多能性を持つ細胞にリプログラム可能であるとする主張が述べられている点において論文1と同じである。


加えて、リジェクトされた未公開論文であることにおいて、2012年論文もScience論文も同じであるが、前者については委員会へ提出され、後者については上述のとおり、提出を控えるとしている。 申立て者の説明によれば、Science論文はその説明を裏付ける資料となると考えられることからすれば、本来、速やかに提出すべきものであると考えられる。 提出しないとすることは、弁明の機会を自ら放棄したものと言わざるを得ない。 さらに、”revised-1211”のファイルについても、委員会が入手していたものと不服申立て者が保有するものとの相違点の確認のため、委員会が保有するものを不服申立て者へ送付した上、不服申立て者の保有するものの提出を求めたが、提出されていない。

以上の事実等からすれば、この改稿にあたり、査読者からのコメントに全く目を通していなかったなどの説明に合理性を認めることはできないところである。


ア 学位論文の画像データを使ったことを自ら発見し報告していることについて

笹井氏は、2月20日、不服申立て者も同席したヒアリングにおいて、本件画像データは、骨髄由来細胞と脾臓由来細胞による各実験の単なる取り違えである旨、説明した。 両氏は連名で、同日及び3月1日付けの書面において、いずれも、脾臓由来ではなく骨髄由来の細胞を使ったことはミスである旨、述べていたが、実験条件に違いがあることは全く述べていなかった。 その後の調査により、本件画像データが、学位論文に由来するものであって、機械的ストレスによる実験で得られたものであることなどが判明した。

不服申立て者が、実験条件が異なるデータを使用したことについて初めて説明したのは、3月23日のヒアリング時であった。 それまでの間の3月19日、不服申立て者は、委員に対して対面での説明をしている。 この説明は、資料等の確認のため、発生・再生科学総合研究センター(CDB)を訪れた委員に対して、同氏から学位論文について説明したいとの申出があったことにより行われたものである。 同氏は、冒頭に学位論文に関して説明をしている。 しかし、専ら、今回の画像データの取り違えに関する学位論文の審査者とのやり取りや学位論文の今後の取扱いに関する大学関係者とのやり取りに関するものにとどまり、実験条件が異なる画像データが使用された経緯に関する説明はなかった (なお、委員会では、同月23日に予定していたヒアリングでデータの取り違えの経緯について説明を求めることとしていたため、19日には、この点について説明を求めていない。)。 不服申立て者は、笹井氏から、学位論文の画像データを使用した経緯について委員会に対して説明するように言われていた。

これらの状況は、2月20日の説明等に付加して異なる実験条件下で得られた学位論文の画像データを使用したことについて自ら話すつもりがなかったことを示すものである。

この当時、インターネット上等で論文1について疑義があるとの指摘がなされており、早晩、画像データの取り違えについても指摘がなされるであろうことは十分予想されたところである (現に、その後、インターネット上等で指摘がなされている。)。 指摘がなされる前に報告をしたことは認められるとしても、 不服申立て者は、異なる実験条件下で得られたデータであることを知りながら、もしくは、その可能性があることを認識していたのにこれを明らかにせず、これを単なる取り違えであると説明していたと言わざるを得ない。


ウ 実験条件の違いについて、不服申立て者は、「厳密には、学位論文で作られたのはトリチュレーションで作られた幹細胞でNatureのほうでは酸処理で作られた幹細胞である。 私にとっては両方ともSTAP細胞でしたが、厳密には違うと思います。」と述べていたことは前述したとおりである。 委員会は、この説明を条件の違いを十分に認識していなかった趣旨であると理解しその旨を報告書に記載した。 そして、委員会は、学位論文と論文1の論文では、実験条件が異なる、酸処理という極めて汎用性の高い方法を開発したという主張がこの論文1の中核的なメッセージであり、 図の作成にあたり、この実験条件の違いを不服申立て者が認識していなかったとは考えがたいと判断した。

しかしながら、不服申立て者は、補充書(1)において、「そのような説明をしたことはない」、「実験条件の違いは十分に認識していた」と主張する。

とすれば、この主張は、委員会の判断そのものと合致する。 不服申立て者は、2012年論文及び論文1において、実験条件が異なる画像データを論文に使用することになる可能性があることを認識しながらこの画像データを使ったのではなく、実験条件が異なることを十分認識しながらパワーポイント資料の画像データを使用したこととなる。


しかしながら、調査結果において、論文1に、不服申立て者による改ざんと捏造という研究不正があったことは明らかであり、 再実験の指示や許可をする必要性がある案件ではなく(不服申立て者からの申出もない)、したがって、検証実験の結果を待つまでもないものである。


2 そこで、審査に関し、委員会が執った措置及びこれに対する不服申立て者の対応について、念のため、記載する。

ア 4月10日、委員会は、

  • 不服申立てに関して言い足りなかったとか補足したい点がある場合には、代理人による聞き取り書でも可能であるので、書面を委員会宛に送付されたい
  • 4月9日に行われた記者会見で、捏造とされた画像などに関して理解してもらいたい点があると述べられていたので、このような点についても記載し、 こうした画像などが研究所に提出されたラボノート以外の実験ノートが関係しているのであれば、その点についても触れるとともに、当該実験ノートを提出していただきたい

旨、代理人に伝えた。

イ 4月15日、委員会は、代理人に対して、補足等する点を書面にまとめることが難しいなどの事情がある場合には、録音テープや録画ビデオ等による補足でも可能であることを伝えた。

ウ 4月20日、代理人から補充書(1)が提出された。 補充書(1)では、代理人が不服申立て者から聞き取った結果をもとにした主張もなされており、不服申立て者の陳述書や不服申立て者作成に係る資料等が付属書類として含まれていた。

代理人は、補充書(1)において、資料入手からわずかな時間しかなかった、不服申立て者の体調、法律家専門家による意見書の提出を理由として、不服申立て理由の補充をするためにさらに2週間の猶予を求めた。

しかしながら、

  • 検討する十分な時間がないと主張する資料のうち、開示に係る資料の多くは、不服申立て者が作成・提出した資料や笹井氏との連名で提出された資料等であったこと
  • 4月17日に代理人がそのコピーを入手したとするハードディスクについては、入手したばかりであり検討する時間的余裕が必要であると主張するものであるところ、 このハードディスクは、前述したように、不服申立て者が、昔使っていたとするものであって、学位論文の画像データのオリジナルデータが入っていたものであることや調査時にその提出を求めたが、 その際、私的なものが入っているので提出できないとして、学位論文の画像データのオリジナルデータ(コピー)のみを提出した経緯があることからすれば、 不服申立て者がその内容について当時調査していたと考えられ、代理人にすぐその内容を知らせることもできたものであったと考えられること
  • 不服申立て者は、その陳述書において、論文の主旨の変遷があり、画像の取り違えが生じた等と主張しているものの、 論文の主旨等については委員会において把握していたものであったこと(むしろ、2012年論文の主旨や記載が、陳述書における不服申立て者の説明と矛盾することは、前述したとおりである。)
  • 補充書(1)において、代理人は、テラトーマ実験の概要について、不服申立て者から聞き取った結果を記載しているところ、その内容を検討すると、 不服申立て者は、実験ノートや当時の実験状況を思い出しながら、実験ノートの記載内容を引用しつつ記載内容について相当程度細かく説明していることがうかがわれること

等の事情が認められる。

エ 4月27日、委員会は、代理人に対し、不服申立て者からヒアリングの申出があれば行う用意がある、 その場合、4月28日または29日となる、ヒアリングを行う場合には質問をしたい点があるので、関係の資料を送付する旨を伝えた上、 Cell投稿論文、Science論文及びScienceからの通知(エディター・査読者のコメントを含む。)等を送付し、その確認及びその提出を求めた。質問に係る箇所も特定していた。

これに対し、同日、不服申立て者から、

  • 文書や質問事項の特定がなければ、ヒアリングに応じることはできない
  • ヒアリングは、不服申立て者の体調からして1週間程度の猶予が必要である
  • 委員会が必要であるとするのであれば、不服申立て者の体調について、医師の診断書を提出する

旨の回答があった。

オ 同月30日付で、代理人から委員会へ、委員会の改ざん・捏造の解釈を明らかにするよう質問書が提出された。 同日、委員会は、改ざん等については、十分検討しており、審査結果において明らかにする旨回答した。

カ 5月1日に、不服申立て者から、エ記載の文書中、Scienceからの通知(エディター・査読者のコメントを含む。)に対する説明文書が送付され、Science誌への投稿論文の提出は控えるとの回答があった。 その詳細は、前述したとおりである。 不服申立て者の説明によれば、当該論文はその説明を裏付ける資料となると考えられることからすれば、速やかに提出すべきものであると考えられる。 不服申立て者は弁明の機会を自ら放棄したものであると解される。

キ 5月4日、不服申立て者から、補充書(2)が提出された。 補充書(2)では、代理人が不服申立て者から聞き取った結果をもとにしたと考えられる主張(約4ページ)がなされている。 2011年3月から2013年4月までの間における、不服申立て者の所属、Oct4+細胞、テラトーマ、論文の考え方、画像等に関して月毎に記載した時系列表も作成されているほか、 不服申立て者の陳述書(5ページ弱)等が付属書類として含まれていた(検討結果は、前述したとおりである。)。

その他、ヒアリングの要請、実験ノートやエ記載の残余の資料の確認・提出、法律専門家の意見の提出について、いずれもなされておらず、診断書の提出もない。

不服申立てに関する審査の結果の報告 - 独立行政法人理化学研究所


6)Article Fig.3b について

  • コントラスト補正をすると、ControlではRチャンネルにシグナルが見られ、Low-pH-treatedcellsとは比較できない画像である点
  • ControlのBright-fieldとOct-4-GFP画像をシグナル補正して重ね合わせると、赤色が発色している位置と細胞の位置が一致せず同一視野の写真とは考えられない点

(調査結果)

小保方氏に対し繰り返しオリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった。 またCDBおよびCDB若山研の蛍光顕微鏡附属コンピューターのハードディスクの中にもオリジナルデータと考えられるものを見つけ出すことはできなかった。

(評価)

作図に用いた画像ファイルが本来の対応関係にないことは明白である。 ControlのBright-fieldとOct4-GFPの画像が対応していないことは、取り違えによると考えられた。 Oct4-GFPについてControlとLow-pH-treated cellsの間でRチャンネルのシグナルに違いがある点については、画像記録時の感度や露光時間など条件が違う可能性(本来は同一条件で記録することが求められる)、画像に対してソフトを用いて異なる処理をした可能性などが考えられた。 これらは、意図的な不正操作の可能性があるが、他方、機器やソフトに対する知識不足によって引き起こされた間違いや画像ファイル取り違えの可能性も否定できないことから、調査により得られた証拠に基づき認定する限り、研究不正とは認められない。

7)Article Extended Data Fig.2f について

Bright-fieldとOct4-GFP画像を重ね合わせると、同一視野から得られた写真ではないと考えられる点

(調査結果)

小保方氏にオリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった。

(評価)

小保方氏からオリジナルデータが提出されなかったため、不一致の認定を行うことはできず、研究不正とは認められない。

8)Article Extended Data Fig.5f および Article Extended Data Fig.8k について

H3K27me染色のRチャンネルに画像情報が殆ど含まれていない。Rチャンネルの削除、若しくは、極端な調整が行われたと考えられる点

(調査結果)

小保方氏にオリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった。

(評価)

小保方氏からオリジナルデータが提出されなかったため、不適切な操作が行われたかどうかの確認はできず、研究不正とは認められない。

9)Article Fig.2b、3d、3g、Extended Data Fig.1a、Extended Data Fig.6d について

エラーバーが不自然である点

(調査結果)

本件に関しては、Extended Data Fig.1aについて過去に投稿された論文原稿に遡りグラフが投稿毎に一致しないこと(特にエラーバーのサイズ、有無など)を確認した。小保方氏本人対する聞き取り調査で、図を描画ソフト等で修正したことはないかを含め原因の心当たりを確認したところ、修正したことはないが、本人としてもエラーバーが不自然であること、ただ表計算ソフトの問題でこのようなことはよく起きると考えていたとの回答を得た。 パソコンに入っていると思われるオリジナルデータの提出を小保方氏に求めたが、提出されなかった。

(評価)

小保方氏本人も図が不正確であると認識していたと認められ、本来であれば別のソフトウェアを用いるなりすることで、正確な図を描くことが当然であるが、同氏にその意識が欠如していたため起こった、意図的ではない間違いであったとも考えられる。 表計算ソフトの問題で起きる事は考えにくいが、オリジナルデータの確認がとれないため、調査により得られた証拠に基づき認定する限り、研究不正とは認められない。


第二は、論文の図表の元になるオリジナルデータ、特に小保方氏担当の分が、顕微鏡に取り付けたハードディスク内の画像を除きほとんど存在せず、「責任ある研究」の基盤が崩壊している問題である。 最終的に論文の図表を作成したのは小保方氏なので、この責任は大部分、小保方氏に帰せられるものである。 また、STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラマウス、テラトーマなどについて、作製後の解析を行ったのも大部分が小保方氏だが、その実験記録もほとんど存在しない。 本当に行われたか証拠がない(行われなかったという証拠もない)実験も、いくつか存在する(細胞増殖率測定、Oct4-GFPを持つFI幹細胞の作製など)。

研究論文に関する調査報告書 - 独立行政法人理化学研究所

一連の筆頭著者の言動は極めて不誠実であり、真実を公表しようとする真摯な態度が全く見られない。 サンプル、写真、コツ等の科学的証拠はあると主張しながら科学的検証への協力は悉く拒み、時間稼ぎをしている間に同情に基づいた世論を煽って、非科学的な政治的横槍によって不正追求を阻止しようとする筆頭著者の本音が透けて見える。

また、「研究論文に関する調査報告書」も明らかに筆頭著者に対して甘すぎる。 「オリジナルデータが提出されなかった」という筆頭著者自身が無実の証明を拒否しているにも関わらず、「研究不正とは認められない」とするのは甘すぎる。 「表計算ソフトの問題で起きる事は考えにくい」ことでさえ、「オリジナルデータの確認がとれない」ことを理由に「研究不正とは認められない」とするのは、いくら何でも酷い。 せめて、最後のまとめに、徹底的に証拠提出を拒否する筆頭著者の姿勢を非難し、「研究不正とは認められない」とした数々のことについて不正と疑われても仕方がない…くらいのことが書いてあれば、まだ、理解しようもある。 しかし、そうした言及は一切ない。 これでは、証拠隠蔽をすれば「研究不正」認定から逃れられると認めているようなものだ。


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